文化祭会話 柊夜ノ介

 

出歩きイベント「案内係」

「◯◯さん。」

「あ、柊くん。文化祭、楽しんでる?」

「はい。案内係をやらせてもらってます。生徒会の業務は交代ですし、空いてる時間は案内係です。」

「少しは休憩しないと体がもたないよ?」

「大丈夫です。ちょっとお腹はいっぱいですけどね。」

「え?」

「ご案内する以上、責任がありますので、出店の内容を確認してきました。事前の登録より、焼きそば屋台が多かったです。」

「数えてきたの?」

「はい。味の方もね?おかげで、満腹です。」

「全部食べたんだ……」

「もちろん。試さないと、お客様にすすめられません。」

女性客「案内係さん、教えてもらった焼きそば屋台、美味しかったよ!スイーツ系のおすすめは?」

「すみません。ちょっと行ってきます。」

 

「すみません、スイーツは勉強不足です。僕は焼きそば専門です。」

(ふふっ、焼きそば専門の案内係なんだ!)

 

「◯◯さん。」

「あ、柊くん。今年も案内係さん?」

「ええ、生徒会の業務の合間に、登録内容と実際の店の確認と、味見もしています。」

「柊くんのおすすめの焼きそばは?」

「昨年、スイーツのおすすめを聞かれたので、今年は焼きそばではなくスイーツを調査していました。」

「そうだったんだ!」

「ええ。ただ種類が多いんです…… たい焼きだけでも、あんこ、クリーム、チーズ……もう食べられません。」

女性客「案内係さん、教えてもらったたい焼き、美味しかったよ! 次はしょっぱいものも食べたいな。」

「すみません。ちょっと行ってきます。」

 

「でしたら焼きそばです。ご案内しますよ。」

(ふふっ、よかった。柊くん、焼きそばが食べられそう?)

 

「◯◯さん。」

「あ、柊くん。今年も案内係さん?」

「はい、今年はデータの蓄積がありますからね。食べ物の屋台はお任せください。」

女性客A「案内係さん、一番おいしい焼きそばはどこ?」

「王道のソースなら、野球部の屋台が伝統的なはば学ソース焼きそばですよ。」

女性客B「うん、やっぱり王道よね。そこ行ってみよう。」

「すごい……完璧だね?」

「はい。テニス部の塩焼きそばもおすすめですよ?」

「わぁ、美味しそう。」

「生徒会の業務が終わったら、ご一緒しましょうか?」

「やった、お願いします。」

「承りました。では、のちほど。」

(柊くんおススメの塩焼きそば、楽しみだな……でも今年が最後だから、王道ソースも気になるかも)

 

クラス展示

1年目:和風喫茶

「お抹茶とみたらし団子、お待たせしました。」

(ふぅ……こんなにお客が来るなんて想像してなかった……)

「◯◯さん、大盛況ですね?」

「あっ、柊くん! いらっしゃいませ。」

「あなたの気持ちの良い接客のせいかな?」

「ふふっ、そうかも?」

「ははっ。じゃあ僕にも、楽しいお茶の時間をください。」

「はい、もちろん。1名様、ご案内お願いしまーす。」

「え? あなたが給仕してくれるんじゃないんですか?」

「呼び込みとローテーションだよ?」

「そうなんですね…… じゃあ、あなたが給仕に来るまで、中でお団子いただいてます。」

「うん、ゆっくり食べてください。」

 

「お茶もお団子もおいしいです。文化祭の域を超えてますよ。」

「どっちも、試行錯誤して準備したんだ。」

「なるほど。努力の結晶ですね。あなたの浴衣に引き寄せられて、フラッとやって来た自分が恥ずかしい。」

「ええ?」

「とてもいい時間を過ごせました。ありがとう。」

(やったね! 大成功!!)

