大接近 颯砂希

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1回目

「なに、どうしたんだよ、きみ。」

「え?」

「覚えてないわけないだろ?触りまくってたけど!?」

「うん……ごめんなさい。」

「あ、謝るのかよぉ。だったら最初からすんなって。なんかのドッキリかと思ったよ。」

「ドッキリ?」

「本気でわけわかんなくてさ。きみはふざけてるのか、マジなのか。ま、今の感じだとふざけてたんだな。じゃあ、いいよ。」

「……怒ってる?」

「怒ってはない。ただ、ふざけるならもうちょっと分かりやすく頼むよ。顔、見てたけど超真剣だったぜ?」

「え!そんな顔してた?」

「してた。でも、何の意味もないってわかったからもういいよ。帰る。じゃあ。」

「うん……じゃあね?」

 

2回目

「ちょっと、きみ。オレ、やっぱりわかんないよ。」

「え? 何が……」

「最初はふざけてる感じだったけど、後半なんかおかしかったぜ。」

「ごめんなさい。やりすぎたかな……」

「何をやりすぎたって思ってんの?」

「……スキンシップ?」

「うん、それなら想定通り。オレが出した答えもそれだった。だから、頑張ってオレも応えようって思ったけど……」

「うん。」

「簡単に言ったなぁー。できるわけないよ。」

「えぇと……スキンシップ、いやだった?」

「いやじゃないよ。でも、オレからは無理だろ。とは言え、やられっぱなしも嫌だし。はぁ……帰りながら、攻略法を考える。じゃあね。」

(颯砂くんのこと、悩ませちゃったかな……)

 

3回目

「はぁ………… 全然ダメじゃん、オレ。」

「え?」

「歯が立たなかったよ。きみのスキンシップに。」

「えぇと……颯砂くん?」

「こないださ、攻略法考えるって言ったろ。きみの手を取って動きを止めたりはできるかなって思ってた。」

「えぇと、わたし夢中になってて……」

「夢中な…… もう、まったく追いつかない。手を押さえるとか、無理だった。最後は諦めてた……」

「なんか、ごめんなさい……」

「うん。もう、やめよう。オレ、自制効く方だけど……どうかなったら、いやだしさ。」

「う、うん……」

「わかってくれたな。頼むよ?」

(やっぱりわたし、颯砂くんのこと悩ませてるみたい……)

 

4回目

「あのさ、この前言ったこと、全然分かってないじゃん?」

「……あ、ごめん。つい……」

「ついってさ……はぁ。結構、わかり合えた感じになったのにさ。オレ、もう、わかんないよ。そんなにされたらさぁ。」

「颯砂くん……?」

「やめようって言ってたのに、笑顔でグイグイやってくんだぜ。ちょっと、恐ぇ。それともなんか、別の狙いがあんなら言ってよ。」

「狙いなんて……颯砂くんに触れたいなって思っただけ。」

「はぁ、嬉しいけど。あとは、オレがパーンて弾けないようにするしかないな。」

「パーン?」

「そう、風船みたいにさ。」

(颯砂くんが破裂しないよう、気をつけなくちゃ……)

 

5回目

「ははっ、終わったぁ……今日もなんとかさ、パーンて弾けなかったよ。偉いだろ?」

「……う、うん。」

「なんか残念そうに聞こえるけど……まさか、きみの狙いって、オレを弾けさせることか?」

「え、そんなつもりじゃ……」

「じゃあもう、すんなよ。二人にとって、全然良くない。」

「そうなの?」

「そ、そうだよ。オレがやり返したら、いやだろ?」

「う、うん…… 困るかも。」

「だったら、もうやめること。今度やったら、やり返すからな!じゃあ。」

(颯砂くん、困ってたよね……今度はやり返されちゃうのか……)

 

6回目

「……今、割れた。風船。」

「颯砂くん、大丈夫?」

「ダメだ……今度はやり返すって言ったのに、きみは止めるどころかエスカレートするしさ。」

「あ……ごめん。」

「結局オレ、やり返すどころか、一歩も動けなかった。……自制心じゃなくて、臆病なだけ。」

「颯砂くん……」

「はぁ、情けねぇの。」

「情けなくなんてないよ。颯砂くんは優しいから。わたし、調子に乗って、ごめんね。」

「ううん、ありがとう。あのさ、次、きみに触れたいって思ったら、間髪入れずにそうするよ。」

「え?」

「変に我慢したり、先のこと考えたりするからダメなんだ。バカはバカらしく、もっと思ったことすぐやってみる。」

「えぇと……颯砂くん?」

「いいか、次はオレが勝つからな。じゃな。」

(わたし、颯砂くんと勝負してたの?でも、次も絶対負けないからね)

 

7回目以降

「なぁ……きみって、オレの話、なんも聞いてないよな。」

「あっ……つい。ごめんね?」

「もういいよ。いくら言ってもまたやんだろ?オレ、知ってんだ。」

 

2択会話

「……ん?何かあった?」

 なんでもない

   「ふーん、何かありそうだけどな?」

 気にしないで

   「きみが何かすれば気になるって。」

 

「何か試してる?」

 え、どうして?

   「だってさ、やわらかいっていうか……
    色々当ててくんじゃん?」

 そんなことないよ

   「……そっか。勘違い勘違い。」

 

「あ、ごめん。なんかあたったな。」

 う、うん。大丈夫。

   「絶対、わざとじゃないよ。」

 わたしが呼んだの。

   「……そっか。そうやって呼ばれんのいいな。」

 

「ん、今呼んだ?」

 ううん、呼んでない

   「なんだよ、今突っついたじゃん。」

 呼んでみただけ

   「なに可愛いことしてんだよ?」

 

「落ち着きないけど、気になることでもあんの?」

 うまれつきだよ

   「それじゃしょうがないな。」

 気になることばっかり

   「何、なんか変、オレ。」