学食会話 柊夜ノ介・氷室一紀・御影小次郎

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ふたりの食事事情

「ところで、二人の食事事情が気になってます。」

「氷室くん、急にどうしたの?」

「君と僕は、普通に家で家族と食べるでしょ?」

「うん。」

「僕は家族と、あと劇団の方と一緒に食べます。」

「そうか。大勢で食べるご飯は美味いんだろうな。」

「御影先生はおひとりですよね。」

「ああ、ずーっとおひとり様だ。」

「けど、不思議なことに小次郎先生にそのイメージが無いんですよね。」

「ええ、確かに。御影先生の周りはいつもにぎやかです。」

「うん、いつも楽しそう。」

「だろ?家でも一緒。ひとりで楽しくやってるよ?」

「今のは一瞬、憂いがありましたね。」

「そうかぁ?」

「御影先生、大所帯ですが よろしければ今度、夕食にご招待します。」

「おお。夜ノ介、俺も劇団はばたきに入れてくれるのか?」

「どう聞いたら、そう聞こえるんですか?」

「イノリ君。御影先生なら、十分やっていけますよ。生物の授業を見ていればわかります。」

「お、座長のお墨付きもらったぞ。」

(御影先生が役者さんになったら、か……ふふっ、なんか人気出そうかも?)

 

グングン成長

「みんな、たくさん食べて大きくなれよ。」

「いきなりどうしたんですか?」

「実際、おまえたちはグングン成長してるだろ。たくさん栄養を吸収して、大きくなって欲しいってことだ。」

「なんだか、植物みたいですね……」

「僕たちは野菜じゃありませんよ。ね、夜ノ介先輩。」

「ええ。……あ、でも小さい頃、なすびに似てるって言われたことがある……」

「えっ……ナス?」

「小茄子の夜ノ介か。かわいいじゃねぇか。」

「ふふっ!うん、かわいい。」

「そうですか?おかっぱの髪型が、ナスのヘタに見えたんでしょうね。」

「はっはっは。今度から、ナス育てる時は夜ノ介思い出しちまうな。」

「僕はますます食べられなくなりました……」

(小茄子の柊くんを育てる御影先生に 苦手そうに見つめる氷室くん…… ふふっ、面白い図だな)

 

カップ麺には注意

「イノリはカップ麺好きだったよな?」

「ええ。……それが何か?」

「何で怒ってるんだよ。」

「食べすぎは良くないとか、いやってほど言われてきたんで。」

「でも、食べすぎはダメだよ?」

「ほら、こうやって。」

「なるほど。でも、食べすぎるほど美味しいんですか?」

「ええ、新商品は試したくなります。で、小次郎先生、カップ麺がどうかしました?」

「ああ、俺の実家からカップ麺がたっぷり送られてきたから、いるか?」

「御影先生のご実家って……牧場ですよね?」

「牧場のカップ麺ですか?」

「うちは商魂たくましいから、何でもやる。『牧場のミルクラーメン カルシウム増量中!』だって。」

「珍しい。是非。」

「面白そうですね。僕たちにもいただけますか?ね、あなたも。」

「う、うん。」

「おう、こっそり宣伝もたのむ。高校生の間でひそかにブームって、キャッチコピーにしたいらしい。」

ステマですか。」

「すてま?」

(御影先生のご実家って、本当に何でもやるんだな……)

 

成長期だから

「夜ノ介もイノリも、意外とよく食べる。」

「今食べないで、いつ食べるんですか?成長期ですから。」

「ふふっ。氷室くんはもっと大きくなりたいんだね?」

「その言い方、やめて。あくまで身長伸ばしたいだけだから。」

「イノリ君はもっと身長が欲しいんですか?」

「ええ、まあ。」

「柊くんは、違うの?」

「ええ、体重も身長も、今のままキープするのが最善です。衣装が合わなくなるので。」

「なるほどなぁ。夜ノ介みたいに女形もやるとなったら、衣装の数もすごそうだよな。」

「でも、夜ノ介先輩個人としてはどうなんです?」

「そうですね……イノリ君と一緒。御影先生くらいになってみたいです。」

「おう。でもな、人も野菜も大きくても中身がスカスカじゃ意味ないだろ?」

「中身で勝負ですね。」

「僕は大きくて中身もぎっしりで。」

「いいぞ。その精神でいっぱい食べて大きく育てよ~。」

(ふふ。柊くんも氷室くんももっと大きくなるのかな?)

 

動物は飼えない

「御影先生は、学校でもご自宅でも植物を育てていますよね?」

「おう。夜ノ介、急にどうした。」

「動物は飼われていないんですか?」

「そう言えば、聞いた事ないですね。」

「モーリィちゃんは、ご実家にいるんですよね?」

「はははっ、マンションで牛は飼えねぇよ。」

「犬や猫もダメなんですか?」

「日中ひとりじゃかわいそうだろ?」

「たしかに、そうですね……」

「それに、学校に行けばたくさんいるだろ?」

「え?」

「学校で飼ってるニワトリとかですか?」

「まあ、それでもいいか。」

「ふふっ。僕たちのことですね?」

「え!?」

「ハァ……小次郎先生には、僕たちが野菜や動物に見えてるんですか?」

「はははっ。みんなかわいくて、元気で、どんどん育つ。似たようなもんだろ?」

(大事に思ってくれてるのはわかるけど……野菜や動物と同じか……)

 

いっしょで大丈夫?

