ナンパ撃退 御影小次郎

 

公園入口・はばたき駅

「あれ……御影先生、まだ来てないみたい。」

「うーん。御影先生、遅いな……」

男「ねぇ、信じる 信じない?」

「えっ!? なんですか?」

男「キミが知らないところで、人類の選別は進んでいるってこと。信じる?」

「し、信じません。」

男「いい?信じなくてもキミは選ばれた、これは事実。さ、行くよ?」

「おいおい、どこ行くんだぁ?」

男「ん?ダメだね、キミは選ばれてないんだ。だから、連れていけない。」

「おまえの友だちか?」

「いえ……」

「だよな…… 友だちが欲しいのか?寂しいのはわかるけどさ。」

男「えっと……」

「友だちなら、俺がなってやるよ。ほら、こっちこい。」

男「そ、そんなの信じないよ。」

「信じる信じないは、おまえ次第だ。」

男「し、信じないんだからね!」

「ふぅ……なんだか、可哀そうなやつだなぁ。」

「えぇと……御影先生、助けてくれてありがとうございます。」

「ごめんごめん。俺が遅れたから、怖い思いさせちゃったな。」

「大丈夫です。あの人、寂しいんですかね?」

「まあな。でもおまえの友だちには向かない。ほら、行こうぜ。」

 

駅前広場・バス停

「御影先生、まだみたい……」

「遅いなぁ、御影先生。」

男「うーん、弱い弱い~。もっとバリバリ感じる子、みっけてよ~? うぇっ?みーつけた!アンテナバリ3!?」

「え!? ばりさん?」

男「もう逃がさない。ハイ、ここにサインしちゃってぇ。」

「えぇと……困ります。やめてください。」

男「ダーメ、キミなら女優からモデルまでなんでもイケちゃうよ?業界歴うん十年のオレが太鼓判押しちゃう♪」

「おい、その子から離れろ。」

男「え、なになにスゴイイケメン。でーも、今はすっこんでて、話ブレるから。」

「すっこむのは、おまえだよ。にしても、すげぇ格好してんな……」

男「ふふん、これは成功者の金ジャケ!濡れ手に粟でガッポッポ~ってね。次はこの子で稼ぎま――

「こっち来い、交番だ。」

男「そんなとこ掴まれたら、金ジャケ伸びちゃう~!ちょっと待って、ここは穏便にね? ね?」

「二度と現れんなよ。」

男「あ、ハイ、ハイー。失礼しまーす。」

「はぁ……悲しくなるよ、ああいうの。あいつにも高校時代はあったんだぜ。」

「はい……なんか少し可哀そうかも。」

「ごめんな、俺が遅れたせいで。気分入れ替えて、行こうぜ。」