グループデート会話 はばたき山 柊・氷室・御影

 

動物園:動物園内

「この動物園の顔はやっぱり、ゾウの『コナ美』。」

「長くここにいるもんね。」

「小学校の写生会で何回も描いたよ。」

「おお、それいいな。やろうぜ?」

「ええ?」

「はい、楽しそうですね。」

「……夜ノ介先輩がやってみたいなら、いいですよ。」

「よっし、売店でノートとペンくらい売ってんだろう。待ってろ。」

「ああ、御影先生!」

「もう行っちゃった。ほんと、すごい行動力。」

「夢中になりすぎたな、写生大会。」

「はい。スケッチは上手くできました。」

「せっかくだ。色も塗って仕上げは各自な。今日の写生大会はここまでだ。」

「まるで学校行事みたいですね。」

「皆さんと一緒の写生大会、楽しかった。」

(ふふ!柊くん、楽しそう。よし、わたしも家で仕上げようっと)

 

動物園:動物園内2

(サルの鳴き声)

「え……どうしたんだろう?」

「サル山のエサの時間だ。」

「不穏な空気ですね……」

「ええ、殺気だった鳴き声です。」

「行ってみようか?」

「……はい。」

「ボスザルって、意地悪。」

「他のサルのエサを奪ってましたね。」

「うん。大きくて強そうだから、みんな怖がってた。」

「でも役割もあるんだぞ。食べ物をめぐるケンカを仲裁したり、別の群れとの争いで戦ったりさ。」

「自分からケンカしてましたよ?」

「別の群れはここにはいませんし。」

「まあ、そうだな。動物園のボスザルの存在意義か……調べてみても面白いかもな?次の課外授業は、動物園でサル山の観察だ。」

(ふふっ。今度の御影先生の課外授業、楽しみだな)

 

遊園地:ジェットコースター

「はあ、最高でした。特に最初の一回転。」

「ええ、登り切ったところから、一気に下って一回転。体が浮きましたね。」

「う、うん……あそこが一番怖い。」

「最初から最後までずっと怖ぇよ。」

「ここのコースターは、そんなにスゴイものなんですか?」

「大規模だと思います。はばたき市はそういうところ、力入れますからね。」

「そうか……嬉しいです。」

「柊くんは、あまり遊園地とか行けなかったんだよね?」

「ええ。でもそのおかげで、今日の皆さんとのコースター体験がより楽しく感じてます!」

「……夜ノ介先輩、もう一回行きましょうよ。」

「おう、行くに決まってるだろ!」

「御影先生、無理をなさらずに。」

「良かったね、柊くん。わたしも行くよ。」

「ありがとう。では、隣の席でお願いします。」

「え?」

「お二人に、怒られますかね?」

(ふふっ! 柊くん、楽しそう)

 

遊園地:ジェットコースター2

「やっぱり、コースターは人気ですね。」

「ええ、やっとここまで来ました。待ち時間も、スパイスです。」

「……この悲鳴もね。」

「はぁ……いつ来ても、緊張するな。」

「だよな、歯医者の待合室と同じ。」

「え?」

「ドリルの音だろ。患者の悲鳴。」

「似てますね……」

「そこ、何ヒソヒソ話してるんです?ほら、もうすぐですよ。」

「はいはい。 ……ん? あれなんだ?」

「ええと、『身長制限。これ以上小さいおともだちは乗れません』……だそうです。」

「『これ以上大きいお友だちは乗れません』なら、ワンチャンあったのにな?」

「何言ってるんです。はい、僕らの番ですよ。」

「はい、行きましょう!」

「御影先生、惜しかったですね。」

「ああ、お互い頑張ろうぜ?」

(わたしもあまり得意じゃないけど……御影先生の方が苦手そう?)

 

遊園地:バンジージャンプ

「空に飛び出した瞬間、全てから解放された気がします。」

「僕もそれに近いです。飛ぶ前から自然に表情筋が緩みます。」

「二人ともすごいね……怖くないの?」

「ああ、どういう思考回路でそうなんだよ。」

「では、御影先生は 飛んでる時はどんな感覚なんですか?」

「無だ、無。何も考えないようにしてる。考えたら終わりだよ。」

「わたしも…… 怖いことばかり考えちゃう。」

「だよな。命綱が切れないか、そもそも着け忘れてないか、とか?」

「は、はい……」

「そんなこと絶対ありませんよ。」

「絶対? じゃあ、なんであそこに巨大なエアクッションがあるんだよ?」

「え、それは…… もしもの時のために。」

「ほら見ろ、絶対なんてことはない。」

「そう、ですよね……」

「僕は目標かと思ってました、エアクッション。違うんですか?」

「目標?」

「マットに円が書いてありますよね。あの真ん中に落ちていく。」

「それ、面白いですね。ダーツみたい。夜ノ介先輩、もう一度行きましょう。」

「ええ、じゃあブル狙いで。」

「ははっ、そうですね。的を外さないように。」

「お二人ともすみません。もう一度、飛んできます。」

「ああ、好きにしろ。ここで待ってる。」

(柊くんも氷室くんもすごいな。でも的を外すって、笑い事じゃないよ……!)

