出歩きイベント「動物園」
1
「◯◯、文化祭楽しんでるか?」
「はい! あれ、御影先生、その格好は……」
「園芸部もクラスの出店もおまえたちにお任せだからな。俺も独自で出展だ。」
「え?」
「御影移動動物園。はばたき山牧場の全面協力でな。おまえも、気が向いたら来いよ~!」
「おねーさん、ポニーの乗馬体験やってみない?」
女性客「え? 乗馬ですか?」
「そう、かわいいポニー。」
(御影先生……なんかずいぶん楽しそうだな……)
2
(今年も大盛況だな……一般のお客さんも、去年より多いかも?)
女性客A「あの、すみません。ポニーの王子様には、どこに行けば会えるんですか?」
「えっ?ポニーの王子様?」
女性客B「あったよ!乗馬体験。」
女性客A「本当!? ごめんなさい、あっちみたい。」
(ポニーって、まさか……)
「ふぅ……」
「あ、御影先生!……あれ? 移動動物園は?」
「調子に乗りすぎてさ、たっぷり氷室教頭にしぼられた……」
「ええ!?」
「ああ、学校行事ってだけで浮かれる俺が悪いんだ。もう大人しく見回りでもしてるよ。」
(あの様子だと、すごく怒られたのかな……? ちょっとかわいそう?)
3
(今年は家族連れも多いみたい。みんな楽しそうで良かった!)
男の子「もう一回、動物園行きたいな。飼育員の人、チョー面白かったもん。」
女性「そうね。行こうか。」
男の子「やった!早く行こう!」
(……動物園?)
「◯◯。楽しんでるか?」
「あ、御影先生。えぇと、その格好ってことは……」
「御影移動動物園の復活だ。」
「えっ……大丈夫なんですか?」
「心配いらねぇよ。俺は動物の世話だけ。乗馬のインストラクターは、牧場の方がやってる。」
「あ、さっき男の子が 飼育員の人、チョー面白かったって言ってましたよ?」
「おお、いいなぁ。」
「あ、でも早く動物園に戻ってあげてください。男の子、もう一度行くって言って走って行きました。」
「そりゃ急がないとな。あ、おまえも時間あったら来い。ヤギと一緒に待ってるぜ?」
(ふふっ、さすが御影先生。大人も子どもも楽しませちゃうんだ。わたしも後で行ってみようかな?)
クラス展示
2年目:ダンボール迷路
「巨大迷路に挑戦してみませんか~。成功した方には、おいしい牛乳サービスで~す。」
「おお、結構人気じゃねぇか? 可愛い仔牛ちゃんのおかげかな?」
「御影先生が用意してくれた、おいしい牛乳のおかげです!」
「たくさんあるから、おまえも後で飲むんだぞ。」
「ふふっ、はい。楽しみです。」
「おう。じゃあ、俺も一杯もらおうかな?」
「ダメです。脱出成功しないと、牛乳は飲めませんよ?」
「おお、その挑戦受けた。最速記録作ってやる。」
「はい。 迷える子羊ちゃん、1名様ご案内~!」
「迷った~。おまえたち、すごいもん作ったじゃねぇか。」
「御影先生、やっとゴールできましたね。」
「ああ、完敗だ。おかげでご褒美の牛乳が更に美味かった。」
「やった!クラスみんなで研究した成果です。」
「しっかり準備してたもんな。最高の思い出になったんじゃねぇか。」
(やったね! 大成功!)
吹奏楽部
1年目:楽曲演奏「クラシック」
(もう少しで始まっちゃう…… どうしよう、緊張してきた……)
「なんだ、なんだ、見てらんねぇな。」
「あっ、御影先生……」
「吹奏楽、好きなんだろう?好きな事するのに、そんな顔してどうする。」
「でも、失敗したらって考えたら……」
「失敗? 俺に言わせれば、仲間と部活を続けてきて、この舞台に立ってる時点でほぼ成功だよ。」
「でも、ミスしたらみんなに迷惑かけてしまいます。」
「こらっ。部員のみんなはおまえのミスを迷惑なんて思うのか?違うだろ?」
「は、はい。」
「な? いい仲間とここまでやってこれたってことで、もう成功。」
「御影先生……」
「あとはおまえ自身が納得できるかだ。ほら、楽しんで来い。」
(うん、御影先生の言う通りだよね。楽しんでこよう!)
