- 自分のペースで走り続ける
- ストッパーを外して
- ハードルの自己ベスト更新
- 記録に満足
- あれからおかしな心拍数
- 思い浮かぶ牧場でのできごと
- 二人三脚のようにトレーニング
- タイムよりフォームが気になる
- 臨機応変に練習
- 普段できないトレーニングに挑戦
- 颯砂くんのケガの手当てを
- 最後にいっしょにクールダウン
- 原点は一等賞
- 校庭でいっしょにトレーニング
- 校庭でいっしょにダッシュ
- 今日もいっしょにランニング
- はばチャコラムの感想
自分のペースで走り続ける
(颯砂くん、ひとりで走ってる…… インハイの後、少しみんなと距離があるような……)
部長「マネージャー、気にする必要ないよ。あいつは自分のペースでしかできないやつだから。」
「えっ……でも……」
︙
「颯砂くん。」
「おう、お疲れ。一緒にクールダウン頼んでいい?」
「もちろん。……颯砂くん、あのね――」
「マネージャー、オレは陸上バカって言っただろう?」
「えっ?」
「だから、こうして時々きみと走れればいい。」
「でも……部長とかみんな、颯砂くんのこと誤解してると思う。」
「……きみは?」
「わたしは、わかってるつもりだよ?」
「うん、それだけでいい。力湧いてきた、強めにもう一周走ってくる!先上がってて。」
(颯砂くん……)
ストッパーを外して
「◯◯、タイムどうだった?」
「いつも通り。なんでピッタリ同じタイムで走れるの?」
「歩幅も、呼吸も、フォームも、いつも同じだから。でもさ、インハイで先輩に背中押してもらったから、もっと強めにいこうかなって思ってる。」
「うん。でも、無理はしないでね。」
「無理とガムシャラは、オレの得意技だよ。じゃあいってくる!」
(ふふっ!颯砂くん、前よりもずっと楽しそう?)
︙
「◯◯、オレのフォーム、何か変化ある?」
「えぇと……ううん、変わってないと思うけど。」
「あの時先輩に言われてさ、ストッパーかけてたところ、外してるんだ。だから、これからどういった変化が出るか、自分でも楽しみ。」
「そっか、小さな変化もわかるように、わたしも注意するね。」
「さすが、オレのマネージャー!じゃあ、最後10分追い込んでくる!」
(颯砂くん、今まで以上に気合入ってるみたい。次の記録が楽しみだな!)
ハードルの自己ベスト更新
(颯砂くん、ハードルのタイム、また自己ベストだ。本当に全種目優勝できるかもしれない)
「◯◯、今の全ハードル、イメージ通りにまたげたよ。」
「うん、こないだの記録会よりもいいタイムだよ。」
「この感じ忘れないようにもう一本、行ってくる。」
︙
「◯◯、きみのおかげで、ここんところ練習が充実している。最後のインハイ。先輩たちに、いい報告できるかもな。」
「そうだね。颯砂くんが最後まで全力でできたら、きっと喜んでくれるよ。」
「オレは自分のためだけにやってるのに、みんなが応援してくれる。こんなに嬉しいことはないよ。だから、ぶっ倒れるまでやるよ。」
「応援してる。でも、本当に倒れたりしないでね?」
「きみがゴールにいると思えば、そこまではたどり着ける。」
「え?」
「だから、見ててよ。これからも!」
(颯砂くん……最後のインハイまで、もう少しだね!)
記録に満足
(気付けばもうインターハイ直前だ。みんなには、がんばってほしいな……)
部員「大会も近いから、出場する選手は体のケアもしっかりな~」
︙
「◯◯、こうやっていつも、最後のランニング付き合ってくれてありがとうな。」
「うん、最初は大変だったけど、わたしも鍛えられたかな?」
「うん、選手もできそうじゃん。」
(あれ?颯砂くん、今日はいつもより腕の振りが固いみたい……?)
「腕?ああ、ちょっと力入ってるかも。うん、ありがとう。筋肉張ってるわ。気づかなかったよ。」
「ううん。ちょっといつもと違って見えたから。」
「いつも見てくれてるきみだから、気づいてくれた。こういう小さいズレが大きな失敗につながるんだ。ありがとう。」
「うん、役に立てて良かった。」
「今日はゆっくり筋肉ほぐしてみる。最後の最後、本番で後悔するとこだったよ。」
(もうインターハイ……颯砂くんが満足して終われるように、最後まで応援しよう!)
