ときめき会話 森林公園 七ツ森実

 

森林公園

並木道(花見)

「にぎやかなトコって嫌いじゃないけど、花見の雰囲気って独特だよな。」

「夜桜だとまた違うよね。」

「ライトアップされてまた違う雰囲気にはなるな。……でも、面倒くさい花見客も増えそう……」

「面倒くさい?」

「まあ……楽しみ方は人それぞれなんだからしょうがないんだけどな。夜桜。夜桜か……高校生の俺たちにはちょっと背伸びしたデートスポットかもな?」

「そう?」

「そ。もしかしたら補導されちゃうかもしれないし。」

「あっ……そうでした。」

「ハハ。ま、焦らなくてもいいじゃん。ココの桜は無くならないんだし。補導されない歳になったら夜桜デートだな。……あんたが、OKなら。」

(七ツ森くん……)

 

ホタルの住処(春)

「ワッ!? なんか飛んできたぞ!!」

「七ツ森くん、驚きすぎ!」

「しょうがないだろ。虫、苦手なんだから。」

「そっか。どうして虫、嫌いなの?」

「…………幼稚園の時、園児みんなで虫探しをするって時間があってさ。その時までは、俺も特別虫がキライだったわけじゃないんだ。けど……昆虫図鑑で一体ずつ見る『虫』と、野生で見る集団の『虫』……図鑑の『虫』は動かない。野生の『虫』は動く。うごめいてるんだ、集団で……!」

「う……」

「わかる?わかったろ?いま、あんたにもわかったハズだ!」

「なんとなく……」

「知る必要のないリアルもあるんだって初めて気づいたんだ。……5歳の、夏だった。」

「トラウマになっちゃったんだね……」

「そう……それ以来、昆虫も、集合体も恐怖でしかない……◯◯、わかってくれる?俺の気持ち。」

(気持ちはわかるけど……虫を怖がる七ツ森くん、ちょっとカワイイかも?)

 

ホタルの住処(夏)

「ハァ……夏にココに来る意味、わかんない。」

「七ツ森くんとなら楽しいよ。」

「楽しいわけないだろ。」

「楽しいよ。」

「……なに言ってんだか。」

「七ツ森くんといればどこだって楽しいもん……」

「…………そういうことか。なら、俺も同じだけど。けど、ココはその気持ちより恐怖も同じくらいあるんだ。」

「恐怖?」

「そ。苦手な虫がいっぱいいる。あと、スゴク暑い。」

「あ……ごめんね、気づけなくて。」

「や、こっちもゴメン。自分のコトで勝手にイライラして、あんたに八つ当たりした。」

「ううん、大丈夫。」

「あんたも俺も、お互い一緒にいれば楽しいんだよな?」

「うん。」

「じゃ、気を取り直してデート再開しよ。」

「うん!」

 

ホタルの住処(秋)

「んー……今日はすごく気持ちイイな。」

「運動でもする?」

「マジすか?」

「マジです。」

「運動って、ナニすんのよ。」

「えぇと……軽くジョギングとか、ストレッチとか?」

「じゃあ俺はパス。普段からやってることだし。」

「えっ、そうなの?」

「ジョギングは……毎日じゃないけど。仕事で必要になれば、ジムにも通うよ。」

「七ツ森くん、えらいね。」

「べつに。モデルって、日常でも小さな努力が必要なのは知ってたから。俺みたいな出不精にはある意味、向いてたってワケ。」

「ふふ!」

「で?あんたはどうすんの?」

「え?」

「運動、するんだろ?少しなら付き合ってもいいよ。ダッシュ!」

「えっ!? 七ツ森くん、待って~!」

「アハハ!」

 

ホタルの住処(冬)

「んー……なんかあったかいモン、欲しくない?」

「わたしじゃダメ?」

「あんたね……」

「抱くもよし、押し合ってもよし、みたいな?」

「ああ、そういうコト…… !? ……だ、抱くって。ソレ、いいわけ?」

「ちょっと恥ずかしいけど……カイロとか持ってないし。七ツ森くん、寒がりだから。」

「え……まあ、寒がりだけど。……ホントにやるよ?」

「う、うん……」

「…………」

「…………」

「…………」

「あの……あったかくなった?」

「ん。」

「よかった。」

「……よくない。」

「え?」

「結論。この急激な体温上昇方法は心身に深刻なエラーが起こり得ます。」

(???)