(良かった!初舞台、大成功みたい!)
「よくやったな、立派だったぞ。」
「あっ、はい! 御影先生のおかげです。」
「俺は関係ねぇよ。ほら、みんな待ってんだろ。仲間と一緒に喜んでこい。」
「ありがとうございます!」
(やったぁ!御影先生に褒めてもらえてうれしいな!)
2年目:楽曲演奏「ゲームミュージック」
3年目:楽曲演奏「フォース・ハート」
園芸部
1年目:ハーブティー
(今年はハーブティーとクッキーのカフェ。どっちも美味しくできたと思うけど……)
「なんだ、なんだ。閑散としてるな?」
「あっ、御影先生。覗いてくれる人はいるんですが……」
「そんな顔すんなって。俺に任せろ、客引きは得意だ。」
「ええっ?」
「とは言え、引っ張ってくる以上責任がある。まずはテイスティングだ。」
「はい。ハーブティーセット承りました~!」
「◯◯。」
「あ、御影先生、どうでしたか?」
「おかわり頼むっ。最高のハーブティーだよ。
クッキーにもハーブが練り込まれてんだな。よーく、工夫した。」
「やった!」
「さすが、わが園芸部。こりゃ、文化祭だけじゃもったいないかもな。みんなでフリマにでも出店するか?楽しいぞぉ?」
(御影先生に褒められた!がんばって準備してきてよかったな!)
2年目:ハーブティー&野菜即売会
(今年はハーブティーと野菜即売会だ。みんなで作った野菜喜んでもらえるかな……)
「◯◯、まずまずの客入りだな?」
「あ、御影先生。いらっしゃいませ!」
「まずは俺の舌で確認だ。」
「ふふっ、はい。色んな効能のブレンドハーブティーがあります。どれにしますか?」
「どれどれ~?結構、種類があるな。……お。じゃあ、ぐっすり安眠ブレンド、頼む。」
「はい。オリジナルブレンドハーブティー、ぐっすり安眠ブレンド、ワン!」
「はぁ……落ち着く。」
「御影先生、どうでしょう?」
「こりゃ、カモミールとジャスミンだな? いいブレンドになってるじゃねぇか。」
「本当ですか!」
「ああ。ほぉっと一息つかせてもらったぜ? とれたて野菜の方は何にも心配ない。こっから見たって、つやつやのべっぴんさん揃いだ。」
「ありがとうございます!」
「はぁ…… 買って帰りたいけど、ここは我慢だな。」
(やった、御影先生に褒められた!がんばって準備してきてよかったな!)
3年目:オーガニックカフェ
(みんなで育てた野菜を遣った料理とハーブティーのオープンカフェ。最後の文化祭、園芸部の集大成だ……)
「こりゃすごいな。めちゃくちゃオシャレじゃねぇか。」
「あっ、御影先生! 本当ですか?」
「ああ。店員さんもな?」
「ふふっ、ありがとうございます!」
「お、受け入れたな?こりゃ料理もハーブティも期待できるな。」
「もちろんです。何になさいますか?」
「じゃあ、看板メニューをよろしくっ!」
「はい。有機野菜のサラダセット、入りました~!」
「美味い!新鮮な朝採れサラダ、最高だな!」
「御影先生、気に入ってもらえましたか?」
「ああ、キレイに育った野菜も、盛り付けでさらにべっぴんさんになってる。さすが、我が園芸部だな。」
「やった! ハーブティーはどうでしょう?」
「ああ、ブレンドもバッチリだ。相乗効果になってるよ。えらいぞ。育てるだけじゃなくて、しっかり研究もしたんだな。」
「はい!」
「こりゃ、口コミですぐ満席になるぞ? その前にもう一杯頼む!」
(クラブに打ち込んできた努力が実ったんだ! 園芸部に入って本当によかった……!)