あれからおかしな心拍数
(ふぅ、やっと部費の計算が終わった……)
「◯◯、ここにいたのか。」
「うん、部費の管理してたの。でももう終わり。」
「そっか。大変だな。」
「颯砂くんは?」
「あ、オレはなんだっけ? 忘れた。じゃな、早く出て来いよ。」
(???)
「はっ、はっ、はっ…… なんかこうやって、一緒に走ってもらってる方が落ち着くよ。」
「え?」
「こないだ部室で、心拍計ってもらって、ドタバタしたろ?」
「あ、うん。計測器、修理したからもう大丈夫だよ。」
「うーん、そうでもない。あれから、変なんだよ……」
「え……?」
「さっききみに話があって部室行ったら、ちょっとヤバかったよ。しばらく、引っ張りそう……」
「えぇと、高地トレーニング?」
「そう、それ。たまにきみの感触が――
……って何言ってんだ!? ダメだ、もうちょっと追い込んでくる!」
(ええ!? クールダウンだったんじゃないの……?)
思い浮かぶ牧場でのできごと
(ああ、いいお天気……)
「◯◯。」
「あ、颯砂くん。お昼休みもトレーニング?」
「うん、きみと一緒。いい天気だと動きたくなってくる。」
「ふふっ、そうかも。」
「時間ちょっとある?一緒に走ろう。」
︙
「あのさ、前に牧場いったじゃん?」
「うん。乳しぼりしたよね?」
「あ、ああ。それそれ。オレ、走ってるときって無心になるんだ。でも最近、牛の乳搾ってるきみが突如、浮かんできたりする……」
「ええっ!? な、なにそれ?」
「楽しそうにさ、搾ってんだよ。困ってんだ…… どうにかなんないかな?」
「そんなこと言われても、困るよ……」
「だよな……妙にリラックスできるんだけど、そんなこと考えて走ってるって、変だよな…… あ、悪い。バカだなオレ。忘れるように頑張るよ……」
(乳しぼりしているわたし、そんなに楽しそうだったのかな……)
二人三脚のようにトレーニング
(午後の授業までまだ時間があるし……校庭に出てみようかな)
︙
「◯◯。来たな?」
「颯砂くん、今日もランニング?」
「うん、軽く行こうよ?」
「オッケー!」
「うん、いいじゃん。」
「はぁ、はぁ……そう?」
「姿勢もいいし、脚も上がってるよ。なんかこうやって並んでるとさ、二人三脚、思い出す。」
「え?体育祭の?」
「右っ、左っ、右っ、左っ…… ほらっ、きみも一緒に。」
「ええっ? 右っ、左っ、右っ、左っ……」
「右っ、左っ、右っ、左っ…… はははっ!」
「ふふっ、もう、走れないよ……!」
「まさか、きみとまた二人三脚できるとはな。」
「ランニングでしょ?」
「そっか。じゃあ、オレもうちょっと走ってくる。じゃね。」
(ふぅ…… ちょっと疲れちゃったけど、楽しかった!)
タイムよりフォームが気になる
(すごい……颯砂くん、いつもトップだ!)
