休日出歩きイベント 氷室一紀編

 

栄養バランス

氷室一紀

「◯◯先輩。」

「あ、氷室くん!お買い物?」

「まあ、そんなところ。小腹空いたから、コンビニ行ってきた。」

「そっか。何買ったの?」

カップ麺と唐揚げ。それと、炭酸ジュース。」

「えっ。」

「先に言っておくけど。栄養バランスは三食の食事でしっかり計算されてるから。これは、あくまでも間食用。いつも模範的な食事を摂ってると、反動でこういうのが食べたくなるんだ。」

「そ、そっか。でも、間食にしては量あるね?」

「一応、育ちざかりなんで。これくらい食べても、平気。それに……間食くらいでしか、こういうの食べられないし。」

「禁止されてるの?」

「いい顔はされない。けど、どんだけ注意されたって、サーフィン終わりのカップ麺と炭酸ジュースはやめられない。君だって、運動後におせち料理出されたら嫌でしょ?」

「おせち……それは、そうかも。」

「そういうこと。じゃ、そろそろ帰る。母さんが帰る前に早く食べたいし。それじゃ。」

おせち料理か……氷室くんのお母さんが作るご飯、ちょっと気になるかも)

 

はぐれた弟

氷室一紀

(さてと、そろそろ帰ろっかな。)

「いいところに!」

「わっ、氷室くん!?」

「この辺で、小学生くらいの男の子、見てない?」

「えっ、見てないけど……どうかしたの?」

「……はぐれたんだ、弟と。」

「えっ……弟さん!? 氷室くん、弟いたんだ……」

「なに、その意外そうな顔。一緒に買い出しに来てたんだけど、目を離した隙に見失ったんだ。ハァ……本当、何やってんだろ。兄失格だ……」

(着信音)

「……あ、僕のだ。ごめん。 ……え?帰ってきた?」

「弟、無事に家に帰ってきたって。今、母さんから連絡来た。」

「えっ、本当に!? 良かった……!」

「うん……まさかひとりで先に帰ってるとは思わなかった。心配かけて、ごめん。」

「ううん、平気だよ。氷室くんに似て、しっかりした弟さんだね?」

「どうだろう。下手したら、僕よりしっかりしてる。母さんには、僕が迷子になった、って報告したらしいし。」

「ふふっ。じゃあ探されてたのは、氷室くんの方だったんだ?」

「そうみたい。本当、弟には適わないよ。じゃ、そろそろ帰る。今日は、ありがとう。……それじゃ。」

(無事でよかったな……氷室くんと弟さんの関係も、ちょっと覗けちゃったし)

 

ぷちぷちとは?

氷室一紀柊夜ノ介

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「氷室くん! 柊くん!」

「こんにちは。」

「どうも。」

「二人ともお買い物?」

「まあ、そんなところ。」

「ええ、僕は劇団の買い出しで――そうだ、丁度良かった。『ぷちぷち』ってご存じですか?」

「随分といきなりですね……」

「リストには『ぷちぷち』とだけ書いてあって……わかります?」

「ぷちぷち……もしかして、潰すやつかな?」

「潰す?」

「◯◯先輩。それ、言い方悪い。緩衝材でしょう。壊れ物とかに巻くシート状の。」

「なるほど、そうかも。小道具係からの要望だったので。」

「なら、ホームセンターですね。僕も用事あるので、一緒に行きますか?」

「ええ、助かります。」

「じゃ、僕たちはこれで。」

「あなたもご協力ありがとう。」

「うん、気をつけてね!」

 

「……ところで、『潰す』ってなに?」

「潰す遊びがあるだけです。」

「へぇ、意味はわからないけど……試してみるかな。」

(変なこと、教えちゃったかも……)

 

ゲームに敗北

氷室一紀颯砂希

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「颯砂くん、氷室くん!」

「おっ、きみか。買い物?」

「うん。二人は?」

「…………」

「えぇと……氷室くん? どうかしたの?」

「ああ、スネてんだよな? オレにゲームでボロ負けして。」

「わざわざ言う必要あります?」

「二人でゲームセンターに行ってきたの?」

「うん、イノリがゲームやってんの見えたから声かけたんだ。」

「そのまま放っといて欲しかった…… こっちは、やりたくもないのに対戦までやらされて。」

「うそつけ!おまえ、最初は挑発的だったろ。」

「ふふっ、それでいざ始めたら颯砂くんが勝っちゃったんだ?」

「前にやったことあるんでしょう?じゃなきゃ、あんなに上手く操作できるわけない。」

「ないって言ってんだろ。イノリの教え方が上手かったんだ。……あ、ワリ。そろそろ行かないと。おかげで楽しかったよ。じゃな!」

「うん、気をつけてね。」

「……絶対、ウソだ。」

「氷室くん?」

「あのゲームは、センスや感覚も大事だけど、戦術を組み立てないと攻略できない。今日初めて触れた人間がそんな簡単にできるはずない……絶対、ウソだ。」

(氷室くん、どうしても負けを受け入れられないみたい……?)