 

遊園地:バンジージャンプ

「何度やってもダメだ……」

「御影先生……大丈夫ですか?」

「ああ、なんとかな。でももうダメだ。」

「小次郎先生、諦めたらそこで終わりですよ。もう一度、行きましょう!」

「おい、イノリ。おまえ、楽しんでんな?」

「小次郎先生が高所恐怖症を克服したいって言ったんじゃないですか?」

「そうだけどさ、荒療治にもほどがあんだよ。もうちょっとマイルドなのあんだろ?」

「そうですね……観覧車くらいから、慣らしていくのはどうですか?」

「一気に頂上までいくか、一歩ずつ登っていくか。どっちかですよ。」

「うーん……」

「小次郎先生なら前者でしょうね、一気に頂上。そう思ってましたが。」

「まあな。ちまちま行くのは性に合わねぇな。」

「えっ、大丈夫なんですか?」

「はい、無理はしない方が。」

(行っちゃった……御影先生、大丈夫かな……?)

 

遊園地:コーヒーカップ

「えぇと…… 最後にもう一回乗りたいな。」

「うっ……」

「えっ……」

「ええ、そうしましょう。」

「や、夜ノ介、後は頼む。」

「夜ノ介先輩の雄姿を見届けます。」

「氷室くんも、御影先生もどうしたんですか?」

「君のグルグルにやられてるの、わからない?」

「少し回しすぎたかな……」

「少し、な。」

「少し、とは……」

「ごめんなさい…… もう回さないようにするね。」

「どうしてです?ハンドルが取れるまで、回しましょう。」

「おおー。惚れちまいそうだぜ、夜ノ介……」

「ええ。」

「さあ、行きましょう。」

「えっ!?」

「さ、思いっきり楽しみましょう?」

「うん……!」

(うれしいけど、氷室くんと御影先生を置いてって大丈夫なのかな?)

 

遊園地:コーヒーカップ

「はあ……楽しかったです!」

「うん!」

「4人乗りカップなんて、あったかぁ?」

「数は少ないみたいですけど、運が良かったですね。」

「おかげで、みんなで乗れたね。」

「◯◯先輩、夜ノ介先輩も、回しすぎですよ……」

「あ、すみません。ついはしゃいでしまいました。」

「4人乗りは回転スピードが遅いのかと…… 侮ってたな……」

「ええ。大きさより、操縦者の問題でしたね。」

「えぇと……二人とも大丈夫ですか?」

「すみません。どこまでいけるか、限界を知りたくなってしまって……」

「そうか。俺は自分の限界を知れたんで、満足だよ。ベンチで座ってる。」

「僕も限界への挑戦は、ここまでにしておきます。」

「あ……」

「……ふぅ。 次は二人乗りだね?」

「ええ?」

「さっきはお二人がいたので、遠慮しました。あなたとなら、本気で行けますよ?」

「ふふっ! 望むところ!」

「そうこなくっちゃね。最後、行きましょう!」

(氷室くんと御影先生には申し訳ないけど……柊くんが一緒に楽しんでくれてうれしいな)

 

牧場:キャンプ場

「キャンプの醍醐味は、不自由を楽しむだぜ?じゃあ手分けして、作業開始だ!」

「僕はテントから。」

「◯◯、野菜も持ってきた。下ごしらえ頼む。」

「はい。御影先生の育てた野菜ですね。」

「おう、べっぴんさんたちだ。夜ノ介、一緒に火起こしてみるか?」

「是非。木をこすり合わせるあれ、ですよね?」

「あれだー。挑戦してみようぜ?最後の手段のファイヤースターターもあるから大丈夫。」

「夜ノ介先輩、もう少しです!」

「わぁ、すごい……!」

「煙です!」

「やったな!これがキャンプの醍醐味だ!」

(ふふっ、みんな楽しそう!4人でキャンプ、こんなに楽しいんだね!)

 

牧場:キャンプ場2

「はぁ、気持ちいい…… イノリ君がここに決めてくれてよかった。」

「そっか。ここは氷室くんのお気に入り?」

「僕だけじゃない。」

「おーい! おまえら、こっちだ。いい場所があるんだ!」

「……ね?」

「ふふっ!御影先生が一番楽しそうかも?」

「僕だって、ここの雰囲気気に入ってますよ。」

「なら、わたしも。」

「君が喜んでくれなきゃ意味がない。」

「どうしたんだ?人数分釣り上げないといけないんだぜ?」

「御影先生、今回は魚釣りですか?」

「岩魚、マスが今朝放流されたから、それを釣って食べよう。」

「人数分は釣り上げないと。」

「そういうことだ。良く釣れるエサも買ってきた。ブドウムシちゃんだ。」

「ぶどうむし……」

「ガの幼虫だよ。」

「えっ……」

「そう、釣れるぞ。針をおしりから入れて、頭から出すといい。」

「そうすると、釣れやすいんですか?」

「ああ、体にそって針を入れれば針が隠れるだろ?」

「なるほど……面白い。」

「う、うん……」

「女子にはキツいかもな。イノリ、夜ノ介、手伝ってやれよ。」

(……ということは、この虫を食べたお魚を、わたしたちも……うん、あまり考えずにおいしく頂こうっと)

 

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