部員A「颯砂、ちょっとはこっちに花持たせろよ~。」
「え?あー、すんません。オレ、調整きかなくて。」
「◯◯、お疲れさん。」
「うん。えぇと、颯砂くんのタイムは……」
「今はいいよ。走ってる感覚だけで十分。」
「そうなの……?」
「うん、タイムよりフォームの方が気になる。あ、ちょっと見てよ。なんか違和感あったら言って。」
︙
「うん、いつもと同じ。キレイなフォームだよ。」
「そっか。気になることあったら言ってよ!」
「うん。じゃあわたしが気づけることあったら言うね。」
「ありがと!じゃ、ここから上げてくから。」
︙
部員B「あいつだけ、次元が違うんだよ。」
「え……?」
(今の、颯砂くんのことだよね……みんなが気持ちよく、陸上の練習をできるようにしたいな……)
臨機応変に練習
「あ、颯砂くん。今日もいいタイムだよ。」
「そっか、ありがとう。次、ハイジャンプいってくる。」
(単独種目の人の、8倍の練習量だもんね……颯砂くんの八種競技は、本当にすごいな)
︙
「おーい、こっち。」
「え、颯砂くん?」
「あれ、ハイジャンプは?」
「ううん、単独種目の選手が来たから。またあとでやるつもり。それまで体冷やさないようにこうしてる。悪い、また一緒に走ってよ?」
「うん、もちろん。わたしでよければ。」
「いいに決まってるだろ?それにきみにしか頼めない。8種やってるの、オレだけだし。単独競技の人とは一緒にできないよ。」
「もしかして、さっきもそれで……?」
「オレもそこまで、空気読めなくないから。こうやってさ、きみと話しながら走るのがオレには一番。いつも、ありがとうな!」
「颯砂くん……」
「よっし、強めで3キロいく。」
︙
(単独競技の選手より、颯砂くんの記録がいいもんね……うーん、やっぱりやり難いところあるよね)
普段できないトレーニングに挑戦
部員A「今日は市民グラウンドで練習です。みんな、普段できないトレーニングをやろう!」
部員B「すごい、はば学で貸し切りだ!」
(ふふっ。みんな張り切ってるな)
「御影先生が手配してくれたらしいよ。さすがだな。」
「あ、颯砂くん。 そうなんだ。やっぱり頼りになるね。」
「ほんと。校庭じゃ、やり投げの投てき練習はめったにできないから、嬉しいよ。」
︙
「◯◯、クールダウン。一緒に走ろう。」
「うん。 どうだった?いい練習できた?」
「もちろん。満足そうだろ?」
(今日はたくさん投てき練習したんだよね。右腕、大丈夫かな……?)
「腕?ちょっと投げすぎたかも? いつもは、助走からクロスステップまでのトレーニングが多いからさ、嬉しくなって投げすぎた。」
「大丈夫?」
「うん、御影先生に感謝。あ、帰り一緒に帰ろうぜ?」
「うん!」
「じゃ、もう少し走ってくる。」
(よかった……いつもより、のびのびトレーニングできたみたい。御影先生に感謝だ!)
颯砂くんのケガの手当てを
(部費の管理、大変だな……あ、救急箱の中も補充しないと)
「あ、颯砂くん。どうしたの?」
「ハードルの抜き足で膝ぶつけた。」
「大丈夫?今、ばんそうこう持ってくるね。」
「おお、サンキュー。」
(ばんそうこうも補充しとかないと……!)
︙
「ウォーミングアップにハードルまたぎ取り入れてみようかな……」
「ハードルを?」
「もっと上手くなんないと、ハードルどんどん壊しちゃうからさ。」
「それは……困るかも?」
「あ。今、オレの体じゃなくて、部費の心配したろう?」
「ふふっ、両方かな?」
「おい、オレ優先で頼むよ。」
部員「おーい、そこの二人。いつまでラブラブしてんだよ。上がるぞ~?」
「あれ……もう誰もいねぇ……つうか、ラブラブってなんだよ?」
「えーと……」
「お、オレ、クールダウンしてくる。」
(みんなに見られてたのかな?ちょっと恥ずかしいかも……)
最後にいっしょにクールダウン
(そろそろ、練習時間もおわりか……)
「マネージャー!片づけ終わったら、一緒にクールダウン、走ろうぜ!」
部員A「いいなぁ。たまにはオレたちも入れてくれ~!」
「いいよ~!」
︙
部員A「いっちにーさんしー。」
部員B「ごーろっくしちはーち。」
「にーにっさんしー。」
部員A「ごーろくしちはーち。」
「たまには、みんなでクールダウンもいいな?」
「うん、そうだね。週に何回か、メニューにしてもいいかも?」
「うん、そうやってきみが動いてくれるから、陸上部はなんとかまとまってる。オレがここでやれるのも、きみのおかげだ。」
「え……」
部員C「さんにーさんしー。」
部員A「ごーろっくしちはーち。」
「きみがいてくれて、本当によかった。ありがとうな。」
(颯砂くん……すごくうれしいな。よーし、これからもがんばろう!)
原点は一等賞
(今日の記録会。みんな、がんばってたな!)
