ときめき会話 臨海公園 風真玲太
ショッピングモール
スカイラウンジ
「ぐるっと一周回ってみるか？」
「あまり端っこ歩かないでよね。」
「じゃあ、もっと内側歩けよ。」
「わたしじゃなくて、風真くんだよ。」
「俺は別に怖くない。」
「見ていられないから。」
「へー。おまえに心配されるなんて、貴重だな。
ほら、これでどうだ？」
「もう、あぶないからダメって言ってるのに。」
「わかった、悪い悪い。そんな顔すんなって。ほら、これで安心だろ？このまま、はばたき市を一周だ！」
（ふふっ、風真くん、小学一年生に戻ったみたい）
臨海公園
煉瓦道
「波の音聞いてると、落ち着くよな。」
「泡がはじける音もするよ。」
「ホントかよ？」
「うん、パチパチって。」
「……
俺には聞こえないみたいだな。」
「ダメだよ、ちゃんと目をつむって。」
「わかった、わかったよ。 ……これでいいか？」
「うん……ふふっ。」
「どうした？」
「ごめん。風真くん、立ったまま目をつぶってるから。」
「おまえがさせたんだろが！もう行くぞ！」
「あ、風真くん、待って。」
（わたし、怒らせるようなことしたっけ？）
波止場
「ここで商売している人もいるな。」
「占いの人？」
「女子ってほんと占い好きな。」
「見て、よく当たる手相だって！」
「自分で書いてるだけだろ？あいつにおまえの何がわかんだよ。」
「怒ってるの？」
「ああ、怒ってるよ。」
「え？」
「いいか、俺は他人に知ったようなこと言われんのが好きじゃない。特におまえのことは我慢できねぇな。ほら、手かせ。」
「風真くん、手相わかるの？」
「は？ んなもん知るかよ。」
（……これって、ただ手をつないだだけ？）
遊覧船
「お、いい風が吹いてきたぞ。」
「ちょっと雲行き怪しいかも。」
「そうか？」
「あ、降ってきたかも。」
「ほんとだ。すごいな、おまえ。 本降りになってきた。ほら、中入るぞ。」
「うん、でもなんか気持ちいいかも？」
「仕方ないな。」
「ごめんね。これじゃ、風真くんが濡れちゃうから、中に入ろう。」
「いや、俺はいい。このままで。」
（風真くん……）
水族館
水族館内
「水槽の向こうからはどう見えてんのかな？」
「飼育員さんから？」
「バックヤードの話じゃねぇだろ。斜め上にもほどがあんだよ、おまえは。」
「わたし、そんなにおかしいかな……」
「おかしいなんて言ってないだろ。いいんだよ、それがいいんだって。」
「そうなの？」
「そう、それがおまえだろ。それで、飼育員がなんだって？」
「わたしたち二人がどう見えてるか、って話だよね。」
「どうってそりゃ……恋人とか？」
「え？」
「恋人！」
（風真くん、声が大きいよ……）
ウォーターガーデン
「へー、カフェもあるらしいじゃん。特別メニューだってさ。」
「おなかすいたの？」
「水族館の魚みてお腹すいたりしねぇよ、俺は。」
「もう。」
「じゃ、ベンチで休憩するか。飲み物買ってくる。」
「風真くん、ありがとう。」
男「めっけた！」
（めっけた？）
男「こんなとこに隠れてた。はばたき市の流氷の妖精、クリオネちゃんだね？」
「ち、違います……」
「 Go away！」
男「ごなえ？」
「消えろっつってんだよ。聞こえねぇのかよ!?」
男「ひゃいっ。ごなえ～！」
「ありがとう、風真くん。」
「まったく、ちょっとも目離せねぇ。おまえ、目立ち過ぎなんだよ。もう、ひとりで立ってるの禁止な。」
（それは無理だよ、風真くん……）
深海コーナー
「ほら、おまえの好きな深海コーナーだぞ。」
「ごはんの時間みたいだよ。」
「おい、おまえ……」
（うわぁ、恥ずかしい……！）
「べつに、おかしくないし、全然恥ずかしいことじゃない。
ほら、これで俺も同じだ。笑いたいやつは、笑わせておけばいい。」
「えっ、うん。」