生徒会執行部
1年目:文化祭運営「雑用、連絡係」
(よし、来賓名簿のチェックはこれでいいかな?)
「◯◯。生徒会の仕事はどうだ?」
「あ、御影先生。来賓の方の受付をやってます。」
「受付っていったら、学校の顔だ。いつものおまえの、ニコってやつで頼むぞ。」
「むやみに笑ったら失礼ですから…… 礼儀正しく、真面目にやります。」
「なんでだよ?おまえの笑顔だったら、来賓のお偉いさんだってイチコロだぜ?」
「イチコロ、ですか?」
「ああ、経験者は語る。俺が言うんだから、間違いない。
お、来た来た。んじゃな~。」
(御影先生、応援に来てくれたんだよね?)
男性客「失礼、受付はここでいいのかね。」
「あ、はい!」
女子生徒「お疲れ様~。来賓の方があなたを褒めてたらしいよ。よかったね?」
「本当ですか?よかった。」
「おお、満足そうな顔してるじゃねぇか。」
「あ、御影先生。来賓の方が褒めてくれたって聞いて……」
「なんだ、もう知ってたか。ははっ、いい噂は広まるのが早いな。
来賓の方が帰りに職員室に来てさ、おまえを褒めてた。」
「そうだったんですね。うれしいです。」
「ついでに俺もご相伴にあずかった。」
「え?」
「担任の先生の教育の賜物とか言われた。何もしてねぇのにな?
おまえのおかげで俺まで褒められた。ありがとうな。」
(やった、みんなに褒められちゃった!がんばって準備した甲斐があったな)
2年目:文化祭運営「資材担当」
男子生徒「すみませーん。ダンボールありますか~?」
「はーい、体育館裏にまとめてありますよ。必要な数と、クラスと名前をノートに書いていってください。」
「◯◯、忙しくしてるな。」
「あっ、御影先生!何かご用ですか?」
「陣中見舞い。と言いつつ、真面目ちゃんとおしゃべりにきた。」
「ふふっ。でも、今ちょっと忙しくて――」
女子生徒A「あの、すみません。うちのクラス、暗幕が足りないんですけど……」
「おまえをひとり占めしてたら、みんなに怒られそうだな。陰で応援しとく。んじゃ、頑張れよ!」
「あっ、御影先生――」
女子生徒B「すみませーん、ガムテープ2つもらえますか?」
「はーい!ちょっと待ってくださいね。」
女子生徒「お疲れ様~。すごいじゃない。資材発注の数がピッタリだったって?」
「はい、1枚残っただけでした。」
「おう、残ってるダンボールあるか?」
「あ、御影先生。はい、ちょうど最後の1枚です。」
「おう、助かった。……それにしても、最後の1枚って、すごい読みだな。」
「はい。偶然ですけど、想定通りになってビックリしてます。」
「それじゃあ、最後のダンボールに園芸部の野菜を入れて持ってくるよ。生徒会メンバーで分けてくれ。」
「えっ、いいんですか?」
「ああ。おまえらの活躍でみんなが楽しめたんだ。ちょっと待ってろ。」
(ちゃんと準備して計画通りできるって、本当にうれしいな……やったね!)
3年目:文化祭運営「フロア担当」
(文化祭は何が起こるかわからないから、しっかり見回らないと……!)
「◯◯。どうした、ひとりぼっちかよ。」
「あ、御影先生。今は校内の見回り中なんです。」
「見回りって、ひとりでパトロールか?」
「はい。どこでトラブル発生するかわかりませんから。」
「さすがだな。本部の方は、おまえがいなくて大丈夫か?」
「はい。一、二年生ががんばってくれてます。」
「なんだよ、いつの間にか立派なお姉さんじゃねぇか。とは言え、最後の文化祭だ。ちょっとは楽しめよ?じゃな。」
「はい、ありがとうございます!」
男子生徒「ごめん、うちのクラスの資材だと勘違いしてた。」
女子生徒「ううん、わたしたちもそっちのスペースに置いてたから。」
「ふぅ…… じゃあ、気を付けてくださいね。」
男子生徒「お騒がせしましたー。」
(何事もなく済んでよかった……)
「◯◯、お見事。」
「え?」
「大したもんだ。さすが三年目のベテランだな。」
「あ、御影先生。見てたんですか?」
「これにて一件落着って感じじゃねぇか。」
「ふふっ、そうですね。」
「おまえの頑張りから生まれた自信が、そうさせてんだ。こっちが誇らしくなっちまうよ。」
(ふふっ、褒められちゃった!三年間、生徒会で真面目にがんばってきた成果だよね!)
