文化祭会話 風真玲太

 

出歩きイベント「追っかけ」

「◯◯、楽しんでるか?」

「うん、風真くんは?」

「ま、まあな……」

女性客A「あ、見つけた!風真くーん。」

女性客B「はば学、案内してー!」

「あの、今日はシモンの仕事じゃなくて、学校の文化祭なんで――

女の子「ああ、やった!シモンのお兄ちゃん、見っけ!」

女性「あら、よかったわね。」

「うっ…… ハハッ。よかったら、案内しますよ。」

女の子「やったー!」

女性客A「風真くん、ありがとう!」

「……行ってくるよ。万が一、時間あったら一緒に回ろうな……」

(風真くん、お疲れ様……一緒に回るなんて無理そうだなぁ……)

 

「……ふぅ。」

「あ、風真くん。どうしたの?」

「今年はシモンのお客さんたちにつかまる前に来たよ。」

女子生徒A「風真先輩、よかったら一緒に回りませんか?」

「えっ。」

女子生徒B「私も風真先輩と一緒に、文化祭を楽しみたいです!」

「あ、あの――

放送「はばたき学園・二年の風真玲太さん、職員室までお越しください。敬老会の方がお越しです。」

「ええっ?敬老会?……おじいちゃんの差し金か。 みんな、ごめん。行かないと……!」

女子生徒A「ええーっ!風真先輩!」

「行ってくる。もし時間があったら、一緒に回ろうな……」

(風真くん、今年も大変そう……)

 

「はあ……」

「風真くん、大丈夫?疲れてるみたい。」

「ああ、全部済ませてきた。シモンのお客さんや後輩、敬老会の人たちと回ってきた。」

「ふふっ。今年もモテモテだね?」

「うるさい。だからほら、行こうぜ。」

「でも、風真くんはあちこち回ったんでしょ?」

「そうだよ、おまえと回るためにな。」

「……うん、ありがとう!」

「よっし、じゃあさ 校門入るところからやろう!」

(よーし、最後の文化祭楽しもう!)

 

クラス展示

1年目:和風喫茶

「お抹茶とみたらし団子、お待たせしました。」

(ふぅ……こんなにお客さんが来るなんて想像してなかった……)

「◯◯。」

「あっ、風真くん! いらっしゃい。」

「すごいな。廊下に行列できてるぞ。」

「うん、大盛況だよ! こちらのテーブルにどうぞ。」

「なあ、あんまり本気出すなよ?」

「えっ?」

「おまえはただでさえ目立つのに、ほら、今日はそんなカッコしてるしさ。」

「あ、気に入ってくれた?この衣装かわいいよね。」

「ああ、かわいいよ。 ……ったく、ほら団子セット。」

「ふふっ。はい、お団子セット1つ入りました~!」

 

「へえ……上手くできてるな。」

「うん、調理班でがんばったからね!」

「うん、お茶の苦みもいい。」

「ふふっ、やった!」

「団子もお茶も、おまえの笑顔も満点だ。」

(やったね、大成功♡)

 

2年目:ダンボール迷路

「迷路だよ~。見事ゴールできたら、搾りたて牛乳が飲めるよ~。」

「◯◯。」

「あ、風真くん、もう交代の時間?」

「いや、様子見にきたら、入口に元気の良さそうな仔牛がいた。」

「もう、仔牛のモーリィはゴールにいるんだよ。」

「そうだな、モーリィを探せ!だったな。」

「そう、じゃあ風真くんも試してみて?ゴールで搾りたての牛乳あるよ。」

「その牛柄Tシャツ着て……搾りたてとか、あんまり大声で言うなよ。」

「えっ?どういうこと?」

「はぁ、何でもないよ。じゃあ、せっかくだし モーリィの牛乳もらってきまーす。」

「迷える子羊ちゃん。1名様ご案内~!」

 

「◯◯、上手くいってたぞ!みんなで考えた、だまし絵トリックのところ。」

「あ、風真くん。本当!?」

「ああ、あそこで引き返して、迷ってる人が多かった。」

「やった!大成功だね。」

「モーリィの牛乳も、仔牛みたいな客寄せ係も好評だ。」

「もう。」

「よっし、今度は俺の番。おまえも入ってみろよ?」

(ふふっ、やった!がんばって準備してよかった!)

 

吹奏楽

1年目:楽曲演奏「クラシック」

(はぁ、どうしよう。ちゃんとできるかな……)

「できるよ。」

「え? すごい!風真くん、なんでわたしの考えてることわかったの?」

「バカだな。あんな心配そうな顔してたら、誰でもわかるよ。でも、おまえならいい演奏ができるっていうのは本当。俺が言うんだから間違いない。」

「うん、少し気が楽になったかな?」

「『かな?』ってなんだよ。」

「ふふっ、ありがとう。風真くんのおかげでリラックスできたよ?」

「じゃあ、おまえらしい演奏期待してるよ。」

(できることを精一杯やろう!風真くんも応援してくれてるんだから)

 

(良かった!初舞台、大成功みたい!)

