ときめき会話 繁華街 颯砂希
ライブハウス
「ここまで熱くなったの、初めてかも。」
「颯砂くん、興奮しすぎ。」
「ダメダメ、バレてるから。」
「え?」
「そういうきみだって、かなり体揺れてたよ?」
「えっ?気づかなかった……」
「いいじゃん。楽しかったんだろ?オレはシラーってしてるよりずっと好きだな。」
「好き?」
「うん、好きだよ、そういうきみ。ほ、ほら、ライブってさ、一緒に行く相手によって楽しさがぜんぜん違うし。」
(颯砂くん、ライブが好きなんだな……)
ボウリング場
ボウリング
「あれ?狙ったとこに行かないな。」
「こんな日もあるよ。」
「それじゃ納得できないんだよな、オレ。」
「えっ?」
「ごめんごめん、今壁にぶつかっててさ。ボウリングでも調子悪いとなるとヤバいなって。最近、体を完璧に制御できてないって感じしてたから。」
「そっか……のんきな事言ってごめんね。」
「いや、謝るのはこっち。せっかくのデートなのに。でもさ、なんかヒントもらったかも。」
「え?」
「『こんな日もある』ってこと。温度や湿度の差で、0.01秒、1ミリって平気で変わる。ほら、オレの髪も湿気でクルクル。」
「ふふっ、うん。」
「だからさ、自分の体だけで原因を探っていくと、オレみたいにドツボにはまる。きみのおかげで、突破口見えたかも。」
「わたしは何もしてないよ?」
「何もしてないどころか、オレには世界最高のコーチだよ。」
(少しでも颯砂くんの助けになれたなら、うれしいな……)
ダーツコーナー
「あれ?どうした、調子悪いじゃん。」
「いつも通りですっ!」
「そうかな?投げてみてよ、離れて見てみるから。」
「うん。じゃあいくよ。 あれ?もう一回……」
「ほら、ひじが横になってる。脇締めて、手は縦に振る。」
「こ、こう?」
「うん、それができたら横に外すことはないよ。」
「わかった、やってみる。 やった!入ったよ、颯砂くん!」
「うんうん、完璧じゃん。よし、その調子で次行こう!」
(ふふっ。颯砂くん、教えるの上手だな……)
ゲームセンター
「クレーンゲームの景品って、色々あんだな。何か欲しいのある?」
「みんな微妙だよ?」
「それに、どれも取れそうもない。」
「うん、無理だよね……」
「……でもさ、そうなると逆に勝負したくなってくる。」
「え?」
「ちょっと待っててよ。」
︙
「ダメだった……」
「残念だったね?」
「あっ!! 時間差で落ちた!!」
「えっ!」
︙
「これって……取れた、でいいのかな?」
「うん、もちろん!颯砂くんの勝ちだね?」
「やっぱりきみは勝利の女神だな。きみがいれば負ける気しないよ。」
(颯砂くん……うれしいけど、大袈裟だよ……)
カラオケBOX
「ほら、どんどんいかないと、時間がもったいないよ。」
「お先にどうぞ。」
「え? もう入れてあんの?」
「うん、人気ナンバーワンの歌だって。」
「『1000年先も愛してます』って……」
︙
「…………」
「素敵な曲だね。」
「なんか、歌詞が完全にプロポーズしてるみたいだよね?」
「うん。なんか感動したかも。」
「そか。……で?答えは?」
(えぇと……答えって言われても……)