学食会話 風真玲太・颯砂希・氷室一紀

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もしかして笑った?

「ふ……」

「風真くん、どうしたの?」

「え? どうもしないよ。」

「今、完全に笑ってたよ?」

「ええ。しっかり見たし聞こえましたね。」

「気のせいだろ?」

「ふーん、無意識ですか。」

「え?」

「ははっ!玲太、重症だな。見てるだけで、微笑んじゃうんだろ?」

「うるさい。何、訳のわかんないこと言ってんだよ。」

「いいじゃないですか、ノゾム先輩。愛しい幼なじみを見て、無意識に微笑んでるなんて、それこそ微笑ましい。」

「えぇと……?」

「おい、イノリ。調子にのんなよ。」

「玲太、そんなんだったら食べられないだろ?オレが場所変わってやろうか?」

「ダメだ。こいつの正面は俺。」

「見苦しいですよ、二人とも。僕が変わりましょうか?」

「10年早い。」

「はあ?」

(ううーん……やっぱりこの座り方変だよね……)

 

意外と食べない

「颯砂ってさ、もっといっぱい食べるかと思ってた。」

「たしかに……意外と普通ですよね?」

「普通ってなんだよ?失礼なヤツらだなー。」

「ふふっ!うん、たしかにもっとたくさん食べるイメージかも。」

「きみまでなんだよ?オレは適度になんでもいただく。」

「まあ、颯砂は大食いの方がキャラ的にはわかりやすい。」

「ノゾム先輩は大食漢で、リョータ先輩は……偏食家。」

「たしかに風真くん、味にも色々細かい感じするかも?」

「骨董の目利きと、グルメ趣味を混同するな。だいたい、俺は好き嫌いは無いの。偏食家はお前だろ、イノリ。」

「そうなの?」

「ああ、そういえば、野菜全般がダメって言ってたよな。」

「べつに、ダメじゃないです。ただ自分じゃ選ばないってだけ。」

「じゃあ、好物は?」

「……カップ麺。」

(氷室くんは偏食家、と)

 

楽しく食べるのが大事

「このガヤガヤした感じ、いいな。」

「まあ、楽しく食べるのが一番。」

「そっか、風真くんはひとり暮らしだもんね。」

「なるほど。」

「ん?イノリ、何がなるほどなんだ?」

リョータ先輩らしいアプローチだなって思っただけですよ。もっと、ストレートに言えばいいのに。」

「ははっ!イノリ、今日は一段と切れ味がいいな。」

「なんのこと?」

「あーもういいよ。」

「良くないですよ。リョータ先輩は遠回しに、君に寂しいというメッセージを送ったんだ。」

「送ってませーん。」

「そっか、ひとりじゃ寂しいもんね。みんなで風真くんのお家に行こう?」

「みんな? ……まあ、いいよ。」

「おお、それ面白そう。行こうぜ。」

「そこまで言うなら、いいですよ。」

「おまえら……」

(ふふっ、うん。結局三人はとっても仲良しってことだね)

 

サーフィンの勝敗

「この前、テレビでサーフィンの大会の中継やってたんだけどさ、あれってどうやって勝敗決めてんの?」

「それ、僕に聞いてます?」

「俺は知らない。」

「わたしもわからないよ。」

「イノリの他にいるかよ。 陸上競技みたいにハッキリ結果出ないじゃん?」

「芸術点とかで決まるんだろ?」

「まあ、だいたいそんな感じですね。制限時間以内で波に乗って、点数を競うんですよ。」

「制限時間って何分?」

「2、30分ってとこです。」

「ずいぶんざっくりだな。」

「まあ、自然が相手だから。いつ、いい波が来るかなんてわからないでしょ?」

「そうなんだ。自然と一体って感じで、素敵だね。」

「……まあね。僕もそこが好きでやってる。」

「ふーん、いいじゃん? 素敵だってさ……なあ?」

「ふーん、素敵ねぇ…… よかったな、イノリ。」

「ええ、あの感覚は波の上に立たないとわからないですよ。」

(ん? 何か変な雰囲気……? わたし、おかしいこと言ったかな?)

 

分かってても聞く

「◯◯、午後の授業なんだっけ?」

「生物だよ。」

「OK。」

「……リョータ先輩、今、わかってて聞いたよね。」

「え?」

「何言ってんだよ。」

「ははっ!玲太らしいっちゃ、らしいけどさ。」

「ま、そうですね。そこまで独占欲が突き抜けてると、いっそ清々しい。」

「別に普通の会話だろ。なあ?」

「うん、何かおかしかった?」

「あれ…… 逆にオレたちが意識しすぎなのか?」

「え……いや、なにか含みがあった気はしたけど。」

「?」

「なるほど。俺たちが幼なじみで、同じクラスってことに、イノリがジェラシー感じたと。」

「はあ……本当に無意識にやってるんですね。逆にすごい。」

「ドンマイ、イノリ。」

「え?」

「悪いな。ほら、オレも幼なじみではあるからさ。」

「う……」

「氷室くんだってほら、同じ学校だよ?」

「◯◯、今のは苦しい。」

「べつに。気にしてませんけど?」

(みんなで仲良くランチしようね……?)

 

風真くんといい感じ?