「マネージャー、お疲れ様!」
「颯砂くん、いい記録出てたね。」
「うん、きみのおかげ。クールダウンのランニング、付き合ってよ!」
「はっ、はっ、はっ……」
「颯砂くん、満足そうだね。」
「うん。記録もだけどさ、登録した4種目はトップ取れた。やっぱり一番は気持ちいい。」
「おめでとう!」
「やっぱりオレの原点は、運動会の一等賞みたいだ。子どもだろ?」
「ううん。それをずっと追いかけられるなんて、すごいと思う。」
「うん、ありがとう。なんかすげぇ、嬉しい。ちょっと、強めに走ってくる!じゃな。」
(行っちゃった……あれ?今のクールダウンのはずだったよね?)
校庭でいっしょにトレーニング
(うーん、いいお天気!そういえば、最近調子いいかも?運動しているからかな?)
「◯◯。調子良さそうじゃん?」
「あ、颯砂くん。ランニング?」
「そう、ランチ前にひとっ走りしてたとこ。一緒にどう?」
「颯砂くんのジャマにならないかな……?」
「全然。行こう!」
「うん、いいじゃん。リラックスできてるし、日頃の運動の成果だね。」
「えっ?」
「結構、楽しそうにやってるよな。」
「見てたの?」
「時々。でもさ、楽しそうにやれるって、才能だぜ。オレも見習わないとって思ってた。」
「そ、そっか。でも、わたしそろそろ限界かも……」
「無理は禁物。一緒に走れて楽しかったよ。じゃね。」
(ふぅ……ちょっと疲れたけど、颯砂くんと走れて楽しかったな)
校庭でいっしょにダッシュ
(うーん、いいお天気!そういえば、最近調子いいかも?運動しているからかな?)
「◯◯。いたな?」
「あ、颯砂くん。今日も走ってたの?」
「そうだけどさ?なんか、人を馬みたいに言うなよ。」
「ふふっ、馬?」
「ええっ!?」
︙
「うん、すごく良くなってる。普通にオレについてきてるじゃん?」
「そっ、そう?」
(ふふっ……颯砂くんの髪、ぴょこぴょこ揺れてて可愛いかも……馬のたてがみみたい?)
「え、髪?そう、天パー。つか、よく届いたな! 余裕じゃん。少し強めに走ってみるか?」
「えぇっ!? それはちょっとムリ……」
「そっか、でもすごいよ。オレ、いつかきみと本気で走りたい。じゃな?」
(ふぅ……たしかにこの前よりちゃんと走れたかも。運動、がんばってるからかな?)
今日もいっしょにランニング
(うーん、いいお天気。気持ちいいな……)
「この足音は……もしかして……」
「おー、いたいた。一緒に走ろう!」
︙
「うん。もうなんか、立派なアスリートみたいじゃん。」
「はぁ……颯砂くん、今日はちょっと速いよ……」
「うん、今日はオレもマジ。でも、全然普通にできてるじゃん。」
「う、うん、なんとかね。」
(颯砂くん、本当に本気でランニングしてるのかな……口元、笑ってるよね?)
「ごめんごめん。笑ってたわけじゃないって。別に力は抜いてないよ。きみの体力がついてきたってこと。」
「本当?」
「予鈴だ。ありがとうな。これで午後は気持ちよく寝られそう?じゃな。」
(いつも運動してるから、楽にランニングできたかも!でも、寝ちゃダメだよ、颯砂くん……)
はばチャコラムの感想
(そろそろ帰ろうかな…… あ、まだ早いし、砂浜に行ってみよう。颯砂くんがトレーニングしてるかも?)
︙
(うーん…… 颯砂くん、いないみたい。仕方ない、帰ろう……)
「おーい! こっち、こっち!」
「あ、颯砂くん?」
「はぁ……こんなところで、何してんの?」
「もしかしたら颯砂くんが走ってるかもって思って。」
「まじで? 嬉しいこと言うじゃん。じゃあ期待に応えて、もうちょっと走るかな?きみも一緒に。」
「ええっ!?」
「あ、はばチャコラム読んだよ!」
「ほんと? ……どうだった?」
「きみから見るとオレってあんな感じ?嬉しいけど、だいぶ盛ってる気がする。」
「そんなことないよ。」
「じゃあ、あの記事に書かれてたオレにならないとな。きみの記事がフェイクニュースみたいになったらヤだし?」
「ふふっ、うん。応援してる!」
「よっし、やる気出てきた。力入れて走ってくる。じゃな!」
(わたしの記事が少しでも、颯砂くんの役に立てばうれしいな!)