ときめき会話 はばたき山 七ツ森実

 

はばたき山:スキー

「スキーウェアって難しくない?ほら、着ぶくれするし……」

「カッコよく滑ればノープロブレム。」

「それができりゃ、な。ハァ。イントラに教えてもらうかなー……でも、せっかくのデートの時間がもったいないし……
 ……なあ。カッコよく滑れないのってカッコ悪い?」

「ん?」

「なんか、ウェアもスキーテクも中途半端だから、俺。」

「ふふ……!」

「なんで笑うの。」

「七ツ森くんらしいなって。」

「はい?」

「どんなときもオシャレに真剣で、シチュエーションまでも大事にしてるんだなって。」

「まあな?ソレを取ったら俺、なんも残らないし。」

「そんなことないよ。七ツ森くんのそういうところ、すごく尊敬する。」

「◯◯……なんか、吹っ切れた。カッコつけんのは仕事のときだけでいいや。あんたは、素の俺を受け入れてくれるから。……サンキュ。」

(七ツ森くん……)

 

動物園

動物園

「動物の餌やりだってさ。」

「興味ないな。」

「あぁ、そう…… もしかして、あんまり動物に興味ナイ?」

「そんなことはないけど……餌やり、したいの?」

「まあ、したかったかなー。」

「じゃあ、やろっか。」

「いいよ。ムリにすることでもない。」

「でも……」

「悪いと思ってる?」

「だって……」

「……そうだ。イイこと、思いついた。ソフトクリーム、食べない?」

「あ、食べたい。」

「俺のおごりにさせて。」

「えっ、いいの?」

「イイよ。それであんたを餌付けするから。」

「えぇ!?」

「ハハッ!」

 

グッズショップ

「うさ耳のカチューシャとか、ゴリラのキャップもあるぞ。」

「かぶるの、恥ずかしい……」

「なんで?似合うと思うよ。ほら、うさ耳セット~!」

「絶対、ムリ!」

「ハハッ!オモシローい。」

「うぅ……いじわるだ。」

「だってさ、女の子のバニーさんて、男子のちょっとした憧れ?」

「…… エッチ。」

「エッ!? 全身バニーとは言ってないじゃん。」

「七ツ森くんの目、ちょっと本気だったもん。」

「まぁ……仕方ない。本気で見たいから。」

「えー…… わかった。じゃあ、かぶる。」

「ヤッタ!」

「そのかわり―― 七ツ森くんはゴリラキャップだ!」

「げっ、マジか!?」

「あはは!」

 

わんにゃんハウス

「スゲー……俺、こんなににゃんこにモテたの、初めてかも。」

「嫉妬しちゃうかも……」

「ふぅん。イイよ、おいでおいで。」

「えっ!?」

「こいつらみたいにすり寄ってこいよ。かわいがってやるから。」

「もうっ、七ツ森くん!」

猫「ニャー!」

「あー……逃げちゃった。」

「あ、ごめん。」

「◯◯。おいでー。」

「まだ続いてたんだ……」

「ヤキモチやきさん。今なら俺を独り占めできるよ?」

「もう……」

「あんた、マジでにゃんこっぽい。カーワイイ。」

(うぅ……恥ずかしい)

 

はばたき城

天守

「あ……あそこ、虹?」

「空に祝福されてるみたい♡」

「だな…… ……え?それって――

「えぇと、わたしたちを?」

「俺たちを?」

「おめでとうっ、て。」

「ちょ……チョイ待って。」

「う、うん。」

「……あんたさ、ときどきよくわかんない爆弾発言するけどさ。マジで心臓に悪い。悪気はないんだろうけど。」

「えぇと……ごめんね?」

「で、それだよ。ズルいわー……」

「うぅ。」

「……プッ! それで?虹が俺たちを祝福してる理由を説明してもらおうか。ん?」

(七ツ森くん、イジワルだ……)

 

展示コーナー

「なんだかんだ来てるよな……あんた、ここがスキなの?」

「七ツ森くんと一緒なら♡」

「ワケわからん。」

「七ツ森くん、ここはキライ?」

「うーん。デート向きではない、と思う。」

「そっか。」

「で?なんで俺と一緒だと、ココに来んの、楽しいワケ?」

「それは……二人で時代を遡っている気分になれるような。」

「なる……妄想してたのか。」

「もうっ、そんな言い方しないでよ。」

「だって、妄想だろ?町娘と殿様のストーリー、俺たちでなぞったりしてた?
 …………悪くないな。」

(勝った!)

 

遊園地

ジェットコースター

ミニスカート追加コメント

「大丈夫かなー……そんなミニスカで、コレ乗んの。ちゃんと押さえときな。めくれて見えちゃっても、不可抗力だから。」

「ヤバ……髪のこと、気にしなくなってからコレが怖いってことに気づかされた。」

「手、握っててあげようか?」

「エッ。」

「少しは気分が楽になるかなって。」

「や……ていうか、逆じゃない?」

「逆?」

「怖がる女のコを、そうやってフォローするのが男子っていうか。」

「ふふ、じゃあ七ツ森くんから手を繋いでくれればイイんじゃない?」

「あ……あぁ、そっか。……よし。じゃあ、もう一回乗る。並ぼう。」

「大丈夫?」

「心配ご無用。でも――
 手は今から繋いどく。」

(こっちがドキドキするよ……)

 