 

2年目:ダンボール迷路

「迷路だよ~。見事ゴールできたら、搾りたて牛乳が飲めるよ~。」

「教室が迷路に……」

「あ、柊くん、いらっしゃい。」

「ああ、あなたのクラスでしたか。すごいですね、この発想。」

「興味あったら、是非試してみて?」

「迷路、牛、牛乳…… そして、牛がらシャツのあなた。もう興味しかないですよ。あなたと御影先生からの挑戦、受けて立ちます。」

「はい♪ 1名様、ご案内~!」

 

「ああ、やっとです…… 教室が広大な牧場に感じましたよ。」

「お疲れ様! どうだった?」

ホルスタイン柄の壁、斬新でした。もう抜け出せないかと思った。でも、迷路の中が動物たちのイラストでにぎやかだったので、迷っていても楽しかった。」

「御影先生のアイディアをみんなでアレンジしたんだよ。」

「では、御影クラス全員の勝利ですね。」

「ありがとう!」

(ふふっ、褒められちゃった! がんばって準備してよかった!)

 

吹奏楽

1年目:楽曲演奏「クラシック」

(もう少しで始まっちゃう。どうしよう、緊張してきた……)

「◯◯さん。調子はどう?」

「あっ、柊くん……」

「それは、何ていう顔ですか?」

「緊張している顔です。」

「ははっ、大丈夫。これだけ冷静に返せれば。」

「え?」

「ほら、もういつものあなただ。」

「う、うん。」

「僕はあなたがいつも奏でている、柔らかく伸びのある音のファンです。それが聴ければ嬉しいな。」

「ありがとう!いつもの音を出してくるね。」

(よし、やるぞ!柊くんに満足してもらわなきゃ!)

 

(よかった!初めての演奏会、上手くいったみたい!)

「おめでとう。なかなか拍手が鳴り止まなかった。」

「ありがとう、柊くん!」

「いい笑顔です。それに、素晴らしい演奏でした。」

「ステージに出たら、気持ちが落ち着いて来たんだ。」

「あなたは本番に強い。芯が強い人だ。演奏会成功、おめでとう。」

「ありがとう!」

(やった!柊くんに喜んでもらえた!練習、がんばってきた甲斐があったな)

 

2年目:楽曲演奏「ゲームミュージック
3年目:楽曲演奏「フォース・ハート」

 

園芸部

1年目:ハーブティー

(今年の展示はカフェ。ハーブティーとクッキーを用意したけど……)

「お邪魔します。」

「あっ、柊くん!来てくれたの?」

「もちろん。あなたが丹精込めて育てたハーブ。すごい効果があるに決まってます。」

「ふふっ、リラックス効果だけだよ?」

「じゃあ、リラックスさせて下さい。」

「はい。お客様1名、ご案内します!」

 

「ふぅ…… うん、落ち着きます。」

「あ、柊くん。どうかな?」

「ええ、美味しいとリラックスが同時にやってきました。」

「ふふっ、リラックス効果のあるハーブを使ってるからね?」

「そうなんですね。おかげで今日は、グッスリ眠れそうだ。」

(柊くん、気に入ってくれたみたい! やった、大成功!!)

 

2年目:ハーブティー&野菜即売会
3年目:オーガニックカフェ

 

生徒会執行部

1年目:文化祭運営「雑用、連絡係」

(来賓用のお茶とお菓子は大丈夫。あとは……)

「◯◯さん。」

「あ、柊くん!ごめんなさい。お待たせしちゃって。
 お客様用のお茶とお菓子、用意できました。」

「はい。では、僕が持っていきますね。」

「え? でも、わたしの仕事だから……」

「大丈夫。劇団関係で面識のある方々ですから。お任せください。」

「……うん。じゃあわたしは、案内用の校内マップの準備させてもらうね。」

「ゆっくり落ち着いて。」

 

「来賓の方々、とても喜んでましたよ。」

「本当?よかった。」

「お渡しした校内案内マップに、来賓の方のお名前とメッセージを記入した心配り……さすがです。」

「喜んでもらえたならうれしいな。」

「大成功です。ありがとう。」

(やった! 大成功だ!!)

