下校会話 花椿ひかる

 

教会の噂

「ねえマリィ、知ってる?この教会伝説のウワサ!」

「どんなの?」

「あの教会で告白して結ばれたカップルには必ず双子が生まれるんだって!」

「えぇっ、そうなの!?」

「ウチのママが言ってたもん。絶対ホントだよ♪」

「へぇ……ひかるさんのご両親は、はば学だったの?」

「 ………… ……あれ?違うな~。たしかパパはパリィ留学だったし、ママは女子高って言ってた気がする。……え、ちょっと待って?はば学って昔は女子高だったってこと~!?」

(ひかるさん、混乱してる。たぶん、ひかるさんのお母さんが冗談で言ったんだと思うけど……)

 

「あ、そうだ。はば学の敷地内にある教会のウワサで姫と王子が結ばれるってヤツ。」

「うん。ステキなお話だよね。」

「姫のお父様が、王子に無理難題を言いつけて帰ってこられないようにするんだけど、王子はしっかり役目を果たす!で、そのウワサの教会で結ばれるってお話。もう、はば学以外でもだいぶ有名なご利益がある恋愛の定番スポットだよね♪」

「ご利益?」

「そう、そこで結ばれたカップルは永遠に幸せになれるんだって♡」

(ふふ。ご利益っていうと教会っぽくないかも?)

 

「ねえねえ。ウチの学校の敷地内にある教会の新しいウワサがヤバくてさ……」

(新しいウワサって……)

「聞きたい?」

「う、うん。どんなの?」

「満月の夜にはメンズ、新月の夜にはレディースのファッションショーが、あの教会で行われてるらしいの。それがなんと!おじさまが仕切ってるって話!」

「おじさま……えっ!? GORO先生が?」

「そうそう!おじさま、たまに校内に出没してるみたいだし あながちウソじゃない気がするんだよねぇ…… しかも、モデルたちが異次元レベルでさ。ウワサじゃ、伝説の高校生モデル “葉月珪” もいるとか!」

「…………」

「……あ。さすがに信じられないって感じ?だよねぇ。ひかるだって、おじさまはともかく葉月珪はナイわぁって思うもん!」

(ただのウワサとはわかってるけど。なんだかありそうな、そんな錯覚が……)

 

誕生日前

「そういえば、もうすぐひかるさんとみちるさんの誕生日だね!」

「そうだよ~♪ 11月22日で双子の日、アハ♡」

「ふふ!」

「本当は誕生パーティーとかやりたいんだけど、この時期になるとお仕事がいっぱいになってプライベートがなくなっちゃうんだ……」

「ちょっと複雑だね……」

「まっ、お仕事自体がバースデー企画だから パーティーみたいに盛り上がるんだけど。でも、マリィやお友だちと一緒にパーティーしたいな……」

「ひかるさん……」

「今はムリだけど、いつかきっと すっごい誕生パーティーするからさ、ご招待させてね♡」

「うん!」

 

体育祭前

「もうすぐ体育祭だね。」

「うんうん、楽しみ~♡」

「ひかるさん、運動神経良さそうだもんね!」

「まあね?でも競技に出るのはキラ~イ!」

「えっ?」

「それよりさ、男子がここぞとばかりに女子にカッコイイアピールするじゃない?誰が誰を意識してるとか、そういうドラマを見るのが超楽しいんだよね~♪」

「えぇと……勝つぞ!とか、そういう意気込みは?」

「ぜんぜんナシッ!」

(…………)

 

期末テスト前

「もうすぐ期末テストだね。」

「めんどくさー…… でも、赤点取ったら、クラブ活動もバイトもできないし~…… ハァ…… 一緒にがんばろっ、マリィ!ねっ!」

「うん!」

「でさ、どうやったら一気に50点くらいかせげるかなぁ?」

(…………)

 

夏休み前

「もうすぐ夏休みだね。」

「クラブに仕事に人間ウォッチング……やることがた~くさん!」

「ふふ、充実していそうだね?」

「でしょ?マリィとも遊びに行きたいな~♪」

「うん、行こうよ!」

「やったぁ!どこに遊びに行こっかなぁ。超考えちゃう♪」

(ひかるさん、もう遊ぶ気満々だ!)

 

修学旅行前

「もうすぐ修学旅行だね。」

「高校生活の一大恋愛イベントだねぇ♡」

「えっ?」

「恋愛イベントって年に何度かあるけどさ。お泊まりシチュエーションありってだけで恋は大いに盛り上がるハズ!……マリィ。好きな男子がいるなら、この修学旅行がターニングポイントだよ?心の準備、バッチリしておいてね!」

(恋のターニングポイント。心の準備か……)

 

文化祭前(通常)

「もうすぐ文化祭だね。」

「ね~♪ もうひかる、楽しみすぎて困っちゃう!」

「ふふ、ひかるさんは何の出展がそんなに楽しみなの?」

「ちがうよ~!誰と誰がいい関係で、新しいカップルが何組生まれるのかな~とか♡」

「え……?」

「文化祭は、恋が生まれたり成就したりする恋愛イベントじゃん?あっ!出展ももちろん楽しみだよ?それを楽しむカップルを見るのもね♪」

(ひかるさんの文化祭の楽しみ方はちょっと変わってるなぁ……)

 

文化祭前(学園演劇)

「もうすぐ文化祭だね。これが高校最後かぁ……」

「ハァ……はば学の文化祭、楽しいから これが最後って思うとさびしいね。あっ、そうだ!学園演劇の主役、誰になるのかな~♪ マリィがヒロインになったらひかる、めちゃくちゃ応援しちゃう♡」

「う、うん。主役になれたらがんばるね?」

「ひかる、マリィに投票しようっと!」

(学園演劇か……準備もしっかりしなきゃね)

 

冬休み前

「もうすぐ冬休みだね。」

「クリスマスにお正月、新学期……ぜ~んぶ楽しみ! モデルのお仕事は、先取りで春物撮ったりするのがちょっと寒くてツライけど……でも、最新作着られる気分のほうが勝っちゃうかな♪」

「ふふ!」

「ねね、マリィの冬休みは?おうちでクリスマスパーティーするの?それとも、男子とデート?あとあと、お正月って親戚で集まるの?初詣は男子と行く約束してる?」

(ひかるさんの質問攻めだ……)

 

春休み前

「もうすぐ春休みだね。」

「短いお休みだけど、超幸せ~♡」

「どうして?」

「宿題もないし、学年は上がるし。カワイイ後輩もできるしね♪ あ~。今度こそマリィと同じクラスになれたらいいなぁ。」

「ふふ!そうだね?」

 

卒業前

「もうすぐ卒業だね。」

「マリィと離れたくない。」

「ひかるさん……」

「べつにさ、一生離ればなれになるってわけじゃないんだけどさ。この制服を着て、マリィとおしゃべりしたりランチできるのもあと数日なんだって思うとさびしいよ……」

「ひかるさん……」

「……エヘ。ひかるらしくないよね、こんなの。マリィ、ずっとお友だちでいてくれてありがとう。これからもお友だちでいてね?」

「うん、もちろんだよ!」