文化祭会話 御影小次郎

 

出歩きイベント「動物園」

「◯◯、文化祭楽しんでるか?」

「はい! あれ、御影先生、その格好は……」

「園芸部もクラスの出店もおまえたちにお任せだからな。俺も独自で出展だ。」

「え?」

「御影移動動物園。はばたき山牧場の全面協力でな。おまえも、気が向いたら来いよ~!」

 

「おねーさん、ポニーの乗馬体験やってみない?」

女性客「え? 乗馬ですか?」

「そう、かわいいポニー。」

(御影先生……なんかずいぶん楽しそうだな……)

 

(今年も大盛況だな……一般のお客さんも、去年より多いかも?)

女性客A「あの、すみません。ポニーの王子様には、どこに行けば会えるんですか?」

「えっ?ポニーの王子様?」

女性客B「あったよ!乗馬体験。」

女性客A「本当!? ごめんなさい、あっちみたい。」

(ポニーって、まさか……)

 

「ふぅ……」

「あ、御影先生!……あれ? 移動動物園は?」

「調子に乗りすぎてさ、たっぷり氷室教頭にしぼられた……」

「ええ!?」

「ああ、学校行事ってだけで浮かれる俺が悪いんだ。もう大人しく見回りでもしてるよ。」

(あの様子だと、すごく怒られたのかな……? ちょっとかわいそう?)

 

(今年は家族連れも多いみたい。みんな楽しそうで良かった!)

男の子「もう一回、動物園行きたいな。飼育員の人、チョー面白かったもん。」

女性「そうね。行こうか。」

男の子「やった!早く行こう!」

(……動物園?)

「◯◯。楽しんでるか?」

「あ、御影先生。えぇと、その格好ってことは……」

「御影移動動物園の復活だ。」

「えっ……大丈夫なんですか?」

「心配いらねぇよ。俺は動物の世話だけ。乗馬のインストラクターは、牧場の方がやってる。」

「あ、さっき男の子が 飼育員の人、チョー面白かったって言ってましたよ?」

「おお、いいなぁ。」

「あ、でも早く動物園に戻ってあげてください。男の子、もう一度行くって言って走って行きました。」

「そりゃ急がないとな。あ、おまえも時間あったら来い。ヤギと一緒に待ってるぜ?」

(ふふっ、さすが御影先生。大人も子どもも楽しませちゃうんだ。わたしも後で行ってみようかな?)

 

クラス展示

2年目:ダンボール迷路

「巨大迷路に挑戦してみませんか~。成功した方には、おいしい牛乳サービスで~す。」

「おお、結構人気じゃねぇか? 可愛い仔牛ちゃんのおかげかな?」

「御影先生が用意してくれた、おいしい牛乳のおかげです!」

「たくさんあるから、おまえも後で飲むんだぞ。」

「ふふっ、はい。楽しみです。」

「おう。じゃあ、俺も一杯もらおうかな?」

「ダメです。脱出成功しないと、牛乳は飲めませんよ?」

「おお、その挑戦受けた。最速記録作ってやる。」

「はい。 迷える子羊ちゃん、1名様ご案内~!」

 

「迷った~。おまえたち、すごいもん作ったじゃねぇか。」

「御影先生、やっとゴールできましたね。」

「ああ、完敗だ。おかげでご褒美の牛乳が更に美味かった。」

「やった!クラスみんなで研究した成果です。」

「しっかり準備してたもんな。最高の思い出になったんじゃねぇか。」

(やったね! 大成功!)

 

吹奏楽

1年目:楽曲演奏「クラシック」

(もう少しで始まっちゃう…… どうしよう、緊張してきた……)

「なんだ、なんだ、見てらんねぇな。」

「あっ、御影先生……」

吹奏楽、好きなんだろう?好きな事するのに、そんな顔してどうする。」

「でも、失敗したらって考えたら……」

「失敗? 俺に言わせれば、仲間と部活を続けてきて、この舞台に立ってる時点でほぼ成功だよ。」

「でも、ミスしたらみんなに迷惑かけてしまいます。」

「こらっ。部員のみんなはおまえのミスを迷惑なんて思うのか?違うだろ?」

「は、はい。」

「な? いい仲間とここまでやってこれたってことで、もう成功。」

「御影先生……」

「あとはおまえ自身が納得できるかだ。ほら、楽しんで来い。」

(うん、御影先生の言う通りだよね。楽しんでこよう!)

