グループデート会話 森林公園 柊・氷室・御影
公園通り:ショッピング
「イノリ君、どこか気になってる店でも?」
「ただのリサーチです。でもみんな、興味あると思いますよ。 今、女子の間で何が流行ってるのか?プレゼントに欲しいものとは? とか。」
「そりゃあ、知っておいて損はないな。」
「はい。直接、本人に聞いた方が安心ですしね。」
「えっ……わたしの意見でいいの?」
「もちろん。女子は君しかいない。」
︙
店員「いらっしゃいませ~♪」
「……なかなかだな。」
「このショップとか、キュート系が流行ってるみたいです。」
「ハードル高い……」
「ええ、男性客を拒んでますね。」
「そうかな?」
「特に小次郎先生は……」
「おひとりでは来ない方がよいかと。」
「言われなくても、来ねぇよ。」
「えぇと……どうしてですか?」
「わからない? じゃあ夜ノ介先輩、こちらへ。」
「お、おい。どうしたんだよ。」
「小次郎先生はそのままで。」
「なんだよ……」
「御影先生の個性と、お店の雰囲気がぶつかり合ってます。」
「えぇと……」
「違和感を通り越して、少し怖いですよ。」
「そんなに変かよ?」
「ふふ、そんな事ないです。」
「こーら、笑ってんじゃねぇか。」
(パシャ)
「写真撮っておきました。」
「お、おい、イノリ。」
「あ、見せてください。……ふふ。」
「おまえら、拡散すんなよ。」
「お店に迷惑だから、外に出ましょうか。」
「あ、すまん。」
「失礼しました。」
「すみません。」
(うーん……やっぱりお買い物は、女の子同士かひとりで来たほうがいいかも?)
公園通り:ショッピング2
「夜ノ介先輩、何かいい事ありました?」
「え、どうしてです?」
「並木道を歩きながら、時々、微笑んでましたよね?」
「え……無意識です。」
「そういえば、ショーウィンドウちらちら見てたな?」
「柊くん、何か買いたい物あったの?」
「あ、いえ…… 鏡にうつる姿を見てました。」
「へぇ……夜ノ介先輩も、身なりが気になるんですね。役者ってそういうものですか?」
「いえ。僕は、皆さんと並んで歩いている自分の姿を確認していました。」
「え?」
「?」
「僕は、はば学に入るまでこんな風に出かけたことがなかったので、皆さんと一緒にいる自分を見てました。笑ってるのは、気づきませんでしたけど。」
「柊くん……」
「変ですよね。気を付けます。」
「なんでだよ。いいじゃねぇか。俺もこれからそうする。」
「え?」
「僕も夜ノ介先輩と同じで、こんな経験、ほとんどなかった。それに……君もいる。」
「え……」
「はい。あなたがいるとさらに特別感があります。」
「イノリ、今日はここに決めてくれてありがとうな。また、みんなでショーウィンドウ見に来ようぜ?」
「はい。」
「楽しみです。」
(みんなで一緒にいると、どこでも特別になっちゃうんだな……ふふっ、不思議だな)
森林公園(柊)
「ここに決めたの、夜ノ介だったよな。」
「夜ノ介先輩も好きなんですか?ホタルの住処。」
「ええ、きれいな湧水がこんこんと湧いている。いつ来ても癒されます。」
「僕は秋が一番好きですね。 ……君は?」
「ホタルが飛んでる季節かな?」
「わかりやすい。」
「もう、氷室くんの秋だって。」
「公園管理の人から聞いたが、冬の朝もいいらしい。幻想的だとか。 まあ、とは言え、ホタルが舞っている夏の夜だろうな?」
「でしょうね。でも、4人で来るって感じじゃないです。」
「確かに……」
「◯◯、夏の夜はみんな おまえと二人で来たいらしい。」
「僕は別にそんなこと言ってません。」
「はい、できればそうしたいです。」
「えっ!?」
「両極端で面白いな。」
「えぇと……」
「……じゃあ、小次郎先生は?」
「俺はひとりでホタルの観察に来るかな?」
「それはズルです。」
「はい、もう一回答えてください。それと、モーリィさんで逃げるのもナシです。」
「なんだなんだ、二人して。」
(ふふっ、御影先生が責められてる。御影先生が一緒にホタルを見たい人って誰なんだろう……?)
森林公園(柊)2
「ふああ~……」
「小次郎先生、眠そうですね。」
「ふぁ……あ、ごめんなさい。」
「◯◯先輩、君まで。」
「ふぁあ…… これは、失礼しました。」
「ははっ、わるいわるい。謝るのは俺だな。二人とも俺のがうつった。 あれ、イノリは?」
「しません。」
「あくびがうつるっていうのは本当のことなんですね?」
「俗説ですよ。」
「共感がベースにあるらしい。親しい人の方がうつりやすいって、どっかで読んだな。ほらほら、我慢すんな。」
「は? なに言ってるんですか。 東屋の方、行きますよ。」
「イノリ君だけ、御影先生のあくびが伝染しませんね。」
「あいつ、もうちょっと俺に共感してくれてもいいのにな?」
「ふふっ。御影先生、落ち込んでるんですか?」
「では忘れた頃にもう一回チャレンジしてみましょう。」
「ふぁぁ……」
「あっ、今の?」
「ふふ、チャレンジの必要はなさそうですね。」
「我慢してたな、イノリ。聞こえなかったことにしてやるか?」
(ふふっ、あくびを我慢するなんて、氷室くんらしいかも?)
