ときめき会話 はばたき山 氷室一紀

 

はばたき山:スキー

「うわっ!? ……いてて。」

「ドジだなあ!」

「…………」

「ふふ、手貸そうか?」

「……うん。」

「はい、どうぞ。 えっ……わあっ!?
 もう、ひどい!今、わざと引っ張ったでしょ?」

「はは!人のこと笑った罰。 !?

(ち、近い……!)

「と、とにかく。お互い気をつけないと、ケガするから。ほら、手貸して。」

「…………」

「……今、仕返ししようとしたね?もう知らないよ。置いてく。」

「ええっ!? ひどい!」

 

動物園

動物園

「家族連れが多いな……」

「わたしたちも家族のふりする?」

「家族のふり……何それ?まさか、僕が君の旦那さん?」

「えっ!?」

「何その反応。じゃあ何?僕が君の父親?」

「それはさすがに……姉弟とかかな、って思って。」

「ハァ……なるほどね。どうせ僕が弟なんだろ?いいよ、その設定でも。
 
――ほら行くよ、姉貴。」

「う、うん。」

「どうかした?」

「わぁっ!ち、近いよ氷室くん!」

「そう?何てことないでしょ。姉弟、なんだから。」

(氷室くん、怒ってる……?)

 

グッズショップ

「あのぬいぐるみ、買ってあげようか?」

「むしろ氷室くんにプレゼント!」

「……別にいいのに。でもせっかくだから、ありがたくいただいておく。あ、別にぬいぐるみが好きってわけじゃないから。念のため。君の気持ちが、嬉しいだけ。」

「ふふ、じゃあどれがいい?」

「君が選んで。僕はどれでもいい。」

「じゃあ、あの水色のラッコ!」

「え……あれ?」

「うん、どことなく氷室くんに似てるでしょ?」

「なんか、しかめっ面してない?僕って、あんなに目つき悪い?」

「えーと……」

「それにあんな生意気そう?なんか全てを拒みそうなオーラ放ってるんだけど。僕のイメージと違くない?」

(……こ、答えづらい)

 

わんにゃんハウス

「犬も猫も、なに考えて生きてるんだろ。」

「なにも考えてなさそう。」

「ま、大したことは考えてなさそうかな。うらやましいよ。」

「犬や猫になりたい?」

「無意味な質問。なれるもんじゃないし。」

「う……」

「でも、あえて答えるならなりたいとは思わないかな。動物だとできることも減るし。ここにいる犬猫の立場で、君と誰かのデート、見たくないし。」

「え?」

「もこもこのかたまりを見てる側がいいってこと。隣で君も嬉しそうだし、今の環境で十分満足。」

 

はばたき城

天守

「何か新しい発見、あった?」

「次回までに見つけるよ。」

「次回ってことは、僕とまたここに来る気あるんだ?」

「え、氷室くんはないの?」

「質問に質問で返すなんてナンセンス。でも、なくはないよ。君が望むなら。」

「よかった。ありがとう。」

「……いや、その前に僕から誘うかも。」

「え?」

「君と何回か来るうちに、ここも悪くないって思えるようになったからね。これが、僕の新しい発見。」

(氷室くん……)

 

展示コーナー

「足繁く通うのは、温故知新の精神?」

「いちいち理由が必要?」

「いや……必要ないけど。君となら、どこに行っても楽しいし。」

「えっ?」

「そこ、聞き返さないでくれる?明らかに、聞こえてただろ。」

「どういう意味かなと思って。」

「……どういう意味も何も、そのまんま。言った以上でも以下でもない。」

「ふふっ。」

「なんで笑うわけ?」

「楽しいって思ってくれるの、うれしいから。」

「……あ、そ。ま、悪くないかな。君とこんなふうに過ごす時間って。それが僕のここに来る理由なのかも。」

(氷室くんも楽しんでくれてるみたい……よかった)

 

遊園地

ジェットコースター

ミニスカート追加コメント

「いい?ちゃんと押さえておいて。」

「え?」

「スカート。その短さじゃ、絶対めくれるから。変なところでハラハラさせないで。」

「そろそろバージョンアップ、されないかな?」

「これ以上は無理!」

「へえ、そんなに怖いんだ?」

「う……」

「もしかして、今までも無理して乗ってた?」

「そういうわけじゃないけど……」

「今のが限界って感じか。……でも、僕がいるし。」

「え?」

「だから、隣に僕がいるだろ。怖いなら手握ってあげるし、二人一緒って思えば、怖さも軽減する。……でしょ?」

「うん、ありがとう。」

「どういたしまして。やっぱりバージョンアップされてほしいな。」

「え?」

「べ、べつに。……なんでもない。」

 