 

必死に撮影

氷室一紀七ツ森実

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「ヤバいわ……アイツ。」

「ええ。あのスリスリは……ちょっと。」

(この声は……)

「七ツ森くん、氷室くん!」

「よ。」

「どうも。」

「二人が一緒なんてめずらしいね?」

「や……たまたま会ったっていうか、お互い、引き寄せられた……みたいな?」

「そうですね……偶然とは違いますね。」

「? 何があったの?」

「さっき、通りがかりの駄菓子屋の前で、必死に何かの写真を撮ってるミノル先輩を見かけたんだ。すごい体勢だったから、そこまでして撮りたいものって何だろうって、気になって覗いたんだけど……」

「アレは……マジ天使。」

「???」

「駄菓子屋の看板猫のこと。ミノル先輩が必死になって撮ってたのは、その猫だったってワケ。」

「すげー甘えん坊なんだよ。どう考えてもスルー不可避だろ?氷室君の足元にもすげースリスリしてた。……な?」

「う……あんなの、今までされたことなかったのに……」

「ハハッ。氷室君も、にゃんこの引力に負けたな?」

「ハァ……認めざるを得ません。」

(ふふ、二人とも猫が好きだなんて……ちょっと意外?)

 

待ち合わせ

氷室一紀御影小次郎氷室零一

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「◯◯先輩、奇遇だね。」

「あ……氷室くん!お買い物?」

「いや、待ち合わせ。約束の30分前だから、もう来るはず。」

「え、30分も前に……?」

「よ!揃ってんな?」

「あっ、御影先生!」

「小次郎先生……なぜこちらに?」

「あれ?待ち合わせの相手は、御影先生じゃないの?」

「まさか。小次郎先生は約束の30分前に来るキャラじゃないでしょ。」

「おいおい。何の話だか知らねぇけど、ヒドい言われようだな?俺はこう見えて、時間と約束はきっちり守る男だぜ?」

「では、私との約束も守って頂けますか?」

「へっ?」

「つなぎ姿で校内をうろつかない、という約束です。」

「氷室先生!? あ、待ち合わせの相手って……」

「そう。」

「やー……奇遇ですね。こんなところでお会いするなんて。あーっと、そろそろスーパーのタイムセールが始まるんで、お先に――

「御影先生。」

「は、はい……」

「約束の件は、また学校で。」

「……ハイ。」

(御影先生、大ピンチだ!)

 

ふたりで買い物

氷室一紀氷室零一

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「レーイチさん、あっちの和菓子屋はどうですか?」

「あそこの商品なら、喜んでいただけるだろう。」

(この声は……)

「氷室先生、こんにちは。」

「……フム、こんにちは。」

「なんでここに……」

「一紀。挨拶は基本だぞ。」

「あ……はい。……どうも。」

「ふふっ、どうも?」

「よろしい。では私は、和菓子店を覗いてくる。」

「あ―― ……行っちゃった。」

「氷室先生とお買い物だなんて、めずらしいね?」

「今日は集まりがあるんだ、親族の。ていうか、君。さっきクスクスと笑ってたよね。」

「えっ?そうだっけ。」

「どうせ、氷室同士の掛け合いがおかしかったんだろ。」

「違うよ。大人しく従う氷室くんが新鮮で。」

「はぁ……これだからイヤなんだ。レーイチさんと一緒にいるところ見られるの。特に……君には。」

「え、どうして?」

「そんなの決まって――

「一紀。」

「うわっ!?」

「すまないが、積もる話はそこまでだ。急いで戻らなければ……」

「え……そ、そうですね。行きましょう。」

「では、我々は失礼する。きみも気をつけて帰りたまえ。」

「はい!……氷室くんも、またね?」

「……ど、どうも。」

(ふふっ!氷室先生の前の氷室くん、借りてきた猫みたい?)

 

距離感

氷室一紀花椿ひかる

(さてと、そろそろ帰ろっかな。……あれ?)

「すみません。もう少し離れてくれませんか?」

「あ、もしかして照れてる~?」

「違います。」

(この声は、もしかして……)

「氷室くん、ひかるさん!二人でおでかけ?」

「あっ、マリィ!そうなの、マリィも一緒にどう?」

「誰が一緒に出かけるって言いました?違いますから。」

「アハ♡ でもさ、ひかるのこと無視しないとかさ、氷室ちゃんの優しいとこだよね♪」

「は、はあ?」

「ふふ、そうだね。」

「君まで……何?」

「ねえねえ、氷室ちゃんってカワイイんだよ~♪ ちょっとひかるが近づくと、近づいた分、距離を取るの。おもしろ~い!」

花椿先輩のパーソナルスペースが狭すぎるんです。それに、そんなに近づいてたら色々……その、誤解されるでしょう。」

「あ! 今、マリィのこと見た!」

「えっ、わたし?」

「ふぅん、なるほどね~……マリィには誤解されたくないんだ?そっかそっか。」

「は?そんなことは一言も――

「顔に出ま・く・り♡ おもしろ~い♪」

「ああもう、だから――

「あっ、いっけなーい!お姉ちゃんのこと、待たせてるんだった。二人とも、サリュ!」

「なんなんだ、あの人……」

「えぇと……誤解されたくないって、なんのこと?」

「 !? ……知らないよ!」

(あれれ……氷室くん、顔真っ赤だったけど怒らせちゃったかな……?)