 

(良かった!初舞台、大成功みたい!)

「よくやったな、立派だったぞ。」

「あっ、はい! 御影先生のおかげです。」

「俺は関係ねぇよ。ほら、みんな待ってんだろ。仲間と一緒に喜んでこい。」

「ありがとうございます!」

(やったぁ!御影先生に褒めてもらえてうれしいな!)

 

2年目:楽曲演奏「ゲームミュージック
3年目:楽曲演奏「フォース・ハート」

 

園芸部

1年目:ハーブティー

(今年はハーブティーとクッキーのカフェ。どっちも美味しくできたと思うけど……)

「なんだ、なんだ。閑散としてるな?」

「あっ、御影先生。覗いてくれる人はいるんですが……」

「そんな顔すんなって。俺に任せろ、客引きは得意だ。」

「ええっ?」

「とは言え、引っ張ってくる以上責任がある。まずはテイスティングだ。」

「はい。ハーブティーセット承りました~!」

 

「◯◯。」

「あ、御影先生、どうでしたか?」

「おかわり頼むっ。最高のハーブティーだよ。
 クッキーにもハーブが練り込まれてんだな。よーく、工夫した。」

「やった!」

「さすが、わが園芸部。こりゃ、文化祭だけじゃもったいないかもな。みんなでフリマにでも出店するか?楽しいぞぉ?」

(御影先生に褒められた!がんばって準備してきてよかったな!)

 

2年目:ハーブティー&野菜即売会

(今年はハーブティーと野菜即売会だ。みんなで作った野菜喜んでもらえるかな……)

「◯◯、まずまずの客入りだな?」

「あ、御影先生。いらっしゃいませ!」

「まずは俺の舌で確認だ。」

「ふふっ、はい。色んな効能のブレンドハーブティーがあります。どれにしますか?」

「どれどれ~?結構、種類があるな。……お。じゃあ、ぐっすり安眠ブレンド、頼む。」

「はい。オリジナルブレンドハーブティー、ぐっすり安眠ブレンド、ワン!」

 

「はぁ……落ち着く。」

「御影先生、どうでしょう?」

「こりゃ、カモミールジャスミンだな? いいブレンドになってるじゃねぇか。」

「本当ですか!」

「ああ。ほぉっと一息つかせてもらったぜ? とれたて野菜の方は何にも心配ない。こっから見たって、つやつやのべっぴんさん揃いだ。」

「ありがとうございます!」

「はぁ…… 買って帰りたいけど、ここは我慢だな。」

(やった、御影先生に褒められた!がんばって準備してきてよかったな!)

 

3年目:オーガニックカフェ

(みんなで育てた野菜を遣った料理とハーブティーオープンカフェ。最後の文化祭、園芸部の集大成だ……)

「こりゃすごいな。めちゃくちゃオシャレじゃねぇか。」

「あっ、御影先生! 本当ですか?」

「ああ。店員さんもな?」

「ふふっ、ありがとうございます!」

「お、受け入れたな?こりゃ料理もハーブティも期待できるな。」

「もちろんです。何になさいますか?」

「じゃあ、看板メニューをよろしくっ!」

「はい。有機野菜のサラダセット、入りました~!」

 

「美味い!新鮮な朝採れサラダ、最高だな!」

「御影先生、気に入ってもらえましたか?」

「ああ、キレイに育った野菜も、盛り付けでさらにべっぴんさんになってる。さすが、我が園芸部だな。」

「やった! ハーブティーはどうでしょう?」

「ああ、ブレンドもバッチリだ。相乗効果になってるよ。えらいぞ。育てるだけじゃなくて、しっかり研究もしたんだな。」

「はい!」

「こりゃ、口コミですぐ満席になるぞ? その前にもう一杯頼む!」

(クラブに打ち込んできた努力が実ったんだ! 園芸部に入って本当によかった……!)

