文化祭会話 柊夜ノ介
出歩きイベント「案内係」
1
「◯◯さん。」
「あ、柊くん。文化祭、楽しんでる?」
「はい。案内係をやらせてもらってます。生徒会の業務は交代ですし、空いてる時間は案内係です。」
「少しは休憩しないと体がもたないよ?」
「大丈夫です。ちょっとお腹はいっぱいですけどね。」
「え?」
「ご案内する以上、責任がありますので、出店の内容を確認してきました。事前の登録より、焼きそば屋台が多かったです。」
「数えてきたの?」
「はい。味の方もね?おかげで、満腹です。」
「全部食べたんだ……」
「もちろん。試さないと、お客様にすすめられません。」
女性客「案内係さん、教えてもらった焼きそば屋台、美味しかったよ!スイーツ系のおすすめは?」
「すみません。ちょっと行ってきます。」
「すみません、スイーツは勉強不足です。僕は焼きそば専門です。」
(ふふっ、焼きそば専門の案内係なんだ!)
2
「◯◯さん。」
「あ、柊くん。今年も案内係さん?」
「ええ、生徒会の業務の合間に、登録内容と実際の店の確認と、味見もしています。」
「柊くんのおすすめの焼きそばは?」
「昨年、スイーツのおすすめを聞かれたので、今年は焼きそばではなくスイーツを調査していました。」
「そうだったんだ!」
「ええ。ただ種類が多いんです…… たい焼きだけでも、あんこ、クリーム、チーズ……もう食べられません。」
女性客「案内係さん、教えてもらったたい焼き、美味しかったよ! 次はしょっぱいものも食べたいな。」
「すみません。ちょっと行ってきます。」
「でしたら焼きそばです。ご案内しますよ。」
(ふふっ、よかった。柊くん、焼きそばが食べられそう?)
3
「◯◯さん。」
「あ、柊くん。今年も案内係さん?」
「はい、今年はデータの蓄積がありますからね。食べ物の屋台はお任せください。」
女性客A「案内係さん、一番おいしい焼きそばはどこ?」
「王道のソースなら、野球部の屋台が伝統的なはば学ソース焼きそばですよ。」
女性客B「うん、やっぱり王道よね。そこ行ってみよう。」
「すごい……完璧だね?」
「はい。テニス部の塩焼きそばもおすすめですよ?」
「わぁ、美味しそう。」
「生徒会の業務が終わったら、ご一緒しましょうか?」
「やった、お願いします。」
「承りました。では、のちほど。」
(柊くんおススメの塩焼きそば、楽しみだな……でも今年が最後だから、王道ソースも気になるかも)
クラス展示
1年目:和風喫茶
「お抹茶とみたらし団子、お待たせしました。」
(ふぅ……こんなにお客が来るなんて想像してなかった……)
「◯◯さん、大盛況ですね?」
「あっ、柊くん! いらっしゃいませ。」
「あなたの気持ちの良い接客のせいかな?」
「ふふっ、そうかも?」
「ははっ。じゃあ僕にも、楽しいお茶の時間をください。」
「はい、もちろん。1名様、ご案内お願いしまーす。」
「え? あなたが給仕してくれるんじゃないんですか?」
「呼び込みとローテーションだよ?」
「そうなんですね…… じゃあ、あなたが給仕に来るまで、中でお団子いただいてます。」
「うん、ゆっくり食べてください。」
「お茶もお団子もおいしいです。文化祭の域を超えてますよ。」
「どっちも、試行錯誤して準備したんだ。」
「なるほど。努力の結晶ですね。あなたの浴衣に引き寄せられて、フラッとやって来た自分が恥ずかしい。」
「ええ?」
「とてもいい時間を過ごせました。ありがとう。」
(やったね! 大成功!!)
