ときめき会話 森林公園 颯砂希

 

森林公園

並木道(花見)

「パッと咲いてパッと散る。ちょっと、あっけないよな。」

「また来年も咲くけど?」

「そうだな、年一回の勝負。オレのインハイと一緒だな。」

「その時のために、一年間がんばってるのも一緒だね?」

「うん。でもさ、桜は毎年ずーっと続くけど、オレのインハイは限りがある。見事に咲かせないとな。」

「うん、颯砂くんなら、大丈夫。」

「きみが言うと不思議といける気がしてくる。よっし、オレもパッと咲いてパッと散るか!」

「ふふっ、颯砂くんは散らないでいいんだよ?」

「……きみの笑顔はさ、一年中咲いてるな?」

「えっ?」

「えっ? いや、何言ってんだろな? 忘れて、ゴメン!」

(颯砂くん……)

 

ホタルの住処(春)

「ホタルの住処ってさ、池じゃなくて泉なんだって。」

「湧き水が豊富だからね。」

「ちょっと知ってる感じ出そうとしたら、失敗。」

「え?」

「きみ、街の情報に詳しいだろ?」

「颯砂くんだって、陸上だけじゃなくて、運動や体のことすごく詳しいよ。」

「そりゃ、小さい頃から、こればっかりやってるからさ。詳しくもなる。それに、きみのは自分のためじゃないって感じする。」

「え?」

「オレのもってる特殊な能力や知識は、全部自分のために身に着けたもの。それにオレは、それを自分だけのために使ってる。きみみたいに、沢山の人に教えてあげたり、そういうのと全然違うんだ。」

「颯砂くん……」

「ごめん、話それた。とにかく、オレはきみに憧れてんだ。」

(颯砂くん……何か迷ってるのかな)

 

ホタルの住処(夏)

「透明度が高いんだな、ほら、水草が揺れてるのがわかる。」

「ボートで浮かんでみたいかも。」

「ボートなら噴水の方にあったけどさ……」

「颯砂くんは、いや?」

「ボートはいいよ。でもさ、あの白鳥の足漕ぎボートは色々きつい。」

「嫌いなの?」

「物理的にきついんだって。オレの身長だと、首をまげて外に出さなきゃ乗れない。白鳥の首が2本みたいになんだぜ?」

「えっ……ふふっ!」

「想像して、笑うなよ! さらに両足は入んないから、片足で漕ぐしかない。はぁ……」

(ちょっと見てみたいかも……?)

 

ホタルの住処(秋)

「この辺にテント張ってさ、キャンプとかできそうじゃん?」

「夜はけっこう寂しいかもよ?」

「なんだよ。ホラー映画の見過ぎだって。」

「ホラー?」

「あれだろ、若者たちが湖畔でキャンプしてってやつ。」

「えぇと……ホタルの保護区域だから、人はいないよ?」

「あ、そういうこと?」

「ふふっ、ホラー映画思い出しちゃった?」

「完全にそういうフリかと思ったよ。幽霊には勝てないけど、物理攻撃可能な相手には……なんとかなんな。」

「颯砂くん、どうしたの?」

「ヤバい奴から、きみをどう守るかって話。背負って走るのが一番だった。あ、前に抱いても大丈夫だよ?」

(なんか、荷物っぽい扱いだな……)

 

ホタルの住処(冬)

「ここの外周って、ちょうどトラック一周くらいだな?」

「タイム計ってみる?」

「いいよって言いたいけど、ダメ。」

「え?」

「オレ、走るときは本気だし、きみが見てるならなおさら。でも、ここで本気で走ったら、足首痛めるだろ。」

「そっか。変なこと言ってごめんなさい。」

「謝んなって。グラウンドならいつでもいいよ。ていうかさ、きみにタイム計ってもらうのいいかもな。」

「え?」

「オレ、きみが見てたらギアが勝手に上がる感じする。ちょっと、一回さ 試しに応援してみてよ。」

「ええっ?ここで?」

「うん、頼むっ!」

「えぇと…… 颯砂くん、がんばって!」

「もうちょい、本気で。」

「颯砂くん、ガンバレ!!」

「……やべ、なんか来た。ちょっとオレ行ってくる!」

「ええっ!?」

「はっ!」

(行っちゃった……足首、大丈夫なのかな?)

