校内出歩きイベント 柊夜ノ介編

 

勉強

柊夜ノ介

(あっ、そうだ。図書室に本を返しに行かないと)

 

女子生徒A「さっきからずっとだよ……」

女子生徒B「どうしたのかな、夜ノ介君……具合でも悪いのかな?」

(え……柊くん?)

「はぁ…… あ、あなたでしたか。」

「柊くん、どうかしたの?」

「いえ、僕の問題です。また貴重な時間を無為に過ごしてしまいました。勉強をしようと思い、ノートと教科書を開くのですが、そこからただただ、ぼうっとしてしまいました……」

「あ、行っちゃった……」

(劇団の仕事と学校の勉強、どっちもなんて、大変だよね……何かお手伝いできればいいけど)

 

(そういえば……この間柊くん、図書室で一人で勉強するの困ってたよね……)

 

(柊くん、閲覧席にはいないみたい……)

「◯◯さん、誰かを探していますか?」

「あ! うん、柊くんを探してたの。」

「僕に用事? なんでしょう?」

「ううん。ただ、一緒に勉強できればって。」

「そうですか。ありがとう、是非お願いします。」

「うん。わたしもひとりだとなかなかやる気出ないから。 あれ、それは……?」

「ええ、先ほど見つけました。……中学生の参考書。僕にはちょうど良さそうです。」

「え?」

「お恥ずかしいですが、特に中学三年の時は、あまり学校に通えませんでしたので……」

「劇団がはばたき市に来る前だもんね。」

「理事長のご厚意で入学させていただきました。皆さんのようにはいきませんが、少しでも近づければと思います。早速、やりましょう?」

(柊くんは凄いな。忙しいはずなのに……わたしにできることは協力してあげたいな)

 

(柊くん、図書室で勉強がんばってるかな……? 行ってみよう)

 

「◯◯さん、来てくれたんですね。」

「うん、がんばってるね?」

「ええ。中学生の参考書を見つけてからは、呆然とする時間は無くなりました。」

「よかった。このまま進めていけば大丈夫だよ。」

「あなたがそう言ってくれると、心強い。そうだ。わからないところがあるんです。こちら、いいですか?」

「うん!」

「そうか……午前中の英語の授業でやっていた “過去進行形” の意味がやっとわかりました。」

「ふふっ、良かったね。きっとどんどんわかることが増えてくよ。」

「ありがとう。あなたは僕の先生です。」

「ううん。わたしも勉強になってるから。ありがとう。」

「あなたって人は……泣かせないでください。」

「ふふっ。これくらいで泣いちゃダメだよ?まだまだ学ぶことはいっぱいだから。」

「ですね。 “過去進行形” の意味がわかっただけ。先は長いですね。先生、これからもよろしくお願いします。」

(わたしも柊くんと一緒に勉強できて楽しいな……!)

 

風真家の蔵

柊夜ノ介風真玲太

「ぜひお願いしたいです。頼めますか?」

「かまわないよ。でもさ、そんな面白いものは無いと思うけどな。」

「あ、柊くんと風真くん。何してるの?」

「ああ、何って柊がさ、おじいちゃんの店の蔵が見たいらしい。」

「はい。風真家の蔵には、博物館級の品もあるとお聞きしました。」

「そっか、風真くんのお家は由緒正しい家柄だもんね。」

「まあな。おまえたちが言うと、嫌味に聞こえないのが不思議だ。」

「ええ?」

「なぜ嫌味に?」

「よく言えば純粋。……おまえたちに似たところがあるって、初めて知ったよ。」

「え?」

「あなたと僕が?」

「まあ、わかったよ。おじいちゃんに頼んでみる。じゃあな。」

「ありがとうございます。」

「あ、でも、見映えするものは、だいたい寄贈しちゃってるぜ。」

「いいんです。何かインスピレーションをいただけるだけで。では、僕も行きますね。」

(インスピレーション……?柊くんは新しい演劇のヒントを探しているのかも?)

