ときめき会話 彼の家 風真玲太

薄着コメント

「いいか、俺はひとり暮らしなんだぞ。そんな格好されたらさ…… まさか、おまえ、試してんのか……?」

「タイムスリップしたみたいだろ?この部屋、何も変わってないから。」

「あの帽子、覚えてるかも。」

「あ、なんか処分しにくくてさ、あれだけとっておいた。すぐにイギリスに行ったから、数か月しかかぶってないし。」

「そうだよね……」

「なんで落ち込むんだよ。こうやって、俺は帰ってこられたし、この部屋も昔のまま。」

「うん。」

「それに、おまえが俺の想像以上に昔のまんま。」

「そうかな、だいぶ成長してるけど。」

「せ、成長って……そりゃそうだけどさ。外身じゃなくて、中身のことだ。あぁ……まったく。何言ってんだ、俺……最初に言ったタイムスリップ発言、撤回。今、この部屋は昔とは全然違うよ。おまえが居て、それで気づいた。」

「わたしが?」

「そう、おまえ。“成長したおまえ” が居るこの部屋は子どもの頃にはなかった気持ちになる。ご近所のかわいい、ただの女の子の友だちってだけじゃないんだ、今は。」

「それじゃ、今は――

「言うかよ、バカ。言うわけねぇだろ、ばかッ!」

(うぅ……怒られた。でも、なんだかドキドキする……)

 

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