観覧車

「そろそろ、気づかない?この乗り物、男にはハードル高いって。」

「好きな男の人もいると思うよ?」

「まあ、人それぞれだけど……さ。……って、他の男と乗ったりしてるの?」

「気になるの?」

「そりゃ…… ――別に。」

「ふーん?」

「………………やっぱり、今度からもつき合う。」

「え?」

「観覧車でもなんでも、好きなの、乗れば?ただし、誘うのは僕だけにして。いい?」

「う、うん。」

「よし。」

 

バンジージャンプ

「吊り橋効果、得られそうだよね。」

「冗談でしょ。」

「その様子だと、効果はなかったか……」

「ドキドキして欲しかったの?」

「べつに。吊り橋効果って、脳の勘違いなんだから、そのうち冷めるし。そう考えると、今限定のドキドキに価値なんてないでしょ。」

「今限定じゃなければ?」

「それについては黙秘。状況から判断するのは君の自由。」

「そう……じゃあ、氷室くんはドキドキした?」

「残念。僕は吊り橋効果なんかに陥らないよ。」

「なんだぁ……」

「……だって、今さらだし。」

「え? 何か言った?」

「なんにも。」

「???」

 

コーヒーカップ

「周りは、子どもとカップルばっかり……」

「わたしたちだって同じ。」

「同じ?もう子どもって呼ばれる年齢でもないと思うんだけど。」

「ううん、そっちじゃないよ。」

「え…………まあ、そう見られる可能性があるのは否定しない。実際どうなのかは、他人にはわからないし。」

「うん、そうだね。」

「……せっかくだし、周りに合わせてみる?手とか繋いで。」

「えっ!?」

「……いや、冗談。何となく思いつきで言っただけ。」

「ふふっ、そうだよね。」

「……はぁ、もっと自然にいけばよかったか。」

(氷室くん……?)

 

お化け屋敷

「怖がらせてるというより、驚かせてない?」

「もっと素直に楽しもうよ。」

「……ごめん。僕の悪い癖かも。」

「ううん。そんなことないよ。」

「いや、ちゃんと教えてくれてよかった。ここの良さを考察しようと思ったけど、嫌な思いさせたら、本末転倒だ。……君と楽しむことが最優先、でしょ。」

「氷室くん……」

「でもまあ、よく考えると、君の派手な反応も見れるし、十分僕も楽しめてるのかもね。」

(派手な反応って……)

 

ナイトパレード

「前に来た時は、全く違ったテーマだったな……」

「10年後はどうなってるかな?」

「テーマは変わってるだろうし、僕たちも変わってる。」

「わたしたちも?」

「そりゃそうでしょ?10年先だよ?大学を卒業して、就職してる可能性もある。君との関係性だって、変わってるかもしれない。……いや、変わってないと困る。」

「どうして困るの?」

「自分の意気地のなさ、情けなさを思い知ることになるからね。そんなのは勘弁。」

「えぇと……」

「わからなくていいよ。でも……君も期待して。僕らの関係が、今後いい意味で変化することを。」

「……うん、わかった!」

「ありがとう。変われる気がしてきた。」

 

牧場

牧場

「あの一頭だけ、真っ白。見事な白馬。」

「王子様が乗るんだよ。」

「まさか、夢見てるわけ?白馬の王子。」

「どうだろう?」

「ふぅん……じゃあ乗馬、チャレンジしてみようかな。」

「ふふっ、いいね。」

「あの馬に乗ったら、君がどんな反応するか、気になるし。」

「白馬の王子様になるの?」

「そんな恥ずかしいものには、ならないよ。……でも、君がどうしてもって言うなら……」

「本当っ?」

「冗談だから、冗談。話の流れでふと思っただけ!」

「そっか。」

「……今はまだ、そういうことにしておいて。」

 

キャンプ場

「う……飯ごうのご飯が焦げた。」

「この、ドジっ子め。」

「……全否定できない自分に腹立つ。」

「ごめんね、冗談だよ?」

「……待ってて。もう一度炊き直す。」

「えっ、もったいないよ!」

「そうだけど……じゃあ、君はキレイに炊けたところだけ食べて。」

「ありがとう。でも、お焦げも一緒に食べるよ?」

「え?」

「二人で来てるんだから。」

「……あっそ。じゃあ、好きにして。」

「うん。」

「………………」

「あれ?顔、赤いよ。」

「気のせいでしょ?もしくは見間違い。以上。」

 

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