観覧車

「そういえば……観覧車のジンクスで、頂上でキスすると恋が叶うってヤツ、知ってる?」

「……試してみる?」

「はい?」

「えぇと……ジンクスが当たるかどうかを。」

「…………
 ◯◯。マジメに聞く。」

「う、うん。」

「恋、してんの?……俺に。」

「……えっ!?」

「整理してみろよ、今の流れ。……そうなるだろ?」

「……あ。」

「…………たまにわかんなくなるよ。あんたのキモチ。悪気がないコトが、一番悪いってコトもある。だから……揺さぶりモーションかけんの、ちゃんと相手を見ろよ。俺はまだ冷静でいられる。でも、そうじゃないヤツもいる。きっと。あんたに不幸になってほしくない。……わかるか?俺の言いたいこと。」

「うん、わかった。」

「ん、よし。」

(七ツ森くん……わたしのこと、本当に心配してくれてるんだ……)

 

バンジージャンプ

「あー……髪型も服もメチャクチャ。」

「乱れた姿にドキドキする……」

「そっすか。」

「うん。なんだか、大人っぽいというか、セクシーというか……」

「ま、ソッチ系のモデルさんなんで。自分。」

「うーん、そうかなぁ?」

「エッ?……あんた、なんだと思ってたワケ?」

「どんな場にも合わせられるモデルさんかと思ってた。」

「……へぇ。なんか、意外だわ。」

「そう?七ツ森くんのお仕事の写真、いつも違った世界が見えるよ。」

「!」

「優しいときもあれば、怖いときも、悲しい気持ちも感じられるよ。もちろん、セクシーもセットでね。」

「フフ……今までで一番嬉しいわ。現場のカメラマンやプロデューサーに褒められるよりも。一番伝えたかった人に、ちゃんと伝わってた。俺の、メッセージ。」

「メッセージ……」

「公私混同だけどな?でも、これでまた俄然ヤル気が出てきた!」

(???)

 

コーヒーカップ

「あんたね……ハンドル、回しスギ。」

「七ツ森くんの目を回したくて。」

「んなコトしなくてももう、クラクラ。」

「もしかして、疲れてた?」

「違う。」

「じゃあ、寝不足?」

「違う。」

「うーん、それじゃ……」

「…………」

「 ? どうして笑ってるの?」

「どうしてかな。」

「なんだか七ツ森くん、いじわるな顔してる……」

「そ?今まさに、クラクラしてるよ。あんたのせいで。」

(???)

 

お化け屋敷

「墓地コースのヒトダマ、やたらいっぱい飛んでたな?」

「え…………?」

「え?なに、その反応。いたじゃん。」

「そんなに多くは見えなかったけど……」

「 !? い、いたよ。100コくらい湧いてきたじゃん!」

「ウソ……数十個だったよ?」

「ジョーダン……そうやって俺を怖がらせようったって――

「…………」

「…………まさか……ホンモノ……」

「あっ!!」

「ワァッ!? なんだよ急に!」

「あそこ、池があったよね?もしかして、水面に反射してたのかも。」

「……あ。そーいうことか。あいつらめ、俺をビビらせようなんて100年早いぞ……」

(七ツ森くん、けっこう怖がってたんだね……)

 

ナイトパレード

「……コレ見てるとさ、夏が終わるんだなって感じる。」

「夏休みの宿題がー……」

「あらら……この空気でソレ言う?」

「だって、思い出しちゃって。」

「俺も思い出しちゃったじゃん。やれやれだ。」

「う……ごめん。せっかく楽しんでたのに。」

「ノープロブレム。」

「七ツ森くん、もしかしてほとんど終わってるとか?」

「まさか。さっきのバツとしてあんたのノート、全部写させてもらう。」

「ええっ!?」

「それか……俺の部屋でお勉強会でも、する?」

「え?」

「独り暮らしだから邪魔者は誰もいない。」

「でも……」

「…………
 ……ストップ。ごめん、冗談だから。
 言った俺がテレてどうすんだよ……情けねー……」

(ドキドキしちゃった……)

 

牧場

牧場

「さて、今日は何しますか。」

「七ツ森くんに合わせるよ。」

「は? 俺?」

「うん。」

「んー…… どうすっかなー…… 乳搾り……はガラじゃないし、動物との触れ合いは苦手だし……かと言って、ボーっとしてるのも……」

「牧場、あまり好きじゃない感じ?」

「……ん。ま、どっちかっていうと。」

「そっか。じゃあ、別のところに行く?」

「いやいや!それはやめよう。せっかく来たのに。」

「でも……」

「今日、ここでデートするって二人で決めたじゃん。」

「うん。」

「ならさ、牧場デートを100%楽しもうぜ。」

「……うん!」

「よし。べつに、なにかをしなきゃデートじゃないってワケじゃない。こうやって、二人で何をするか考えてる時間だって、俺にはじゅうぶん濃い時間だから。」

(七ツ森くん……)

 

キャンプ場

「フー。食後の散歩にでも行きますか。」

「まだ動きたくないな……」

「まだ、お腹一杯?」

「そういうわけじゃないけど……もう少し、こうしていたいなって。」

「OK。まったりいこう。」

「…………」

「…………」

「……ん。いけない、眠っちゃったみたい。七ツ森くんは……あ、寝てる。」

「……ん。…………もう、一口。あーん……」

(夢を見てるみたい)

「……ん。オイシイ。じゃ……次は……俺。はい、あーん……」

(ふふ、幸せそう)

「幸せ……」

「ふふ。」

「◯◯……」

「えっ!!」

「 !! 俺、寝てた……?」

「う、うん。」

「なんか……言ってた?」

「えぇと、寝言を、少し。」

「……なんて?」

「ご、ゴメン。ちゃんと聞き取れなかったかな?」

「そっか。よかった……」

「イイ夢、見てたの?」

「うん。」

(わたしも、恥ずかしいかも……)

 

臨海公園 森林公園 繁華街 はばたき山now 彼の家