お見舞い 氷室一紀

 

(ふぅ……この調子なら学校、行けそうだな……)

「うーん……よく寝た。もう、大丈夫そう。」

(ノック)

「はーい、起きてるよー!」

「僕だけど。……入っていい?」

「えっ、氷室くん!? えぇと……うん、どうぞ。」

「体調は?」

「うん、もう大丈夫だよ。」

「あ、そ。ならいいけど。」

「わざわざありがとね。」

「……べつに。それよりさ、もっと自分のこと把握したら?」

「え?」

「最近、無理してたでしょ。顔色も悪かったし、倒れるのなんて当たり前。時には休息も大事。急がば回れ、って言うし。」

「そうだよね……」

「……ま、今度から注意して。あ……お見舞い、忘れてきた。」

「用意してくれたの?」

「まあ、一応。はぁ……いくら急いでたからって不覚。取ってくる。」

「えっ、今から?そんな、いいよ!」

「君のために用意したんだから、うちにあっても困る。お見舞いはご両親に渡しとくから。じゃ、また学校で。……待ってる。」

「うん、ありがとう!」

(氷室くん、急いで来てくれたんだ……早く元気にならなくちゃ!)