森林公園(氷室)
「この森林公園には、昔からお世話になってますね。」
「うん。小学生の頃から遠足とかで、よく来たよね。」
「そうか。二人とも、はばたき市育ちだもんな。」
「僕はまだまだです。行ったことのない施設が結構あります。」
「夜ノ介先輩は、多忙ですから。」
「じゃあ、今日は夜ノ介が行きたいところに行ってみるか?」
「いいですね。森林公園で気になる施設はあります?」
「いいんですか?僕の希望を聞いてもらって。」
「うん。」
「……では、あの池の白鳥のボート。気になってました。」
︙
「夜ノ介、どうだった?念願のスワンボート。」
「はい。実際乗ると、結構足元が忙しい。体験しないとわかりません。」
「ふふっ、うん。ちょっと疲れたよね。」
「……小次郎先生。僕たちも二人で乗る必要あったんですか?」
「当たり前だろ?楽しかったな、イノリ。」
「はぁ……誰にも見られていないことを願うばかりです。」
「つれねぇな。」
「ふふっ、二人とも楽しそうでしたよ?」
「◯◯、悪い。イノリとも乗ってやってくれ。」
「はい、いいですよ。」
「え、べつに僕は……」
「じゃあ、また俺と乗ろうぜ?」
「遠慮します。……ほら、行くよ。 白鳥じゃなくて、手漕ぎボートね。」
(ふふっ! 氷室くんは、スワンが恥ずかしかったのかな?)
森林公園(氷室)2
「森林公園は広いのに、ここにだけホタルがいる……不思議です。」
「湧水が関係していると聞きましたが、違うんですか?」
「きれいな水は住みやすいだろ?で、適温で安定していれば、長生きにもなるかな。」
「ここは、ホタルにとって特別な場所なんですね。」
「そうだな。ただ、心の声が……って噂は、よくわからねぇな。」
「それもホタルに関係しているんですか?」
「俺はホタルの飼育もしてたけど、聞こえたことないな?でも、ひとり暮らしで、妙な声が聞こえたら……」
「えっ……それは怖いです。」
「小次郎先生、残念ですけど、一緒にいる相手の心の声が聞こえるんですよ。ひとりぼっちじゃダメですね。」
「はいはい、そうですか。どうせ俺はひとりぼっちだよ。」
(ふふっ。御影先生、ひとり暮らしでさみしいのかな?)
森林公園(御影)
「俺たちも東屋に行ってみようぜ。」
「あ、人がいますよ。」
「二人の世界に入ってますね、あれは。」
「……なんだ、イノリ。二人の世界に興味ありか?」
「なんですかそれ。」
「あのシチュエーションならそうなりますよ。相手しか見えないし、周囲の音も届きにくい。」
(だからあの場所は特別なんだ……)
「◯◯、おまえも興味ありって顔だな。」
「ふーん、そうなんだ。」
「いいですね。じゃ、行ってみましょう。」
「じゃあせっかくだから、男女二人で行くってのはどうだ?」
「コホン……ええ。」
「はい……それで。」
「◯◯、運命の三択だ。」
「三択? それって、小次郎先生も……」
「入るんですか?」
「当たり前だろ。」
(えええっ!? 急にそんなこと言われても……!)
森林公園(御影)2
「さてと、今日はどうしたい?」
「小次郎先生がここに決めたんですよ。目的があったんじゃないですか?」
「ここなら、つぶしが効くだろ? 植物館、博物館、プール……くつろぐだけもありだ。」
「どの施設も魅力的ですね……」
「じゃあ、てくてく歩いてみるか。」
「ここで突っ立ってても仕方ないですしね。」
「ふぅ……導かれるように来ちまった。」
「パワースポットに導かれるなんて……小次郎先生、もしかして弱ってます?」
「そうかもしれませんよ。御影先生、湧水がここのパワーの源と聞きます。触ってみてください。」
「少し頭に振りかける方がいいんじゃないですか?」
「こら、イノリ。本当にやる気か?おまえ。」
「そうだ、イノリ君。かけるより 直接、体に取り込んでもらった方がいい。御影先生、飲んでください。」
「ええっ!?」
「こら、夜ノ介!」
「ふふ、冗談です。」
「でも、元気になってますよ?」
(二人とも、御影先生が心配なのか、御影先生で遊んでるのか……)
スケート場
「小次郎先生がスケートに興味があったなんて。」
「懐かしいだけだ。小さい頃さ、池や湖の天然リンクで遊んだんだ。」
「へぇ、すごいですね!」
「僕は立っているのがやっとなんで、教えていただきたいです。」
「自分の有利な場所に誘い込んだというわけですか?」
「そういうことだ。行くぜ?」
︙
「柊くん、上手になったね?」
「あなたも。御影先生のレッスンのおかげです。」
「イノリ、いいじゃねぇか。波の上も氷の上も制覇だな。」
「小次郎先生の言う通りですね。前のめりにならずに、重心は真ん中に。サーフィンと同じだ。」
「夜ノ介も立ち姿がかっこよくなった。フィギュアの選手みたいだぜ?」
「ありがとうございます。でも滑り出したら、よちよちです。」
「そんなことない。もういっかい滑ってみようぜ。」
「もしかして……小次郎先生って教えるのがうまい?」
「うん。勉強だけじゃなくて、何でも優しく教えてくれるんだよ。」
「そっか……だから時々、レーイチさんが理想の教師かもって言うのか……」
「ん?」
「いや、何でもない。」
(氷室くん、今、氷室先生のこと言ってたよね……?)