 

生徒会執行部

1年目:文化祭運営「雑用、連絡係」

(よし、来賓名簿のチェックはこれでいいかな?)

「◯◯。生徒会の仕事はどうだ?」

「あ、御影先生。来賓の方の受付をやってます。」

「受付っていったら、学校の顔だ。いつものおまえの、ニコってやつで頼むぞ。」

「むやみに笑ったら失礼ですから…… 礼儀正しく、真面目にやります。」

「なんでだよ?おまえの笑顔だったら、来賓のお偉いさんだってイチコロだぜ?」

「イチコロ、ですか?」

「ああ、経験者は語る。俺が言うんだから、間違いない。
 お、来た来た。んじゃな~。」

(御影先生、応援に来てくれたんだよね?)

男性客「失礼、受付はここでいいのかね。」

「あ、はい!」

 

女子生徒「お疲れ様~。来賓の方があなたを褒めてたらしいよ。よかったね?」

「本当ですか?よかった。」

「おお、満足そうな顔してるじゃねぇか。」

「あ、御影先生。来賓の方が褒めてくれたって聞いて……」

「なんだ、もう知ってたか。ははっ、いい噂は広まるのが早いな。 
 来賓の方が帰りに職員室に来てさ、おまえを褒めてた。」

「そうだったんですね。うれしいです。」

「ついでに俺もご相伴にあずかった。」

「え?」

「担任の先生の教育の賜物とか言われた。何もしてねぇのにな?
 おまえのおかげで俺まで褒められた。ありがとうな。」

(やった、みんなに褒められちゃった!がんばって準備した甲斐があったな)

 

2年目:文化祭運営「資材担当」

男子生徒「すみませーん。ダンボールありますか~?」

「はーい、体育館裏にまとめてありますよ。必要な数と、クラスと名前をノートに書いていってください。」

「◯◯、忙しくしてるな。」

「あっ、御影先生!何かご用ですか?」

「陣中見舞い。と言いつつ、真面目ちゃんとおしゃべりにきた。」

「ふふっ。でも、今ちょっと忙しくて――

女子生徒A「あの、すみません。うちのクラス、暗幕が足りないんですけど……」

「おまえをひとり占めしてたら、みんなに怒られそうだな。陰で応援しとく。んじゃ、頑張れよ!」

「あっ、御影先生――

女子生徒B「すみませーん、ガムテープ2つもらえますか?」

「はーい!ちょっと待ってくださいね。」

 

女子生徒「お疲れ様~。すごいじゃない。資材発注の数がピッタリだったって?」

「はい、1枚残っただけでした。」

「おう、残ってるダンボールあるか?」

「あ、御影先生。はい、ちょうど最後の1枚です。」

「おう、助かった。……それにしても、最後の1枚って、すごい読みだな。」

「はい。偶然ですけど、想定通りになってビックリしてます。」

「それじゃあ、最後のダンボールに園芸部の野菜を入れて持ってくるよ。生徒会メンバーで分けてくれ。」

「えっ、いいんですか?」

「ああ。おまえらの活躍でみんなが楽しめたんだ。ちょっと待ってろ。」

(ちゃんと準備して計画通りできるって、本当にうれしいな……やったね!)

 

3年目:文化祭運営「フロア担当」

(文化祭は何が起こるかわからないから、しっかり見回らないと……!)

「◯◯。どうした、ひとりぼっちかよ。」

「あ、御影先生。今は校内の見回り中なんです。」

「見回りって、ひとりでパトロールか?」

「はい。どこでトラブル発生するかわかりませんから。」

「さすがだな。本部の方は、おまえがいなくて大丈夫か?」

「はい。一、二年生ががんばってくれてます。」

「なんだよ、いつの間にか立派なお姉さんじゃねぇか。とは言え、最後の文化祭だ。ちょっとは楽しめよ?じゃな。」

「はい、ありがとうございます!」

 

男子生徒「ごめん、うちのクラスの資材だと勘違いしてた。」

女子生徒「ううん、わたしたちもそっちのスペースに置いてたから。」

「ふぅ…… じゃあ、気を付けてくださいね。」

男子生徒「お騒がせしましたー。」

(何事もなく済んでよかった……)

「◯◯、お見事。」

「え?」

「大したもんだ。さすが三年目のベテランだな。」

「あ、御影先生。見てたんですか?」

「これにて一件落着って感じじゃねぇか。」

「ふふっ、そうですね。」

「おまえの頑張りから生まれた自信が、そうさせてんだ。こっちが誇らしくなっちまうよ。」

(ふふっ、褒められちゃった!三年間、生徒会で真面目にがんばってきた成果だよね!)