「おめでとう。自然にスタンディングオベーションが起こってた。」

「うん、すごくうれしい。風真くんはどうだった?」

「良かったよ。……俺が一番に立ち上がったくらいだ。」

(やった!風真くんに喜んでもらえてうれしい!)

 

2年目:楽曲演奏「ゲームミュージック

(うわぁ……お客さんたくさん。去年より多いみたい。はぁ、緊張するな……)

「やっぱりな?」

「あ、風真くん。やっぱりって?」

「おまえのソロコンサートじゃないんだろ?」

「え?」

「ひとりで背負い込んでる顔してる。責任感強いのはおまえのいいとこだけどさ。みんなで練習してきたんだろ?」

「そっか、そうだよね。」

「そう、肩の力抜いてけよ? ま、俺はおまえのソロコンサートの方がいいけど?」

「ふふっ、ありがとう。風真くんのおかげで良い演奏できそうだよ!」

「俺はここで見てるから。行ってこい。」

「うん、行ってきます!」

(よし。精一杯がんばってこよう!)

 

(うん、去年よりいい演奏ができたかも!)

「大成功じゃないか。おめでとう。」

「あっ、風真くん!ありがとう。」

「みんなを笑顔にできる演奏っていいな。ゲームの曲なんだろ。ちょっと興味出た。」

「ほんと?」

「ああ、また近いうちに聴かせてくれよ。」

(風真くんがこんなに喜んでくれるなんて、しっかり練習をしてきて良かった!)

 

3年目:楽曲演奏「フォース・ハート」

(今年は落ち着いていけそう。三年間、がんばってきたおかげかな?)

「◯◯。」

「あ、風真くん、来てくれたの?」

「あたりまえだろ?おまえの集大成なんだから。」

「ふふっ、なんか気合入ってるね?」

「ていうか、おまえはずいぶんリラックスしてるな。」

「うん、三年間がんばってきたから。どんな結果になっても大丈夫。」

「へぇ、かっこいいじゃん。惚れなおした。」

「え?」

「昔から愛嬌のお化けって思ってたけど、度胸もあるんだな? ほら、がんばって来いよ。」

「うん……!」

(よしっ、風真くんを、ガッカリさせるような演奏はできない!がんばらなくちゃ!)

 

(三年間で一番いい演奏ができた。よかった……)

「◯◯。」

「あっ、風真くん……」

「いい演奏だった。世界で一番良かった。」

「そんな……大げさだよ。でも、ありがとう。」

「ま、俺の基準だけどさ、文句あるか?」

「ふふっ、ありません。」

「演奏もよかったけど、おまえの三年間のがんばり知ってるから、なんか、泣けてきた。」

「もう…… それじゃ、まるで親みたいだよ?」

「ああ、正にそんな感じ。よくがんばったな。」

「風真くん……」

(すごく満足してもらえたみたい!三年間、吹奏楽部でがんばってきて本当によかったな……)

 

園芸部

1年目:ハーブティー

(今年の園芸部の出し物はカフェ。ハーブティーとクッキーを用意したけど……)

「ふーん、カフェか。」

「あっ、風真くん。いらっしゃいませ!」

「看板娘、登場だな?」

「ううん、生産者だよ。園芸部で育てたハーブで作ったお茶とクッキーだから。」

「おまえが育てて、おまえが淹れてくれるハーブティーか。楽しみだ。」

「ふふっ。うん、ご賞味あれ。」

 

「◯◯。」

「あ、風真くん。」

「ご馳走様でした。」

「ふふっ、いかがでしたか?」

「うまかった。」

「やった!」

「おまえが大切に育てたハーブだろ。なんかおまえの元気が体に入ってきた。」

(やったね!風真くんに褒められちゃった)

 

2年目:ハーブティー&野菜即売会

(今年はハーブティー&野菜即売会。喜んでもらえるといいな……)

「賑わってるな。まだ、おまえの野菜あるか?」

「あっ、風真くん!」

「おまえが育てたハーブと野菜、味わいに来たよ。」

「いらっしゃいませ。ハーブティーはここで飲めるけど、野菜は販売してるんだ。」

「了解。野菜はおじいちゃんにおみやげだな。」

「うん、喜んでもらえるといいな。」

 

「◯◯。」

「風真くん、いかがでしたか?」

ハーブティー美味かった。それにしてもキレイな野菜だな。」

「本当?うれしいな。」

「おまえに育てられた野菜は、見た目だけじゃなくて、味もいいんだろうな?家でおじいちゃんと一緒に食べるよ。」

(風真くんに褒めてもらっちゃった!やった、大成功!)

