教会の噂
1
「そういえば。はばたき学園には王子様とお姫様がいるの。」
「ええっ!?」
「ふふ、学校の敷地内にある教会でね、二人はそこで愛を誓いあって、永遠に結ばれたという伝説があるの。」
「伝説……」
「マリィはずっとこの街にいるから知ってると思ってたんだけど。」
「う、うん。でも、わたしが知ってるのは……」
「あ、もしかして違う伝説ネタがあるの? 聞かせて!」
(みちるさん、興味津々だ……でも、鐘とかざぐるまのとは違うみたい)
2
「学校の敷地内にある教会。知ってるよね?」
「あ、うん。」
「ちょっと面白いウワサを聞いたの。氷室教頭と、一部の生徒の話。」
「氷室先生の?」
「そう。実は彼がアンドロイドだっていうのは有名なウワサだけど。」
(そ、そうだったんだ……氷室先生がアンドロイド……)
「劣等生を優等生に改造して、はば学を超エリート校にするっていう展開なんだけどね?どうやら、例外処置として御影先生も狙われてるらしいの。御影先生、大丈夫かな……」
(みちるさん、ウワサ話なのに本気で心配しちゃってる?)
3
「学校の敷地内にある教会の新しいウワサを聞いたんだけど。」
「え、どんなウワサ?」
「バージンロードを後ろ向きで進んで、祭壇に到達したときに振り返ると……」
「振り返ると……?」
「自分の理想のパートナーが現れる!」
「ええっ!?」
「ただ、その人は神さまが見せてくれた幻影。5分できえちゃうんだって。」
「うーん……」
「でも……ちょっと試してみたいかも。」
(みちるさん、楽しそう!なんだか女子が好きそうなウワサかも?)
誕生日前
「そういえば、もうすぐみちるさんとひかるさんの誕生日だね!」
「そう。11月22日。日にちも覚えやすいでしょ。」
「ふふ、そうだね!」
「でも……私たちは双子だから、プレゼントをもらうのに気が引けちゃうな。」
「どうして?」
「だって、一度に二人ぶんだし。気を遣うことも多いでしょ?気持ちだけでじゅうぶんうれしい。だからマリィもお構いなく。ね?」
(みちるさんてやっぱりお姉さんだなぁ)
体育祭前
「もうすぐ体育祭だね。」
「うん、楽しみ。」
「ふぅん、意外かも?みちるさん、スポーツするほうにはあまり興味がないと思ってた。」
「個人競技はそうだけど。みんなで参加するものは好き。私みたいなだめなメンバーを、他の頼れるメンバーが助けてくれる。すごく美しいことじゃない?」
「ふふ、そうだね!」
「でも、だめならだめなりに努力して足をひっぱらないようにしないと。はぁ……」
(みちるさん、応援してるよ。わたしもがんばらなきゃ!)
期末テスト前
「もうすぐ期末テストだね。」
「マリィ、一夜漬けはだめだよ?」
「う、うん。」
「ふふ。勉強の仕方のことを言ってるんじゃないの。お肌に良くないから。ね?」
「あ……そういうことね?」
「もちろん、ただ一夜漬けで頭にたたき込もうっていうのも考えものだけど?」
「そ、そうだね……」
(テスト勉強、しないとなぁ……)
夏休み前
「もうすぐ夏休みだね。」
「暑いのは好きじゃないけど、真夏の空を見るのは好き。深い青に真っ白な雲。海に行けば、広がる水平線……」
「潮騒が聞こえてきそう……!」
「ふふ。でもそれは、涼しいお部屋で見ていたいかも。」
「みちるさんとひかるさんは海外旅行とか行くんじゃないの?」
「行かない。だって、モデルのお仕事があるもの。学校はお休みでも、お仕事はほとんど毎日あるから。」
(そっか。モデルさんて、結構大変なんだな……)
修学旅行前
「もうすぐ修学旅行だね。」
「すごく楽しみ。歴史のロマンあふれる土地か……」
「ふふ。いろんな名所を巡りたいなぁ。」
「自由行動とはいっても、自由な旅行じゃないから 制限時間内に、上手に観光できるように計画しないとね?」
「そうだね。」
「……あれ?観光って言っていいのかな?」
「ふふ!」
文化祭前(通常)
「もうすぐ文化祭だね。」
「楽しみ。マリィのクラスにも遊びに行くね?」
「うん!じゃあ、気合いを入れて準備をしなきゃ。」
「ふふ。でも、ケガにはじゅうぶん気をつけて。」
「ありがとう。」
「もし当日、お互いの時間が合えば一緒に出展を楽しみましょ。」
「うん!」
文化祭前(学園演劇)
「もうすぐ文化祭だね。これが高校最後かぁ……」
「もう、しんみりしない。学園演劇、がんばりましょ。」
「うん、そうだね!」
「舞台も衣装も本格的だし、本当に楽しみ。主役も脇役も、裏方だったとしても。そして見に来てくれたお客さまも。全員が満足できる舞台になるといいな。」
(うん……気合入れなきゃね!)
冬休み前
「もうすぐ冬休みだね。」
「今年が終わっちゃうのか……あっという間だったな。」
「そうだね……」
「どう?マリィは今年一年間、充実してた? 私はね、充実しすぎていて来年どうなるかこわいくらい。」
「ふふ!」
「マリィ。今年も一年、お友だちでいてくれてありがとう。」
(みちるさん……)
春休み前
「もうすぐ春休みだね。」
「春休みが終われば進級か。後輩ができるんだね。」
「うん、そうだね。」
「私たち、ちゃんとしたお手本にならなきゃね。」
「うん!」
「マリィは全然大丈夫だと思うけど。ヒカルが……心配。」
「ふふ!」
卒業前
「もうすぐ卒業だね。」
「卒業か…… マリィ。卒業しても、お友だちでいてくれる? 私、本当はまだ、卒業なんてしたくない……」
「みちるさん……1つ、方法があるよ?」
「えっ?」
「二人で留年してみる?」
「 !? やだ……マリィ!あはは!」
「ふふ!」
「あぁもう、おかしい。マリィったら……」
「卒業しても、ずっと友だちだよ。」
「うん……ありがとう。」