 

手芸部

1年目:カジュアルウェア

 

2年目:パーティードレス

(初めて作ったドレス。上手くできたと思うけど……)

「おっ、すげぇ。お姫様がいるかと思ったぜ。」

「あっ、御影先生! お姫様なんて……」

「ちょっと言い過ぎたかな?」

「えぇ?」

「ははっ、よく似合ってるし、おまえの真面目な魅力がよく出てる。」

「真面目、ですか?」

「ああ、それがおまえの一番の魅力だろ。真面目カワイイ、お姫さん?」

「御影先生……」

「ほら、おまえの魅力、見せつけてこいよ。」

「……はい!」

(お姫様……か。 よーし、優雅に振る舞ってこよう!)

 

(よかった、なんとか成功したみたい!)

「お帰りなさいませ、キレイなお姫さん。」

「ふふっ。御影先生に背中を押してもらったから堂々と歩けました。」

「ああ、おまえが登場したら、体育館がお城の舞踏会に変わったよ? みんな、感心してた。さすがだな。」

「よかった…… うれしいな!」

「俺も嬉しいよ。努力が報われるって、最高の瞬間だもんな。」

(やった、ショーは大成功!)

 

3年目:ウエディングドレス

(今年はウエディングドレス。これで最後の文化祭だ……ゼッタイ成功させなきゃ!)

「おお!こんなとこにカワイイ花嫁さんだ。」

「あっ、御影先生。応援に来てくれたんですか?」

「一番近くで応援するぞ。」

「え?」

「カワイイ花嫁さんの隣、空いてっか?」

「ふふっ!ショーはひとりで歩くんですよ?」

「マジかよ、もったいねぇなー。こんな花嫁さんひとりで歩かせるなんて。じゃあ、式の途中で花嫁さん奪いに来る役でもいいぞ?」

「式じゃなくて、ショーですから!」

「へいへい。んじゃ、指くわえて観客席から見てるよ。」

「ふふっ、かんばってきます。」

「ああ、みんなにもきれいな姿見せてこい。」

(……御影先生のおかげで、緊張がとけた気がする……よし、楽しんでこようっと!)

 

(やったー! 大成功!!)

「◯◯、おめでとう!」

「御影先生!はい、うまくいきました。」

「ああ、キレイな花嫁さんだった。なんか本当にお嫁に行っちゃうみたいで、ちょっと寂しくなったくらいだぜ?」

「ふふっ。」

「いい表情だ。おまえの満足そうな顔見られて、俺も嬉しいよ。三年間、部活頑張ってよかったな。」

「はい、ありがとうございます……!」

(御影先生に褒めてもらえたし、手芸部をがんばってきて本当によかった……!)

 

ローズクイーン

「◯◯。ローズクイーン、おめでとう!」

「ありがとうございます。わたしでいいんでしょうか……」

「こらこら。はば学全校生徒の総意だろ。それを疑ったらダメだ。おまえの三年間を一番間近で見てきた仲間たちが選んだんだ。間違いない、おまえがローズクイーンだ。」

「うれしいけど……なんか恥ずかしいです。」

「いいじゃねぇか?鼻にかけて、ツンとされるより。また好感度上がっちゃうぞ?」

「もう、そんなつもりじゃないですよ。」

「ははっ、ごめんな。でも、そういうところもおまえの魅力ってのは間違いないよ。ほら、こうやって話してても、男子生徒の視線が背中にチクチクだ。」

「ええ?」

「憧れのローズクイーンの笑顔をみんなに見せてやれよ。おめでとう。なんか俺まで、泣けてくる。」

(ありがとうございます、御影先生……)