 

2年目:文化祭運営「資材担当」

(資材管理簿、しっかり付けないと……)

男子生徒「すいませーん!養生テープとゴミ袋くださーい!」

「はーい!棚にあるのを持って行ってください。」

男子生徒「あれ? どっちもないけど?」

「ええ!?」

「はい、養生テープとゴミ袋。」

男子生徒「柊、サンキュ!借りてくよ!」

「在庫が心許なかったので、購入してきました。」

「柊くん、どうもありがとう!」

(うーん……管理ノートではまだ在庫あるはずなのにな。記入していない人には注意しないと……)

 

男子生徒「すみません!ダンボール箱ありますか?」

「はーい、貸出ノートに学年、クラスと個数を記入してください。最後にこちらのカウンターを個数分押してください。」

男子生徒「OK! 3回押しとく。」

「管理ノートとカウンターを併用するなんて、いいアイディアでしたね。」

「うん、よかった。これで在庫状況もわかるから。」

「来年以降も、資材担当の伝統になりそうですね。僕もあなたのように、手元のことから見直す目線を持ちたいな。」

(やった!柊くんに褒められちゃった!)

 

3年目:文化祭運営「フロア担当」

「迷子の案内放送は、5分おきに入れてください。」

男子生徒「あ、はい!」

「案内看板が間違ってた件はどうですか?」

女子生徒「どこが正しくて、どこが間違っているのかわからなくて……」

「じゃあ全部外して、案内チラシだけ置いておこう?」

女子生徒「わかりました。行ってきます!」

「うん、文化祭本番って感じですね。」

「柊くん、おかえりなさい。……ふぅ。」

「急に気が抜けたみたいにどうしたんですか?」

「うん…… 後輩にはそんな姿、見せられないから。」

「そうですね。さすが、ベテラン。しばらく僕が変わりますよ。ちょっと休んできたら?」

「大丈夫!ありがとう、柊くん。」

 

女子生徒「騒音の件、クラスの代表で話してもらったら、解決できました。」

「本当?よかった。お疲れ様でした!」

「迷子のお母さんも見つかりました。」

「はぁ、よかった。」

「こまめに放送を繰り返してたから、気付いてくれたそうです。学校中が盛り上がって、放送が聞こえにくいですから。」

「うん。それにお母さんも慌ててるから聞き逃すかもしれないしね。」

「三年間の経験がものをいった感じだね。さすがです。」

(最後の文化祭、大成功!生徒会を三年間がんばってよかった!)

 

手芸部

1年目:カジュアルウェア

(ギリギリ仕上がったけど、いよいよランウェイ…… 緊張しちゃうな……)

「◯◯さん。」

「あ、柊くん。見に来てくれたの?」

「あなたの晴れ舞台ですから。見逃すわけにはいきません。」

「晴れ舞台か…… やっぱり緊張するなぁ。」

「すみません。プレッシャーをかけるつもりじゃなかったのに。」

「ううん。見てもらえるのはうれしいよ。」

「劇団でも同じです。観てもらえることが一番の喜びです。その嬉しい気持ちだけで、不安は忘れましょう?」

「……うん。 あっ、始まる……」

「大丈夫。あなたなら観客を魅了できます。今の僕が証拠です。」

(ありがとう、柊くん。うん、少し自信が出てきたかも。がんばるぞ!)

 

(よかった、なんとか成功したみたい!)

「お疲れ様でした。堂々としていて素晴らしかった。」

「ありがとう。柊くんが応援してくれたおかげだよ!」

「いえ、あなたの力ですよ。あなたは自分の魅力を理解している。」

(ふふ、うれしいな。ステージは大成功!)

 

2年目:パーティードレス
3年目:ウエディングドレス

 

ローズクイーン

「おめでとう。ローズクイーン。」

「柊くん! ありがとう!」

「学校の誰よりも、あなたに相応しい称号です。」

「なんか、恥ずかしいな。」

「恥ずかしがる必要などありません。堂々としていてください。 ふふっ。」

「どうしたの?」

「なぜでしょう。僕は関係ないのに、自分が誇らしくて嬉しい。変だね?」

「ふふっ、ありがとう。そんなに喜んでくれて。」

「自分の感情は不可解だけど 一つ言えるのは、今日で、はば学が更に好きになった。」

「学校が?」

「そう。だって、君がローズクイーンに選ばれるってことは、僕と同じ価値観を全校生徒が持ってる証拠でしょ?僕はお客さんじゃなくて、やっとはば学生になれたんだなって思うよ。これも君の魅力のおかげかな。」

「えぇと、ありがとう。でも褒めすぎだよ。」

「今日はいいでしょう?全校生徒の総意ですから。あなたは最高です。」

「柊くん……ありがとう。」