 

植物園

「ここ来るとさ、サラダを想像しちゃうんだよな。」

「ダメだよ、ここの草食べたら。」

「食わないって!ドレッシングないし。」

「そこなの?」

「でもさ、『ここの草』っていうきみの言い方も、大概だよ?」

「ふふっ、そうだね。颯砂くんはサラダが好きなの?」

「野菜は栄養補助にもなるし、アスリートにとって重要ってくらいかな。あ、きみの手作りなら、いくらでも食べるけど。」

「手作り野菜?」

「それじゃ、御影先生みたいだろ?野菜料理ってこと。」

「そっか。お料理勉強してみようかな?」

「…………」

「颯砂くん?」

「ああ、ごめんごめん。きみのエプロンと三角巾いいなって。」

「えっ?」

「なんでもない!ほら、草、見に行こうぜ!」

(何か想像されてた……?)

 

博物館:常設展

「なあ、本当にここ楽しいか?」

「正直失敗したかなと思ってる。」

「はっはは。正直オレも。じゃあ、なんでオレたち何回もここ来てんだよっ。」

「ふふっ、ほんと。どうしてだろう?」

「きみだよ、オレはきみが好きなんだと思ってた。」

「わたしも、颯砂くんが。」

「面白いな、オレたち。そんじゃ、まあ、せっかくだから、見ていく?」

「うん、せっかくだからね。」

「運命の人って、こういう感じなのかもな?」

「え?」

「ほら、また変なお面見に行こうぜ。」

(意見が合うのってうれしいな……でも颯砂くん、なんて言ったんだろう?)

 

温水プール

「そろそろ休憩にするか。」

「もう、疲れちゃったの?」

「うん、なんでかな? ふぅ、こんなんで、疲れるって……変だな?」

「颯砂くん、大丈夫?具合悪いの?」

「おっ…… う、うん。大丈夫。高地トレーニングだ。」

「なに?」

「水着のきみが目の前にいるとさ、オレはいいトレーニングができるってこと。」

「えぇと……」

「別に、ジロジロ見てるってことじゃないって。」

「なんか、恥ずかしいよ?」

「やべ、頭冷やしてくるっ!」

(颯砂くん……飛び込み禁止だよ!)

 

スケート場

ミニスカート追加コメント

「スカートがひらっ、ひらって……やべぇ、目が勝手に追う……」

「え?」

「もうだめだ。オレ、抗えねぇ……」

「寒くない?」

「あたためて♡」

「いいよ。」

「えぇと……」

「ほら、手、ポケット入れてみてよ。」

「え?」

 

「わあ、あったかい。」

「だろ?ホットドリンク。 これ飲んで、『ほっと一息』いれるか。」

「うん。」

「あれ……面白いって思ったんだけどな……」

(颯砂くん……? ダジャレ?)

 

フリーマーケット

「すごい人出だな。きみ、大丈夫?」

「うん? 少し休みたいの?」

「オレは平気。きみのこと聞いてるんだよ。」

「そっか、ありがとう。じゃあ、少し休もうかな?」

「うん、ちょっと待ってて。飲み物買ってくるよ。」

「これ、口止め料だってさ。」

「ええ?……パプリカ?」

「飲み物買いに行ったらさ、向こうで御影先生が野菜売ってた。売れ残りらしい。あと、氷室教頭には言うなって。」

「ふふっ、先生らしいかも。」

「ああ。あとオレたちのことも見てたって。」

「えっ、なんか言ってた?」

「あ、うん……なんか、カップルみたいとか。」

「えっ!?」

「オレは異論ないよ。カップルで…… だからさ、もう一周しようぜ。今度はもっとそれっぽく。」

(周りからは恋人に見えるのかな……なんか恥ずかしいかも)

 

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