ときめき会話 繁華街 氷室一紀
ライブハウス
「三曲目……まさかバラードにアレンジするなんてね。」
「原曲は違うの？」
「聴いたことなかったんだ？」
「うん。でも、違和感なかったよ。」
「そっか。初めての人はすんなり聴けるのか。だったら、原曲聴くとビックリするかも。ぜひ元の曲にも触れてみて。感想が聞きたい。」
「うん、わかった。」
「……よかったら、ＣＤ貸すけど？」
「えっ、いいの？ありがとう！」
「どういたしまして。僕も……ＣＤをきっかけに、同じ話題で盛り上がれたら嬉しいし。」
「ふふ、うん！」
ボウリング場
ボウリング
「ガター……」
「気にせず次いこう！」
「下手な慰め、やめてくれる？」
「あ、ごめんね。」
「……違う。今のは八つ当たりだ。僕の方こそ、ごめん。自分に腹が立ってるだけだから。気にしないで。」
「ふふっ、氷室くんも、気にしないでね？」
「いや、無理だな。かっこ悪いとこ、見せたし。」
「わたしは氷室くんのいろんなところが見たいよ？」
「……なに、そのセリフ。聞いてるこっちが恥ずかしい。」
「本心なんだけどな。」
「嬉しいけど、君にはいいとこだけを見せたい。僕なりのプライド。」
「氷室くん……」
「ほら、ちゃんと見てて。次こそストライク狙うから。」
「ふふ、うん！」
ダーツコーナー
「今日は本気で勝負しようか。」
「のんびり遊ぼう？」
「わかった。じゃあ、何かリクエストある？」
「リクエスト？」
「ブルに入れろ、とかさ。」
「ブルって中心だよね？すごい！」
「ま、百発百中ではないけどね。でも、ご褒美次第では確率は上がるよ。」
「ドリンク一杯とか？」
「それじゃ、上がらない。」
「ええっ？じゃあ、うーん……」
「……繋いで帰るとか。」
「え、何を？」
「……手。」
「えっ！う、うん……わかった。」
「絶対、入れる。」
（ドキドキする……！）
ゲームセンター
「よく遊びに来るの？」
「友だちと来るよ。」
「ふぅん……」
「氷室くん？」
「僕もよくここ来るんだ。ゲームは割と好きだから。一通りやってみたし、いくつかおすすめのゲームもあるし楽しめると思うけど。」
「う、うん？」
「だから……僕のことも、一緒に来る人の選択肢に入れていいんだけど？」
「……あ。ふふ、うん！じゃあ今度は誘うね？」
「うん、そうして。……はぁ。なんでこんな言い方しかできないんだろ……」
（？ 氷室くん、何か悩んでる？）
カラオケＢＯＸ
「……なんていうか、よく飽きないね。」
「『波間の恋』入れときました！」
「ちょ、ちょっと！歌えないって！」
「知らないなら、一緒に歌おう？」
「…………知ってるし。」
「えっ！じゃあ尚更、氷室くんの歌、聞きたいな。」
「聞かせるようなものじゃないし。」
「うまいかどうかなんて、関係ないよ？」
「下手とは言ってない。」
「じゃあ、一緒に盛り上がろう！」
「う、引っかかったか……ハァ、わかったよ。」
「やったあ！」
「でも、僕のマイクをミュートにするのが条件。」
（それじゃ聴こえないよ……！）
