ときめき会話 臨海公園 七ツ森実

 

ショッピングモール

スカイラウンジ

「ここの雰囲気、スキ。ちょっとだけ大人になれたような気分になる。」

「ちょっと場違いな気がする……」

「なんで?」

「七ツ森くんは大人っぽくて似合うけど、わたしは全然――

「シーッ。」

「 !! 」

「気づいてないんだ。自分の魅力に。」

「えっ……」

「……◯◯。あんたは本当にイイ女だ。自信持て。」

「七ツ森くん……」

「…………ヤバイ。これはかなり、ハズカシイ。」

「う、うん。」

「まだ俺もガキってことか。やれやれ。」

(ちょっとドキドキしちゃった……)

 

臨海公園

煉瓦道

「ふぁ……」

「退屈?」

「正直、ちょっとな?」

「ごめんね。もっと楽しい場所のほうが良かったかな。」

「違う違う。なんていうか……あんたと一緒にいると安心して、つい。」

「安心?」

「そ。仕事の現場とか、学校にいるときの緊張とかゼンゼンないし。心もカラダもホッとさせてくれる。あんたと出会った頃は真逆だったんだけどな?毎日がドキドキで。」

「ドキドキしてたの?」

「してたしてた。いつ、あんたがポロっと俺の正体を口走るのかと。」

「えぇ……そう思ってたんだ……」

「フフ……」

「ふふ。」

「…………あー、ダメだ、またドキドキさせられてるわ。俺。」

(?)

 
波止場

カップル、多いな……」

「わたしたちもじゃない?」

「エッ!?」

「あ、違う……?」

「んー……男女二人で、その、デートしてりゃカップルって言っても過言じゃ――付き合ってなきゃカップルって言っちゃいけないって理由もないし……いやいや、それってどうなのよ!? あんたは……困ンないの?」

「えっ。わたしは……」

「わたしは……?」

「……七ツ森くんは?」

「は!? 質問、返って来たし!! 俺は……」

 

「……なる。俺の答えは今の音ってことで。」

(今のキレイな音が七ツ森くんの答え?どういう意味だろう……)

 
遊覧船

「やっぱ、360度大パノラマには写真じゃ伝わんないモノがある……」

「写真のことばっかり……」

「スネてんの?」

「だって……せっかく二人でお出かけしてるのに。」

「…………デート、な。そうだよな。ゴメン。 な。写真、撮んない?」

「え?」

「二人で一緒に写ろ。もちろん、SNS用のじゃなくてプライベート用にだぜ?」

「いいの?」

「イイよ。二人だけのヒミツがまた増えるけど。」

「ふふ!」

「いいね、その表情のまま……」

(パシャ)

「サイコウの一枚、撮れました。」

「ありがとう!」

 

水族館

水族館内

「なんだ?あそこの行列。……行く?」

「行列に並ぶのはちょっと……」

「あ……そ。」

「あっ。写真、撮りたかった?それなら――

「や、ゴメン。ヘンな気、遣わせた。」

「でも……」

「ほら。そんな顔されると。俺が今日、ココに来た意味がない。流行りとか期間限定公開とか。写真に収めて、シェアして、満足して。これって単に俺の自己満足だし。そんなコトのために、今、デートしてるんじゃないし。」

「七ツ森くん……」

「イイね、そのウルウル顔。一枚撮っとく?」

「えっ…… !? もう!」

「アハハ! イイ、イイ。今日見たかった、あんたの表情の一つ、ゲット。」

 

ウォーターガーデン

「へぇ。ここ、日によってはイベントもやってんだな。」

「人が集まりそうで嫌だな。」

「ま、このまったりしたガーデンが人混みになるのは、な。ワイワイ盛り上がんのも楽しいケド、やっぱ、ここはまったりが似合ってる。」

「ガーデンが人だらけになったら空飛ぶペンギンしか見えなくなっちゃいそう!」

「だな。上ばっか見て、首痛くなりそー。」

「ふふっ、あはは!」

「…………あ。」

「どうかした?」

「や……うん。ちょっと、ヤバかった。今。」

「えっ、どうしたの?」

「心から楽しくて笑うとさ、人ってキラキラして見えるんだな。あんた今、すごくキラキラしてた。抱きしめたくなるくらい。」

「七ツ森くん……」

「◯◯……」

「キラキラして見えたの、空飛ぶペンギンの水槽の反射のせいじゃない?」

「 !? プッ……アハハ!マジサイコーだよ、あんたは。」

(あ……今、七ツ森くんの笑顔、とってもキラキラしてるかも?)