 

植物園

「イマイチ、インパクトに欠けるな……派手なイベントでもすりゃあイイのに。」

「今のままでいいと思うけど……」

「あんたはそう思うんだ。ふーん……」

「ヘンかな?」

「や。また、一つ教えてもらった。俺はさ、定型があるからこそ、派手もあり、にぎやかもありの変化がオモシロイと思ったんだけど。求められない変化を押し付けるのはエゴなのかもって。」

「そんなこと……」

「ホント。いつも、サンキュ。」

「え?」

「あんたといると、自分のエゴイスティックなトコに気づかされる。だから、これからも遠慮なくあんた節を聞かせてよ。」

「わたし節……」

「そ。ズバッとさ。思ったこと、言って。」

「七ツ森くん……うん、わかった!」

「ま、意見が合わなくてケンカになっても それも楽しもうぜ?」

(えぇ~!?)

 

博物館:常設展

「熱心に見学してますねぇ。オモシロい?」

「うん、面白い!」

「あぁ、そう。参ったな……」

「七ツ森くんは面白くない?」

「んー。ぶっちゃけ、その通り。」

「そっか。ごめんね、わたしひとりだけ楽しんでて……」

「いいよ。楽しいんだろ?」

「うん。」

「……よっし!じゃあさ、あんたが先生になって俺に楽しみ方を教えてくんない?」

「えっ?」

「あんたは、楽しい。俺は、ツマンナイ。なら、楽しむコツをわかってるあんたにリードしてもらえりゃ同調できそうじゃない?」

「それができればいいけど……」

「イイよ。頼むぜ、先生。」

「……よろしい。では、一列になってわたしについてきなさい。」

「そこから攻めてくるか !? 」

(ふふっ!)

 

温水プール

「……なあ。プールの楽しみ方って、なにがベスト?」

「もちろん、泳ぐこと!」

「なるほど……あんたは泳ぐのがスキなんだな?」

「うん、好き。」

「……参ったな。」

「七ツ森くんは泳ぐの苦手?」

「や、泳げるけど。学校の授業以外でガチ泳ぎする趣味、ないんで。」

「そんな本格的に考えなくてもいいと思うけどな……」

「でも、プカプカ浮かんでたら他のお客さんのジャマでしょ。」

「競技用プールじゃなければプカプカ浮かんでてもノープロブレムだよ。」

「なる……じゃ、あんたの好きなプールで遊ぼ。」

「やった!じゃあ、ウォータースライダー一緒にやる?」

「OK。……ん?一緒にって、あの、二人でくっついて滑るやつ!?」

「そう。」

「………… よしッ。行きましょうか……」

(七ツ森くん、気合い入れてる?)

 

スケート場

ミニスカート追加コメント

「そのミニスカ。足、寒くないの?それとさ、絶対ハデに転ぶなよ?チラ見えとかのレベルじゃないから。」

「寒いのキライだけどスケート場だと案外耐えられるの、なんでだろ。」

カップルはラブラブだから♡」

カップル?」

「うん。」

「じゃあ、俺らカップル?」

「えっ?」

「そういうコトでしょ?」

「それは……」

「あー……でも、あんたが寒いんじゃ、違うか。」

「……寒くないよ。」

「ムリしなくてもイイって。」

「してないもん。」

「……そ?」

「うん。」

「……ヤバ。寒くないどころか、アツくなってきたし。」

(わたしも……)

 

フリーマーケット

「あんた、なにか見たいモン、ある?」

「七ツ森くんが見たいもの。」

「俺のはいいからさ。あんたにもこのイベント、楽しんでほしいんだ。」

「楽しんでるよ。お店も、お客さんたちの活気も。すごくワクワクしてくる!」

「最高の楽しみ方ですね。」

「ふふ!」

「あ……そういえば。さっき通り掛けに見かけた、シルバーアクセの店、覚えてる?」

「シルバーアクセ……あ、行列ができていたクールな店員さんのいたお店?」

「そ。……あれ?気づいてなかったんだ?」

「気付く?」

「ま……いっか。あの人のシルバーアクセって、温もりがあるんだ。1つ1つに、気持ちが込められてる。そんな感じがする。」

「ふぅん。不思議だね?」

「ウワサだと、あの人が作ったペアリングはカップルを幸せにするとか。」

「わぁ、ステキ……!」

「次こそ、買ってみるか……」

「ペアリングを?」

「そ。」

「今から見に行くのはダメなの?」

「やめておく。もうとっくにソールドアウトして切り上げてるだろうし。」

「そっか。お客さん、たくさんいたもんね。」

「それもあるけど。俺の心の準備がまだできてないから。」

(?)

 

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