2年目:ダンボール迷路
「迷路だよ~。見事ゴールできたら、搾りたて牛乳が飲めるよ~。」
「教室が迷路に……」
「あ、柊くん、いらっしゃい。」
「ああ、あなたのクラスでしたか。すごいですね、この発想。」
「興味あったら、是非試してみて?」
「迷路、牛、牛乳…… そして、牛がらシャツのあなた。もう興味しかないですよ。あなたと御影先生からの挑戦、受けて立ちます。」
「はい♪ 1名様、ご案内~!」
「ああ、やっとです…… 教室が広大な牧場に感じましたよ。」
「お疲れ様! どうだった?」
「ホルスタイン柄の壁、斬新でした。もう抜け出せないかと思った。でも、迷路の中が動物たちのイラストでにぎやかだったので、迷っていても楽しかった。」
「御影先生のアイディアをみんなでアレンジしたんだよ。」
「では、御影クラス全員の勝利ですね。」
「ありがとう!」
(ふふっ、褒められちゃった! がんばって準備してよかった!)
吹奏楽部
1年目:楽曲演奏「クラシック」
(もう少しで始まっちゃう。どうしよう、緊張してきた……)
「◯◯さん。調子はどう?」
「あっ、柊くん……」
「それは、何ていう顔ですか?」
「緊張している顔です。」
「ははっ、大丈夫。これだけ冷静に返せれば。」
「え?」
「ほら、もういつものあなただ。」
「う、うん。」
「僕はあなたがいつも奏でている、柔らかく伸びのある音のファンです。それが聴ければ嬉しいな。」
「ありがとう!いつもの音を出してくるね。」
(よし、やるぞ!柊くんに満足してもらわなきゃ!)
(よかった!初めての演奏会、上手くいったみたい!)
「おめでとう。なかなか拍手が鳴り止まなかった。」
「ありがとう、柊くん!」
「いい笑顔です。それに、素晴らしい演奏でした。」
「ステージに出たら、気持ちが落ち着いて来たんだ。」
「あなたは本番に強い。芯が強い人だ。演奏会成功、おめでとう。」
「ありがとう!」
(やった!柊くんに喜んでもらえた!練習、がんばってきた甲斐があったな)
2年目:楽曲演奏「ゲームミュージック」
3年目:楽曲演奏「フォース・ハート」
園芸部
1年目:ハーブティー
(今年の展示はカフェ。ハーブティーとクッキーを用意したけど……)
「お邪魔します。」
「あっ、柊くん!来てくれたの?」
「もちろん。あなたが丹精込めて育てたハーブ。すごい効果があるに決まってます。」
「ふふっ、リラックス効果だけだよ?」
「じゃあ、リラックスさせて下さい。」
「はい。お客様1名、ご案内します!」
「ふぅ…… うん、落ち着きます。」
「あ、柊くん。どうかな?」
「ええ、美味しいとリラックスが同時にやってきました。」
「ふふっ、リラックス効果のあるハーブを使ってるからね?」
「そうなんですね。おかげで今日は、グッスリ眠れそうだ。」
(柊くん、気に入ってくれたみたい! やった、大成功!!)
2年目:ハーブティー&野菜即売会
3年目:オーガニックカフェ
生徒会執行部
1年目:文化祭運営「雑用、連絡係」
(来賓用のお茶とお菓子は大丈夫。あとは……)
「◯◯さん。」
「あ、柊くん!ごめんなさい。お待たせしちゃって。
お客様用のお茶とお菓子、用意できました。」
「はい。では、僕が持っていきますね。」
「え? でも、わたしの仕事だから……」
「大丈夫。劇団関係で面識のある方々ですから。お任せください。」
「……うん。じゃあわたしは、案内用の校内マップの準備させてもらうね。」
「ゆっくり落ち着いて。」
「来賓の方々、とても喜んでましたよ。」
「本当?よかった。」
「お渡しした校内案内マップに、来賓の方のお名前とメッセージを記入した心配り……さすがです。」
「喜んでもらえたならうれしいな。」
「大成功です。ありがとう。」
(やった! 大成功だ!!)