「な、イノリ。オレたち、お邪魔なのか?」

「ええ。正直、居心地は良くないですね。」

「え、どうしたの?」

「だってさ、おまえたち今、イイ感じなんだろ?」

「は……?颯砂、それどういうことだよ?」

「え……違うんですか?」

「風真くん……?」

「俺たちがいい感じなのは、今だけじゃない。」

「はははっ!そっちにキレてんのかよ。」

「そこですか……」

「そりゃそうだろ?俺たちの歴史は昨日今日の話じゃない。なあ?」

「えーと……?」

「イノリ。オレたちに勝ち目、なさそうだ。」

「ですね。」

(なんか恥ずかしいかも……)

 

ふたりだけで話すこと

「な、玲太と二人の時って何話してるんだ?」

「えっ、何って言われても……」

「何だよそれ?」

「ノゾム先輩、やめといた方がいいですよ。」

「イノリは知りたくないのか?」

「二人だけの話をベラベラしゃべるかよ。」

「わたしたち、普通の話しか……」

「だな。俺たちは普通の話で十分楽しいってこと。」

リョータ先輩はナチュラルにマウント取ってきますから。絡むと損しますよ。」

「なるほど。イノリ、おまえ玲太のことよくわかってるな。」

「何とでも言えよ。」

(風真くんと二人きりの会話か……どんな話してたかな?)

 

お弁当もよさそう

「はば学の学食は美味しいけどさ、たまには外で弁当食べるのも良くないか?」

「僕はかまいませんけど、ひとり暮らしのリョータ先輩は困りません?」

「毎日じゃ困るけど、たまにならいいよ。」

「玲太は料理もできるのか。さすが若様。」

「うるさい。ていうか、殿様は自分で弁当とか作らないだろ。」

「もしよかったら、わたしがまとめて作ろうか?」

「ほんとかよ!超うれしい!なあ?」

「……うん。」

「ついで感が否めませんが……」

「ああ、でも食べたい。」

「みんなの分なんて大変だろ?オレも手伝うよ。」

「ふふ、ありがとう。じゃあ、今度一緒に作ろうか?」

「いいな、そうしようぜ。二人もいいだろ?」

「ノゾム先輩のこういうノリですかね。彼女を引き付けるのは……」

「…………」

「玲太、イノリ!ほら、もっと喜べよ?彼女の手作り弁当が食べられるんだぜ!な?」

(4人分は大変だけど……みんなで作ったら楽しそう!)

 

颯砂くんとの仲

「…………」

「…………」

「なんで黙ってんだ?」

「なんでもねぇよ……」

「最近お二人は、ずいぶん仲を深めたようですね?」

「はっ? 二人って……」

「えっ……」

「ああ、そうか。変な気は使うなよ。」

「……使わせんなよって話だ。」

「そんなこと言ってもさ、二人で出かけた話するのも変だろ?」

「僕は聞きたいですね。ノゾム先輩が君と二人の時、どんな感じか興味あるし。」

「好きにしろよ……」

「ほ、ほら。4人で出かける話とかしよう?」

「で、颯砂はどんな感じなんだよ?二人の時。」

「ええっ?」

リョータ先輩も興味津々みたいですし、どうぞ。」

「特別なことは話してないよ。学校の話が多いかな? 御影先生や玲太やイノリのことも話すしな。」

「ふーん、安心した。トレーニングとか、筋肉の話とかだったらこいつが可哀そうだと思ってた。」

「ですね。意外とちゃんとしてるんだ、ノゾム先輩。」

「オレをなんだと思ってるんだよ。」

(二人とも、わたしと颯砂くんの関係を気にしてくれてるみたい?)

 

氷室くんと付き合ってる?

「ふぅ……」

「うーん……」

「風真くんも颯砂くんも、どうかしたの?」

「そうですよ、なんです?」

「あのさ――

「颯砂、待て。」

「いいんだって。こういうのはさらっと言うのが一番。」

「なにかあったの?」

「きみとイノリは付き合ってるのか?」

「えっ……!?」

「えっ……!?」

「何、同じ反応してんだよ。」

「まあ、オレたちも色々思うことはあるけど、二人でランチしたかったらちゃんと言えよ?」

「それを言いたかったんですか?面倒臭いセンパイたち。」

「はあ?どういうことだよ。」

「4人で食べたいから、ここにいるんです。君もそうでしょ?」

「う、うん。」

「そーですか。」

「なんだよ、せっかく気を遣ったのにさ。」

「そんな心配、無用です。」

(うう、なんだか居づらいような……?)

 

ふたりとも淡々と

「きみもイノリも、淡々としてるよな……」

「え?」

「なんのことです?」

「ああ。もう少しなんかないのかよ?」

「二人とも、さっきから何を言っているんですか?」

「のろけたり?そうじゃなくても、ソワソワしたり、なんかあるじゃん?付き合ってるんだろ?」

「ん?」

「え?」

「ええ!? おまえ、直球すぎだろ……」

「玲太が一番いい反応してどうすんだって……」

「そもそも僕たちは、お二人の好奇心を満たすためにここにいるわけじゃありません。」

「そうかもしんないけどさ、少しくらいなんかないのかよ。な、玲太?」

「別にいいんじゃね。こいつらの勝手だろ。」

「あ、急に何かっこつけてんだよ。あんなに気にしてたくせに。」

「気にしてない。」

「はぁ……好きにしてください。 ね?」

「ふふっ、うん。風真くんと颯砂くんの方がソワソワしてるね?」

「はぁ……」

「もうやめとこうぜ。むなしいだけだ。見守ってるよ……好きにしろ。」

「どうもありがとうございます。」

(風真くんと颯砂くん、わたしたちのこと、気にしてくれてるんだな……)

 

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