下校会話 花椿みちる

 

教会の噂

「そういえば。はばたき学園には王子様とお姫様がいるの。」

「ええっ!?」

「ふふ、学校の敷地内にある教会でね、二人はそこで愛を誓いあって、永遠に結ばれたという伝説があるの。」

「伝説……」

「マリィはずっとこの街にいるから知ってると思ってたんだけど。」

「う、うん。でも、わたしが知ってるのは……」

「あ、もしかして違う伝説ネタがあるの? 聞かせて!」

(みちるさん、興味津々だ……でも、鐘とかざぐるまのとは違うみたい)

 

「学校の敷地内にある教会。知ってるよね?」

「あ、うん。」

「ちょっと面白いウワサを聞いたの。氷室教頭と、一部の生徒の話。」

「氷室先生の?」

「そう。実は彼がアンドロイドだっていうのは有名なウワサだけど。」

(そ、そうだったんだ……氷室先生がアンドロイド……)

「劣等生を優等生に改造して、はば学を超エリート校にするっていう展開なんだけどね?どうやら、例外処置として御影先生も狙われてるらしいの。御影先生、大丈夫かな……」

(みちるさん、ウワサ話なのに本気で心配しちゃってる?)

 

「学校の敷地内にある教会の新しいウワサを聞いたんだけど。」

「え、どんなウワサ?」

「バージンロードを後ろ向きで進んで、祭壇に到達したときに振り返ると……」

「振り返ると……?」

「自分の理想のパートナーが現れる!」

「ええっ!?」

「ただ、その人は神さまが見せてくれた幻影。5分できえちゃうんだって。」

「うーん……」

「でも……ちょっと試してみたいかも。」

(みちるさん、楽しそう!なんだか女子が好きそうなウワサかも?)

 

誕生日前

「そういえば、もうすぐみちるさんとひかるさんの誕生日だね!」

「そう。11月22日。日にちも覚えやすいでしょ。」

「ふふ、そうだね!」

「でも……私たちは双子だから、プレゼントをもらうのに気が引けちゃうな。」

「どうして?」

「だって、一度に二人ぶんだし。気を遣うことも多いでしょ?気持ちだけでじゅうぶんうれしい。だからマリィもお構いなく。ね?」

(みちるさんてやっぱりお姉さんだなぁ)

 

体育祭前

「もうすぐ体育祭だね。」

「うん、楽しみ。」

「ふぅん、意外かも?みちるさん、スポーツするほうにはあまり興味がないと思ってた。」

個人競技はそうだけど。みんなで参加するものは好き。私みたいなだめなメンバーを、他の頼れるメンバーが助けてくれる。すごく美しいことじゃない?」

「ふふ、そうだね!」

「でも、だめならだめなりに努力して足をひっぱらないようにしないと。はぁ……」

(みちるさん、応援してるよ。わたしもがんばらなきゃ!)

 

期末テスト前

「もうすぐ期末テストだね。」

「マリィ、一夜漬けはだめだよ?」

「う、うん。」

「ふふ。勉強の仕方のことを言ってるんじゃないの。お肌に良くないから。ね?」

「あ……そういうことね?」

「もちろん、ただ一夜漬けで頭にたたき込もうっていうのも考えものだけど?」

「そ、そうだね……」

(テスト勉強、しないとなぁ……)

 

夏休み前

「もうすぐ夏休みだね。」

「暑いのは好きじゃないけど、真夏の空を見るのは好き。深い青に真っ白な雲。海に行けば、広がる水平線……」

潮騒が聞こえてきそう……!」

「ふふ。でもそれは、涼しいお部屋で見ていたいかも。」

「みちるさんとひかるさんは海外旅行とか行くんじゃないの?」

「行かない。だって、モデルのお仕事があるもの。学校はお休みでも、お仕事はほとんど毎日あるから。」

(そっか。モデルさんて、結構大変なんだな……)

 

修学旅行前

「もうすぐ修学旅行だね。」

「すごく楽しみ。歴史のロマンあふれる土地か……」

「ふふ。いろんな名所を巡りたいなぁ。」

「自由行動とはいっても、自由な旅行じゃないから 制限時間内に、上手に観光できるように計画しないとね?」

「そうだね。」

「……あれ?観光って言っていいのかな?」

「ふふ!」

 

文化祭前(通常)

「もうすぐ文化祭だね。」

「楽しみ。マリィのクラスにも遊びに行くね?」

「うん!じゃあ、気合いを入れて準備をしなきゃ。」

「ふふ。でも、ケガにはじゅうぶん気をつけて。」

「ありがとう。」

「もし当日、お互いの時間が合えば一緒に出展を楽しみましょ。」

「うん!」

 

文化祭前(学園演劇)

「もうすぐ文化祭だね。これが高校最後かぁ……」

「もう、しんみりしない。学園演劇、がんばりましょ。」

「うん、そうだね!」

「舞台も衣装も本格的だし、本当に楽しみ。主役も脇役も、裏方だったとしても。そして見に来てくれたお客さまも。全員が満足できる舞台になるといいな。」

(うん……気合入れなきゃね!)

 

冬休み前

「もうすぐ冬休みだね。」

「今年が終わっちゃうのか……あっという間だったな。」

「そうだね……」

「どう?マリィは今年一年間、充実してた? 私はね、充実しすぎていて来年どうなるかこわいくらい。」

「ふふ!」

「マリィ。今年も一年、お友だちでいてくれてありがとう。」

(みちるさん……)

 

春休み前

「もうすぐ春休みだね。」

「春休みが終われば進級か。後輩ができるんだね。」

「うん、そうだね。」

「私たち、ちゃんとしたお手本にならなきゃね。」

「うん!」

「マリィは全然大丈夫だと思うけど。ヒカルが……心配。」

「ふふ!」

 

卒業前

「もうすぐ卒業だね。」

「卒業か…… マリィ。卒業しても、お友だちでいてくれる? 私、本当はまだ、卒業なんてしたくない……」

「みちるさん……1つ、方法があるよ?」

「えっ?」

「二人で留年してみる?」

「 !? やだ……マリィ!あはは!」

「ふふ!」

「あぁもう、おかしい。マリィったら……」

「卒業しても、ずっと友だちだよ。」

「うん……ありがとう。」