ときめき会話 森林公園 柊夜ノ介
森林公園
並木道(花見)
「何度見ても変わらない美しさですね。」
「えぇと……ありがとう。」
「え……？ ああ、どういたしまして。」
「あ、もしかして……わたし、勘違い――」
「いいえ。あなたはいつも可愛らしくて美しい。勘違いなんてしていません。その証拠に僕の目はここに来ると、あなたと桜を行ったり来たり、本当に忙しいんだ。」
「えぇと……柊くん、ありがとう。」
「じゃあもう１つの楽しみ、花見団子、買いに行こう。」
（わたしの変な勘違いをフォローしてくれたんだ……柊くん、ありがとう）
ホタルの住処(春)
「相手の心の声が聞こえるという噂。あなたはどう思います？」
「嘘だと思うな。」
「安心しました。」
「え？」
「あなたがそう思うということは、まだ、それらしいことは聞いてないってことですよね。僕には聞こえないだけで、心の声が饒舌に話していたらと思うと不安でした。」
「ふふっ、柊くんの心の声が饒舌？」
「ええ、わからないですけど。でも、もしも聞こえたら、話半分で聞いてやってください。」
「ふふっ。じゃあ、わたしも。」
「それは、内容によりますね。いいお話なら、100パーセントで そうじゃないなら、半分で。」
（柊くんの言う、いいお話ってどんなだろう？）
ホタルの住処(夏)
「あそこ、森の奥に遊歩道が伸びています。」
「夕方、ホタルの時間は素敵だろうな。」
「今だって、十分素敵な時間だけど？」
「ああ、ごめんなさい。そんなつもりじゃ……」
「ちょっと意地悪をしてみただけ。あなたに他意がないのは承知してます。」
「もう……」
「すみません……
でも、自分でも不思議です。こんな子どもっぽいことするなんて。」
「ここの場所のせいかも？」
「パワースポットですか？
大好きな人に意地悪をしたくなるパワースポット、あまり嬉しくないですね。」
「えっ、大好き……」
「あ、今のは心の声の方です。」
（柊くんの大好きな人……ええ!!）
ホタルの住処(秋)
「紅葉が青い水面に映えますね？」
「うん、ばえる、ばえる。」
「それ、時々聞きますが、こういう時に使うのですね。」
「そうだよ。綺麗なものや、可愛いものを見て、写真を撮りたくなる感じ。」
「そうですか、僕もこれから使ってみよう。」
「ふふっ、うん。」
「……なんで、笑うんですか？ 僕が、ばえるを使うとおかしい？」
「おかしくないよ。ちょっと可愛いかもしれない。」
「今のあなたの笑顔、ばえました。」
「ええ？」
「あれ、用法間違った？ 綺麗で可愛い笑顔だったから。」
（えぇと、うれしいけど……使い方合ってるのかな……？）
ホタルの住処(冬)
「はぁー。こんな寒い日に、来てしまいましたね？」
「はぁー、はぁー、本当に息が真っ白だ！」
「こらこら、酸欠になってしまいますよ。」
「はい。」
「ん……？」
「どうかした？」
「いえ、あなたの息が可視化されるとドキッとします。」
「ええっ!?」
「そんなに驚く事ですか？」
「だって、なんか、すごく恥ずかしいよ。」
「それは失礼しました。でも、あなたの息に包まれて幸せでしたよ。」
「もう！」
「ああ、すみません。冬っていいもんですね。」
（もう、柊くん、時々おかしいこと言うんだよね……）
植物園
「熱帯植物ライトアップ……期間限定で夜も営業してるようです。」
「楽しそう、行こう！」
「うーん……僕たちにはちょっと時間が遅すぎますね。すみません、喜ばせてしまって。」
「ううん。でも残念だな……」
「そうだ、御影先生に訊いてみましょう。きっと園芸部やご自宅で育ててますよ。夜に咲く植物。」
「えぇと……わたしは、柊くんと夜の植物園に行きたいなって。」
「あっ、そうですよね。あなたと、夜、一緒にいることが大事なんであって、植物を見ることなんて重要じゃないっ！」
（柊くん、植物園でそんなこと言っちゃだめだよ？）
博物館：常設展
「いつ見ても立派な博物館だ。市民に愛されている証拠ですね。」
「小学校の遠足からお世話になってます。」
「そうですよね。あなたはもう何回も訪れているのか。」
「でも小学校の頃に見るのと違うし。展示内容も変わるから。」
「あなたは優しい人ですね。……小学生のあなたか、可愛らしかったんだろうな……」
「……かった？」
「そこ、引っかかりますか？」
「ふふっ、ごめんなさい。」
「小学生の頃、あなたと一緒に行ってみたかったな？と思ったけど、今の方が面白い。」
「……面白い？」
「これじゃ、話が先に進みませんよ。はぁ、結局のところ、僕は今のあなたが好きだってこと。……これでいい？」
（えぇと、うれしいけど恥ずかしいな……）
温水プール
「ジャグジーバスがあるんですね。」
「早速、一緒に入ろうか？」
「ふふっ、いきなりですか。何しに来たんだかわかりませんね。」
「でも、今なら空いてるよ。貸し切りみたい。」
「貸し切りか……
！ あなたと二人きり―― さ、急ぎましょう。」
「柊くん、プールサイド走ったらダメだよ。」
「面目ありません。でも、急ぎましょう。あなたと貸し切り温泉気分、プールサイドを走ってもいいくらいです。」
（柊くん、そんなにジャグジーバスが好きだったっけ？）
スケート場
ミニスカート追加コメント
「色々心配です。転ばないでください。」
「うん、大丈夫だよ。」
「いいえ、周りの目にさらしたくない。スカートが短すぎるんです。」
「なんとか、スケートらしいことができてるかな？」
「フィギュアスケーターみたいだよ？」
「じゃあ、今度は舞台衣装で来ましょうか？」
「すごい！みんな驚くね。」
「驚いた後に、僕の実力を知ってブーイングじゃないですか？」
「ううん、きっと劇団はばたきのアイスショーの宣伝かなって思うかも。」
「えっ……あなたの発想はすごい。僕からは到底出ないアイディアです。アイスショーか……」
「柊くんが綺麗な衣装で氷の上で演技するなんて、素敵だろうな。」
「うん、やってみよう。」
「ええ？」
「ああっ！」
「柊くん、大丈夫!?」
男性客「なんだ、すごい音したけど？」
女性客「だ、大丈夫ですか？」
「あ、え、はい。お騒がせしました……
あなたのアイディアを具現化するのは、僕には難しいです……」
（はぁ、ケガがなくてよかった……）
フリーマーケット
「アートギャラリー？ 絵画が売られてる一画もあるんですね。」
「似顔絵描きの人もいるよ？」
「興味あるの？」
「柊くんはあんまり好きじゃない？」
「うん……小学生の頃、面白おかしく誇張して描かれたんだ。それもなぜかキツネです。」
「キツネ……」
「ん？ 今、なるほどという顔しましたね？」
「えぇと……ごめんなさい。」
「こら、正直すぎますよ。今は何でもないけど、これでも当時はショックでね、垂れ目になるように、指で引っ張ったりしてました。」
「ふふっ、カワイイかも？」
「こら、当時は必死だったんです。まあ、昔のことです。やってみましょうか？似顔絵。」
「いいの？」
「あなたと二人なら、何でも楽しいに決まってます。行こう。」