「おまえはいつも自然体でいいんだからな。」
「うん。ありがとう、風真くん。」
（風真くん、いつでもお腹鳴らせるのかな……？）
プラネタリウム
「おまえ、ここ好きだな？」
「うん、遠くに来たみたいだから。」
「俺もその感覚わかるな。昼間のいつもの街から、急に暗くなって。」
「うん、周り誰もいないみたい。」
「そう、誰の目も届かない感じがする。それで、星明かりに照らされたおまえの顔しか見えなくなる。」
「わたしの顔？」
「そ、おまえの顔。……つーかさ、なんでおまえは、ちっともこっち見ないんだ？」
「それは、星の説明を聞いてるから……」
「こっち見たり、ちょっと肩にもたれてみたり、手だってほら。いいか？せっかく二人で遠くまで来てんだから、普段とは違うなんかあんだろ……」
（風真くん、ここは、はばたき市内だよ？）
海
海水浴
「いいか、危険生物とかいるからな。近づいたり、触ったりしないこと。裸足も禁止な。」
「えぇと、人喰いザメ？」
「そう、おまえは狙われやすいの、人喰いザメに。」
「えっと？」
「それだよ。そのフワフワした感じ。いいか？ただでさえおまえは目立つし、周りには人が寄ってくし……」
「風真くん？」
「今日はそんな格好もしてるんだ。もう、ただのエサだ。」
「そんな言い方……」
「いや、そんだけすごいんだ、おまえの吸引力。今日は特にだ。いいか？今日は俺から離れるの禁止な。」
（風真くん、だんだん禁止が多くなってきたな……）
青の洞窟
「青は別にして、洞窟って響きはワクワクする。」
「男子って、そういうの好きだよね？」
「どんだけ男子のサンプル数を持ってんのか知らねぇけどさ。なんかずいぶん上からの発言だな。」
「昔から風真くん、気になることは何でも確かめようって、言ってたから……」
「ああ、そうだったな。あれだろ、鐘の音だろ？」
「うん。わたしひとりじゃ絶対にあんなことしていないよ。」
「俺もおまえがいなかったら、やってない。」
「え？」
「俺はおまえと一緒に探検したかっただけ。」
「ふふっ、わたしも風真くん探検隊、毎日楽しかったよ。」
「おまえ、本当かよ。ちゃんと覚えてんのか？」
「もう。覚えてるよ。」
「ならよし。んじゃ、改めておまえを副隊長に任命する。ただし、脱退は不可。」
（風真くんすごく楽しそう）
海辺の散歩
「全然人いないから、俺たちの足あとだけ、くっきり残ってる。」
「ほら、波が消してくよ！」
「消えたら、また足あと残せばいい。いいか、一度刻まれたものは、見えなくなったとしても無にはならない。だから、下書きの通りにやり直せばいい。」
「えっと、風真くんどうしたの？」
「おまえがいくら昔のこと忘れてたとしても、無くなったわけじゃないってこと。」
「わたし、ちゃんと覚えてるよ？」
「もし、忘れたことがあってもだ。俺とおまえの足あとは 見えなくなっても、砂の下には残ってんの。わかったか？」
「うん……」
「なら、よし。」
（風真くん、わたしとの思い出、大切にしてくれてるんだな）
花火大会
浴衣コメント
「うん、やっぱりいいな。」
「えぇと、この浴衣？」
「そう。他のヤツに見せんのもったいないくらいだ。」
（やったね！浴衣着てきてよかった！）
ミニ丈浴衣追加コメント
「おまえのその浴衣さ、小さい頃のってわけじゃないよな？」
「違うよ！」
「わかってるけど、短すぎるだろ……」
「いい場所とれたな！」
「さすが、若様スペシャルシート？」
「てことは、おまえは姫様か？」
「ええっ？」
「なんか問題あんのかよ。」
「問題はないけど……」
「じゃあ、何があるんだ？」
「ううん、何もない。」
「てことは、このスペシャルシートは、ずっとおまえが予約ってことな。」
「ふふっ、わかった。」
「あ、それと、キャンセル不可な。」
（ふふっ、来年も一緒に見られたらいいな……）