「小次郎先生、僕たちも一緒でいいんですかね?」

「どうなんだ?夜ノ介。」

「えっ?」

「お邪魔なのかな、と。」

「そ、そんなことないよ……!」

「夜ノ介もそれでいいのか?」

「はい、今は4人で過ごしたいです。二人きりの時間は、別にとりますから。ね?」

「う、うん……」

「はぁ……」

「左様ですか。 ちょっといじってやるつもりが、のろけられたな。」

「はい。敵いそうもありません。」

(えぇと……二人とも、わたしと柊くんの関係を気にしてるみたい?)

 

柊くんと急接近

「…………」

「…………」

「お二人とも、どうかしたんですか?」

「うん、何かあったんですか?」

「イノリが気を使ってるんだよ。」

「ふぅ……すっかり忘れました。今までどんな話してました?僕たち。」

「今までって?」

「君と夜ノ介先輩が急接近する前ってこと。」

「えっ!?」

「急接近?」

「イノリの気持ちもわかる。こういう時は、急接近した二人が話題提供するのがいいんじゃねぇか?」

「そうですね。よろしくお願いします、夜ノ介先輩。二人で行ったデートの感想とかで。」

「ええ……?」

「わかりました。」

「ええっ!?」

「◯◯、なんでおまえだけそんなに驚くんだよ。」

「言ってはいけませんか?」

「いけないことはないけど……」

「あの日は気持ち良く晴れていました。待ち合わせ場所に現れたあなたのファッションはいつもより大人びていましたね――

「 !? 」

「へー、さすが夜ノ介。情景が浮かんで来る。いいぞ。」

「うん、それで?」

「ちょっと、柊くん!だめだよ!」

「なんで?」

「じゃあ、続きはおまえのいないところで聞いとくよ?」

「それも、だめです!」

「ダメだそうです。」

(はぁ、びっくりした……柊くん、急に何言いだすの?)

 

増えるふたりの時間

「イノリ君。今日は二人じゃなくて、良かったんですか?」

「おお。夜ノ介、直球だな。 イノリはどう打ち返す?」

「? どういうことです?」

「それじゃダメだ。 な?おまえからも言ってやれ。」

「えーと……?」

「最近、あなたとイノリ君、二人の時間が多いと 御影先生と話してました。」

「そういうこと。ちょっとしたジェラシーだ。」

「ええ?」

「だから、気を利かせて、俺たちは隣のテーブルにでも移動するかってことだ。」

「小次郎先生が一番子どもっぽいですよ。
 移動するなら、もっと遠くにお願いします。」

「そんな怒るなよ…… な、夜ノ介。」

「イノリ君、すみません。でも、二人でランチしたいときは、そう言ってください。」

「では、お言葉に甘えて。◯◯先輩、行こう。」

(えええっ! こ、この流れで……!?)

 

ミックスジュース無料

男子生徒A「はばたきミックスジュース、一杯無料だってさー!」

男子生徒B「お、マジ!?」

「◯◯先輩、はばたきミックスジュース好きだったよね? ……いる?」

「いいの?」

「おお、取ってきてくれるのか?サンキュー。」

「……わかりました。夜ノ介先輩と小次郎先生の分も持ってきます。」

「イノリ君、やさしいですね。」

「うん。」

「俺たちのは、思いっきりついでだったけどな。」

「そう思わせるのも、イノリ君の優しさに感じます。きっと言わなくても持ってきてくれましたよ。」

「すみません、ラスト1個でした。なので、君に。」

「あ、ありがとう……」

「ま、いいんじゃねぇか?」

「仕方ありませんね。」

「?」

(なんだか飲みにくい……)

 

ふたりが目くらましに

「僕たちは、目くらまし?」

「大切な役割ですよ。」

「うん?」

「え?」

「君と小次郎先生二人じゃ、浮くって話。」

「おい、何言ってんだよ。ランチはワイワイ食べる。学食の基本だろ?」

「そうですね。」

「……君もそれでいいの?」

「うん、もちろんだよ?」

「よかった。ではイノリ君、目くらましの役割をしつつも、楽しませてもらいましょう。」

「はぁ、妙な気を遣うなよ。」

(御影先生と二人でランチか……それはちょっと恥ずかしいかも?)

 

食べるローテーション

「野菜、野菜、肉、野菜のローテーションで食べようぜ?」

「ふふっ、野菜ばかりですね。」

「……楽しそうですね。」

「え?」

「イノリ君、もう少し二人にしてあげてください。」

「ああ、そうですね。」

「なに、ごちゃごちゃ言ってんだ。おまえたちも、野菜中心でよく噛んで食べろよ?」

「この雰囲気……学食じゃなくて、家族の食卓という感じでしょうか……」

「おお、それ面白いな。俺がお父さんで、おまえがお母さん。」

「え……ええっ!?」

「さらっと言った……」

「じゃあ、僕は長男ですね。」

「え、夜ノ介先輩?」

「そこは、夜ノ介兄さんです。いいね?イノリ。」

「えぇ……?」

「いいぞ、夜ノ介。」

(柊くんと御影先生は楽しそうだけど…… 氷室くんは、どこか不満げ?)

 

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