 

(次の授業は……)

「すみません。風真君、いますか?」

「あ、柊くん?」

「おじゃまします。」

「柊、なんだよ?」

「こないだのお礼に来ました。御祖父様にも、よろしくお伝えください。」

「柊くん、風真家の蔵を見学できたんだ?」

「はい。本当に、興味深い体験でした。」

「ふふっ。柊くん、うれしそう。」

「ええ。舞台づくりのヒントにしたいと相談させてもらったら、色々見せてくださいました。」

「そうだったんだ!」

「ああ、おじいちゃんも喜んでさ、早速次の約束してた。」

「次は、掛け軸や屏風なども準備しておいていただけるそうです。」

「俺も見たことないものもあるから楽しみだ。」

「ええ、待ち遠しいです。」

(風真くんと柊くんと風真くんのおじいさんって、なんだかすごくいい関係だなあ)

 

「うん、いいですね。」

「いや、面白いけどさ。」

(あ、柊くんと風真くんだ)

「◯◯さん、いいところに。」

「どうかしたの?」

「柊が、蔵にあった古文書に興味持ったらしい。」

「はい、御祖父様のお話も含めて、とても興味深かった。」

「古文書って昔の人の手紙……あ、ラブレターとか?」

「ふふん、確かに舞台にはしやすいかも知れませんね。」

「そんなんじゃないよ。『譲状』、昔の財産譲渡の証明書。面白いか?」

「えーと……」

「そう言ってしまえばそうですけど、兄弟姉妹に丁寧に配分されていて、きっとそこには物語がありますよ。」

「なるほどな、さすが座長。掘り下げるところが面白いな。」

「風真君にそう言ってもらえると嬉しいですね。ゆっくり考えてみます。」

 

「新しい演目ができるといいね。」

「どうだろうな?そんな簡単じゃないだろな。でも、何かのきっかけになったら、俺もおじいちゃんも嬉しいよ。」

(うん、どんな演目ができるのか、楽しみだな……!)

 

あいさつ

柊夜ノ介花椿みちる花椿ひかる

女子生徒A「おはようございまーす!」

女子生徒B「おはよー。」

「おはようございます。」

「柊くん、おはよう。ご苦労様です。」

「はい、生徒会の大事な仕事。今日は当番ですから。でも、挨拶強化運動は好きなんです。」

「ボンジュ~ル。」

「ボンジュール。」

「あははっ! ひかるさんおはよう。」

「マリィ、せっかく夜ノ介さんが乗ってくれたんだから、ほら?」

「え?」

「さあ、どうぞ?」

「えーと……ぼ、ぼんじゅーる?」

「うんうん。マリィ、最高!」

「もう、二人とも……」

「おはよう。」

「はい、おはようございます。」

「あれ? みちるさんには言わせないの?」

「お姉ちゃんはムリ。」

「ええ、難攻不落でした。」

「なんの話?」

「『ボンジュール』のことだよ。」

「あはは。マリィは言わされちゃったんだ。仕方のない二人。」

「あ、待ってお姉ちゃん。マリィ、行こう!」

「う、うん。じゃあ柊くん、がんばってね?」

「はい。本当に挨拶強化運動は楽しいです。」

(うーん、柊くんとひかるさんには、要注意かも……?)

 

女子生徒「さようならー。」

「さようなら。お気をつけて。」

「柊くん、お疲れ様。」

「◯◯さん。生徒会の大事な仕事、挨拶強化運動です。」

「好きなんだよね?」

「ええ。皆さん色々楽しい挨拶をしてくれますから。」

「サリュ~!」

「サリュー!」

「え?」

「マリィ、ほら?」

「挨拶強化運動期間ですよ。」

「こらっ。 ヒカルも夜ノ介さんも、悪ノリが過ぎるよ?」

「あ、みちるさん。」

「もう、お姉ちゃん。挨拶運動楽しんでるのに邪魔しないでよ?」

「マリィは楽しんでないし、きっと困ってる。」

「え!? あなたは困っているのですか?」

「えっ、ううん。困ってはいないけど……」

「ほら、お姉ちゃんの勘違い。」

「そうなの?じゃあマリィ、どうぞ。」

「えぇと……さ、さりゅー?」

「うんうん、行こう!サリュー、夜ノ介さん。」

「はい、サリュー。」

「夜ノ介さん、さようなら。じゃあ、帰りましょう。」

「う、うん。」

(うーん……やっぱりわたし、言わされてるのかな……?)