 

3年目:オーガニックカフェ

 

生徒会執行部

1年目:文化祭運営「雑用、連絡係」

女子生徒「さっき、携帯電話の落とし物あったよね?」

「はい、廊下に落ちてました。」

「助かった。それ、俺の。」

「あ……そういえば見たことあると思った。」

「もっと早く気づいてくれてもいいんじゃね?」

「ごめんね。あんまり勝手に、いろいろ触ったり操作しちゃいけないと思って。」

「おい、おまえまさか……」

「ふふっ、ちゃんとロックかかってたよ?」

「そっか。って、ふふってなんだよ。 あぶねー。」

 

「よし。落とし物はみんな職員室に届けたし、これで終わりかな?」

「まさに縁の下の力持ちだな。生徒を代表してお礼を言います。」

「どういたしまして。ふふっ、見直した?」

「ああ。見直した。いや違うな。昔っから変わらないよ。誠実でクソがつくほど真面目なところは。」

「もう、一言余計だよ。でも、ありがとう!」

(ふふっ。風真くんに褒められちゃった!)

 

2年目:文化祭運営「資材担当」
3年目:文化祭運営「フロア担当」

 

手芸部

1年目:カジュアルウェア

(ギリギリ仕上がったけど、いよいよランウェイ……緊張しちゃうな……)

「なにおっかない顔してんだ。」

「あ、風真くん……」

「固くなったら、せっかくの作品も台無しだろ?」

「う、うん。」

「まだ、固いな……安心しろ。作品もモデルもおまえのが一番。」

「……本当?」

「なんだよ。俺の目利きが信用できないのか?」

「ううん。風真くんが評価してくれるなら、間違いないよね。」

「そういうこと。だから、肩の力抜いて行ってこい。」

「うん、ありがとう!」

「その顔なら、無敵だな。」

(よーし。風真くんに褒めてもらえたんだもん、自信を持っていこう!)

 

(よかった、なんとか成功したみたい!)

「お疲れ様。」

「あっ、風真くん!どうだった?」

「堂々としてたな。決まってたよ。」

「やった、うれしいな。ありがとう!」

「……ったく、慰め方考えてたってのにさ。無駄だった。」

(やった、大成功!)

 

2年目:パーティードレス

(初めて作ったドレス。自分では気に入ってるんだけど……)

「◯◯。」

「あっ、風真くん。このドレス、どうかな……?」

「そういうの愚問って言うんだ。」

「え?」

「おまえが作って、おまえが着てんだろ?俺の嫌いな要素、皆無じゃん。控えめに言っても、最高です。……これで満足か?」

「ふふっ、うん。すごくうれしい。」

「自信持って、おまえの作品の良さを自分でアピールしてこいよ。
 やばい、俺も場所取りがあった。」

「ふふっ。うん、またね!」

(風真くんに上手に乗せられちゃった。よーし、がんばるぞ……!)

 

(よかった、なんとか成功したみたい!)

「満足できたみたいだな?」

「あっ、風真くん! どうだった?」

「その笑顔を見て、悪いなんて言えないよ。プロのショーみたいで、すごくよかった。」

「やった!風真くんに褒めてもらえるなんて。もっとがんばるね!」

「もう、十分だろ。」

「え?」

「おまえの良さは俺がわかってればいいってこと。」

「えぇと……」

「これ以上すごいドレスで目立たれても困るんだよ。」

(ふふっ、風真くんに褒めてもらえてうれしいな!がんばってよかった!)

 

3年目:ウエディングドレス

(今年は手芸部伝統のウエディングドレス。キレイにできたと思うけど……)

「あ、風真くん、見に来てくれたの?」

「俺、楽しみは後に取っておくタイプなんだけどさ……来て良かったよ。」

「ほんと?」

「後にとっとく必要なかった。今がいい。今、この瞬間のおまえの花嫁姿がいいんだ。」

「風真くん……ありがとう。」

「ランウェイよりさ、そのままバージンロードでいいくらい?」

「あっ、出番だ。」

「予行演習のつもりで、楽しんで来いよ?」

「ふふっ、うん!」

(そうだ、これで最後なんだ。楽しんでこよう!)

 

(やったー! 大成功!!)

「◯◯、おめでとう!」

「あ、風真くん。」

「本当は、そんな格好のおまえに、おめでとうとか、言いたくないけどさ。」

「え?」

「そうだろう?祝福されるときは俺も一緒に決まってる。」

「えぇと……」

「あ、悪い。ファッションショーがすごい良かったから、なんかテンションあがった。」

(やった、三年間手芸部に打ち込んできて、本当によかった!)

 

ローズクイーン

「◯◯。ローズクイーン、おめでとう。」

「風真くん、ありがとう。でも、わたしでいいのかな。」

「……いや。おまえしかいないだろ。やっと時代が追い付いて来たな?」

「ええ?」

「俺なんかもう10年以上前から、知ってたよ。おまえの良さ。だから、今更って感じもするけど。まあ、正しい価値が万人に認められるのはいい事だ。」

「ええ?なんか作品や商品みたい。」

「価値ある物は、それに相応しい評価を受けるべき、ってことでは一緒。だから、おまえがローズクイーンになることは、正義だ。」

「ありがとう。そんな風に風真くんが言ってくれると、うれしいな。」

「ただ、価値あるものは価値がわかる人間と一緒にいないと意味がないんだ。」

えぇと……?」

「そういうことだから、よろしくな。」