手芸部
1年目:カジュアルウェア
2年目:パーティードレス
(初めて作ったドレス。上手くできたと思うけど……)
「おっ、すげぇ。お姫様がいるかと思ったぜ。」
「あっ、御影先生! お姫様なんて……」
「ちょっと言い過ぎたかな?」
「えぇ?」
「ははっ、よく似合ってるし、おまえの真面目な魅力がよく出てる。」
「真面目、ですか?」
「ああ、それがおまえの一番の魅力だろ。真面目カワイイ、お姫さん?」
「御影先生……」
「ほら、おまえの魅力、見せつけてこいよ。」
「……はい!」
(お姫様……か。 よーし、優雅に振る舞ってこよう!)
(よかった、なんとか成功したみたい!)
「お帰りなさいませ、キレイなお姫さん。」
「ふふっ。御影先生に背中を押してもらったから堂々と歩けました。」
「ああ、おまえが登場したら、体育館がお城の舞踏会に変わったよ? みんな、感心してた。さすがだな。」
「よかった…… うれしいな!」
「俺も嬉しいよ。努力が報われるって、最高の瞬間だもんな。」
(やった、ショーは大成功!)
3年目:ウエディングドレス
(今年はウエディングドレス。これで最後の文化祭だ……ゼッタイ成功させなきゃ!)
「おお!こんなとこにカワイイ花嫁さんだ。」
「あっ、御影先生。応援に来てくれたんですか?」
「一番近くで応援するぞ。」
「え?」
「カワイイ花嫁さんの隣、空いてっか?」
「ふふっ!ショーはひとりで歩くんですよ?」
「マジかよ、もったいねぇなー。こんな花嫁さんひとりで歩かせるなんて。じゃあ、式の途中で花嫁さん奪いに来る役でもいいぞ?」
「式じゃなくて、ショーですから!」
「へいへい。んじゃ、指くわえて観客席から見てるよ。」
「ふふっ、かんばってきます。」
「ああ、みんなにもきれいな姿見せてこい。」
(……御影先生のおかげで、緊張がとけた気がする……よし、楽しんでこようっと!)
(やったー! 大成功!!)
「◯◯、おめでとう!」
「御影先生!はい、うまくいきました。」
「ああ、キレイな花嫁さんだった。なんか本当にお嫁に行っちゃうみたいで、ちょっと寂しくなったくらいだぜ?」
「ふふっ。」
「いい表情だ。おまえの満足そうな顔見られて、俺も嬉しいよ。三年間、部活頑張ってよかったな。」
「はい、ありがとうございます……!」
(御影先生に褒めてもらえたし、手芸部をがんばってきて本当によかった……!)
ローズクイーン
「◯◯。ローズクイーン、おめでとう!」
「ありがとうございます。わたしでいいんでしょうか……」
「こらこら。はば学全校生徒の総意だろ。それを疑ったらダメだ。おまえの三年間を一番間近で見てきた仲間たちが選んだんだ。間違いない、おまえがローズクイーンだ。」
「うれしいけど……なんか恥ずかしいです。」
「いいじゃねぇか?鼻にかけて、ツンとされるより。また好感度上がっちゃうぞ?」
「もう、そんなつもりじゃないですよ。」
「ははっ、ごめんな。でも、そういうところもおまえの魅力ってのは間違いないよ。ほら、こうやって話してても、男子生徒の視線が背中にチクチクだ。」
「ええ?」
「憧れのローズクイーンの笑顔をみんなに見せてやれよ。おめでとう。なんか俺まで、泣けてくる。」
(ありがとうございます、御影先生……)