 

(あ、柊くんだ。今日も挨拶強化運動の当番みたい)

「おはようございます。」

男子生徒A「うぃーす。」

「あ、それも楽しい挨拶ですね。」

男子生徒B「うぃー!」

「うぃー。」

「ふふっ!柊くん、また新しい挨拶を覚えたみたいだね?」

「はい。みんな自然と笑顔になる。楽しい挨拶っていいです。」

男子生徒A「そっか、柊もどんどん使えよ。」

「うぃー。」

「ウィ? 夜ノ介さん、ダメダメやり直し。い~い? ボンジュール!」

「ボンジュール!」

「ボンジュール!」

「……ボンジュール。」

「アハハ、お姉ちゃんもできるじゃない♪」

「できるに決まってるでしょ。まあ、今日はそんな気分だっただけ。」

「ふふっ!」

「ふふん。やっぱり挨拶強化運動は好きです。」

(柊くんの気持ち、わかったかも? 面白い挨拶で自然に笑っちゃうっていいな!)

 

 

冷やし中華

柊夜ノ介御影小次郎

「それなら、絶対おすすめだ。好きになるぞ?」

「はい、今度試してみます。」

(あれ、今の声は……)

「◯◯さん、こんにちは。御影先生に冷やし中華について、お聞きしていました。」

「おう。おまえも冷やし中華に興味ありか?」

「こんにちは。二人とも、冷やし中華好きなんですか?」

「いいえ。実は未体験なんです。」

「あんな旨いものなぜ?」

「ふふっ。御影先生は大好きなんですね?」

「おう。一年中食べたいけど、夏しかお目にかかれない。秋になるとふっといなくなる。」

「出はけのタイミングが素晴らしいんですね。」

「さすが、わかってるな。それにおまえ、ところてんが好きなんだろ?」

「はい。酢醤油でいただきます。」

冷やし中華も同じ。胡麻だれもいいけど、圧倒的に酢醤油とカラシ。」

「ところてんもカラシは必須です。」

「なるほど。冷やし中華とところてんは、共通点が多いんだ……」

「そういうことだ。今度、試してみろよ?じゃな。」

「◯◯さん、学食に冷やし中華ってありましたか?」

(えーと……どうだったかな?)

 

「まあ、無理言って学食のおねーさんたちを困らせんのも本意じゃねぇしな。」

「はい、残念ですが……」

「柊くん、御影先生。これからランチですか?」

「◯◯さん。ええ、冷やし中華はないみたいです。」

「そっか。この前、盛り上がってたもんね?」

「ああ。でもさ、季節もんだからな。この先登場する可能性はある。」

「ええ、じゃあ今日は別のものをいただきましょう。あなたも一緒にいかがですか?」

「うん、ぜひ。」

「じゃ、行こうぜ。」

「あ、御影先生。リクエストBOXという手がありますよ?」

「おお、まずは正攻法だな。」

(ふふっ、二人とも学食で冷やし中華、食べられるといいね)

 

「ええ、ぜひお願いします。」

「じゃ、今日の放課後な。」

「あ、柊くんと御影先生? 二人がそろってるってことは……」

冷やし中華です。」

「おまえも、一緒に行くか?放課後。」

「御影先生のおすすめのお店で冷やし中華をご馳走になります。」

「そうなんだ!わたしは遠慮しとこうかな。夜ごはん食べられなくなっちゃうから。」

「それがさ、あっさり醤油だから何杯でもいけるんだ。」

「僕も夜は会食があるので、あっさり醤油にします。」

「ええ? 会食があるのに……大丈夫なの?」

「ああ、一杯じゃ逆にお腹空くくらいあっさり醤油だ。安心しろ。」

「逆に空くってすごいですね……2杯食べたら、どうなるんでしょう?」

「試してみればいい。◯◯、だから安心しろ。いつもより夕ご飯が美味しくなる。」

「えーと……?」

「じゃあ決まりだ。二人とも、後でな。」

「食べたらお腹空くってすごいですね。楽しみです。じゃあ。」

(柊くん、そんなわけないよ……!)