2年目:文化祭運営「資材担当」
(資材管理簿、しっかり付けないと……)
男子生徒「すいませーん!養生テープとゴミ袋くださーい!」
「はーい!棚にあるのを持って行ってください。」
男子生徒「あれ? どっちもないけど?」
「ええ!?」
「はい、養生テープとゴミ袋。」
男子生徒「柊、サンキュ!借りてくよ!」
「在庫が心許なかったので、購入してきました。」
「柊くん、どうもありがとう!」
(うーん……管理ノートではまだ在庫あるはずなのにな。記入していない人には注意しないと……)
男子生徒「すみません!ダンボール箱ありますか?」
「はーい、貸出ノートに学年、クラスと個数を記入してください。最後にこちらのカウンターを個数分押してください。」
男子生徒「OK! 3回押しとく。」
「管理ノートとカウンターを併用するなんて、いいアイディアでしたね。」
「うん、よかった。これで在庫状況もわかるから。」
「来年以降も、資材担当の伝統になりそうですね。僕もあなたのように、手元のことから見直す目線を持ちたいな。」
(やった!柊くんに褒められちゃった!)
3年目:文化祭運営「フロア担当」
「迷子の案内放送は、5分おきに入れてください。」
男子生徒「あ、はい!」
「案内看板が間違ってた件はどうですか?」
女子生徒「どこが正しくて、どこが間違っているのかわからなくて……」
「じゃあ全部外して、案内チラシだけ置いておこう?」
女子生徒「わかりました。行ってきます!」
「うん、文化祭本番って感じですね。」
「柊くん、おかえりなさい。……ふぅ。」
「急に気が抜けたみたいにどうしたんですか?」
「うん…… 後輩にはそんな姿、見せられないから。」
「そうですね。さすが、ベテラン。しばらく僕が変わりますよ。ちょっと休んできたら?」
「大丈夫!ありがとう、柊くん。」
女子生徒「騒音の件、クラスの代表で話してもらったら、解決できました。」
「本当?よかった。お疲れ様でした!」
「迷子のお母さんも見つかりました。」
「はぁ、よかった。」
「こまめに放送を繰り返してたから、気付いてくれたそうです。学校中が盛り上がって、放送が聞こえにくいですから。」
「うん。それにお母さんも慌ててるから聞き逃すかもしれないしね。」
「三年間の経験がものをいった感じだね。さすがです。」
(最後の文化祭、大成功!生徒会を三年間がんばってよかった!)
手芸部
1年目:カジュアルウェア
(ギリギリ仕上がったけど、いよいよランウェイ…… 緊張しちゃうな……)
「◯◯さん。」
「あ、柊くん。見に来てくれたの?」
「あなたの晴れ舞台ですから。見逃すわけにはいきません。」
「晴れ舞台か…… やっぱり緊張するなぁ。」
「すみません。プレッシャーをかけるつもりじゃなかったのに。」
「ううん。見てもらえるのはうれしいよ。」
「劇団でも同じです。観てもらえることが一番の喜びです。その嬉しい気持ちだけで、不安は忘れましょう?」
「……うん。 あっ、始まる……」
「大丈夫。あなたなら観客を魅了できます。今の僕が証拠です。」
(ありがとう、柊くん。うん、少し自信が出てきたかも。がんばるぞ!)
(よかった、なんとか成功したみたい!)
「お疲れ様でした。堂々としていて素晴らしかった。」
「ありがとう。柊くんが応援してくれたおかげだよ!」
「いえ、あなたの力ですよ。あなたは自分の魅力を理解している。」
(ふふ、うれしいな。ステージは大成功!)
2年目:パーティードレス
3年目:ウエディングドレス
ローズクイーン
「おめでとう。ローズクイーン。」
「柊くん! ありがとう!」
「学校の誰よりも、あなたに相応しい称号です。」
「なんか、恥ずかしいな。」
「恥ずかしがる必要などありません。堂々としていてください。 ふふっ。」
「どうしたの?」
「なぜでしょう。僕は関係ないのに、自分が誇らしくて嬉しい。変だね?」
「ふふっ、ありがとう。そんなに喜んでくれて。」
「自分の感情は不可解だけど 一つ言えるのは、今日で、はば学が更に好きになった。」
「学校が?」
「そう。だって、君がローズクイーンに選ばれるってことは、僕と同じ価値観を全校生徒が持ってる証拠でしょ?僕はお客さんじゃなくて、やっとはば学生になれたんだなって思うよ。これも君の魅力のおかげかな。」
「えぇと、ありがとう。でも褒めすぎだよ。」
「今日はいいでしょう?全校生徒の総意ですから。あなたは最高です。」
「柊くん……ありがとう。」