 

深海コーナー

「んー……見慣れてくると、コイツらカワイく思えてきたぞ……」

「全然かわいくないよ。」

「そっか。俺、あんたと感性違うんかな。ザンネン。」

「ゴメン、そんなつもりじゃ……」

「違うって。ヘンに気ィ遣われるより、ハッキリ意見してもらえる方がイイ。それに、感性が違うからこそお互いのコト、尊敬できたりするだろ?」

「うん、そうだね。」

「もちろん、同じものをイイって感じる気持ちも共有したいけど。共感と違和感を共有し合える相手がいるって、スゴク楽しくない?」

「うん!」

「だからさ、これからも一緒にいろんなトコ行って、いろんなモノ見て、いろんな話がしたい。OK?」

「ふふ、OK!」

「……サンキュ。へへ。」

(七ツ森くん、うれしそう)

 

プラネタリウム

「星座の話って、理不尽なの、多くない?」

「案外、真剣に聞いてたんだ?」

「ココに来るたび、毎回寝てるわけじゃないし。」

「あ、ゴメン……」

「むしろ、解説に集中しないとヤバいし。」

「どうして?」

「……いい、想像してみ?」

「うん。」

「満点の星空が広がる薄明りの中、星座のロマンチックなストーリーが耳をくすぐる。」

「うん……」

恋物語もたくさんだ。」

「うん……」

「男女の美しいストーリーをふと、自分たちに重ねてしまう。」

「うん……」

「そんな夢心地の中、自分の隣を見ると……」

「うん……」

「…………
 ガマンするのも大変なんだ。」

(???)

 

海水浴

「で。何して遊びたいんスか?」

「泳ぎたいな。」

「ハァ…… …………」

「あの、イヤなら別のことにしよっか?」

「……いや。泳ご。GO!」

「でも……」

「ホントはさ、ケガしたり、ヘタな日焼けするとモデルの仕事に影響出るから、こういうのは避けるようにって言われてるんだ。」

「あ……そっか。気づけなくてごめんね。」

「こっちも黙っててゴメン。ほら、手。」

「えっ?」

「手ぇ繋いで、海でプカプカするくらいならケガも日焼けもしないでしょ。」

「うん!」

「バカップルみたいだけど……今日はスナオに受け入れる。デートだもんな?」

(七ツ森くん……)

 

青の洞窟

「ここ、一日中いても飽きないな。」

「わたしもご一緒します♡」

「どうぞどうぞ。」

「ふふ。」

「…………至極かも。」

「ん?」

「最高のロケーションで、好きな人と一日中、二人きりって。どんだけ気分、イイんだろ。」

「そうだね。好きな人と……」

「 ………… !!
 ヤバッ、すでに夢の中だし、俺。」

「???」

「なるほど、こういう気分か。ゴクラクだわ……」

(七ツ森くん?)

 

海辺の散歩

「ココ、スキ?」

「七ツ森くんは?」

「寒いし、見るモンも撮るもんもないし。正直、何がイイかわかんない。」

「そっか。」

「……そうだ。」

「ん?」

「イイこと、探そ。」

「あ、いいね!」

「1つ、アイディアがあるんだけど。聞きたい?」

「聞きたい!」

「おしくらまんじゅう。」

「冗談だよね?」

「半分冗談。半分は本気。」

「?」

「二人じゃできないし。だいたい、あったまんないし?けど、二人がこう、寄り添えば……
 ……あったかい。あんたは?」

「あったかい……かな?」

「え、最後のハテナいる?足りないなら、もっと。
 …………」

「うん、あったかい……」

「しばらく、このまま。」

(七ツ森くん……)

 

花火大会

浴衣コメント

「イイ……」

「今日は浴衣でキメてみました♡ 七ツ森くんと一緒だね?」

「あ、ああ。 ……なんだろ。モデルの女子とは比べ物にならない、なんかトクベツなモエがある……」

(……モエ? でも七ツ森くん、すごく気に入ってくれたみたい!)

 

ミニ丈浴衣追加コメント

「ホント、そのミニ丈浴衣イイね。和装と妖艶さが絶妙なエロティックで。……他人に足もとチラチラ見られんのがちょっと癪に障るけど。ちゃんと俺の近くにいろよ。いいな?」

「……今年の花火、いつもよりキレイな気、する。」

「いつもと同じじゃない?」

「……同じか。色メガネで見てんのかな、俺。限られた高校三年間で、同じ人と、同じ花火を三年連続で見るとかさ。昔の俺じゃ、考えられない。」

「そうなの?」

「ああ。スゲー成長させてもらったよ、あんたに。」

「わたし?」

「そ。……なあ、出会った頃と今、変わったと思わない?俺。」

「そうだなぁ。七ツ森くんと出会った頃か……ちょっと怖い感じがしたかな。」

「うん。毎日ピリピリ気ィ張って、学校じゃ人と距離、置いてた。もし、あのままの俺だったら、モノスゴクつまんない高校生活を過ごしてたと思う。」

「そっか。」

「だけど俺は変わった。いつも、あんたがそばにいて刺激を与えてくれたから。ムリして閉じこもらなくてもいいんだって、教えてくれた。だから――

「わぁ……すごく大きな花火!きれいだね?」

「ああ。本当に、綺麗だ。」

(七ツ森くん……)

 

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