ホタルの住処 白羽大地

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恋愛

ずっとここで

「キレイやなー…… 時間がゆっくり流れてる感じ、せえへん?」

「うん、そうだね……」

「ほんまに時間がゆっくり流れてたら、ずっとここに君といたいなぁ。」

「どうして?」

「こないだゆうたやんか。恋愛のことは、焦らず、ゆっくり育てて行こうて。」

「あ……」

「こんな不思議な空間の中に二人っきりでおったら、あっという間に恋に落ちる気、せえへん?」

「えっ……」

「 ………… やっぱあかんわ。自分でゆうといて、自分が一番焦っとる。恥ずかしいわァ……」

「ふふ。」

「へへ。こんなんやったら、ホタルたちにも笑われてまうね?」

(白羽くん……)

 

まるで君みたいに

「はぁ……なんでこんなにキレイなんやろなぁ。」

「ふふ。」

「なんもしとらんと、キラキラ光ってるだけで人の目ぇを奪ってしまう……まるで君みたいや?」

「えっ?」

「君もいつもキラキラして見えんで?」

「白羽くんこそキラキラしてるよ?」

「えっ……?」

「バイトしてるときの白羽くんの笑顔、本当に素敵だもん。」

「そんなん言われたら、めちゃ意識してしまうやんか…… ……けど、ニコニコしてると気持ちええやん?オレ、いつも楽しい気分でいたい思てるから。」

「そっか。」

「へへ!そやから今もニコニコしてるやろ?」

(ふふ!白羽くんて本当に明るい人なんだな)

 

あれだけは許せない

「まったりタイム突入やね……」

「うん、そうだね……」

「……あ、けどな?待ち合わせんときのハプニングはあかんかったわ。」

「え?」

「ヘンな男に声かけられとったやろ、君。」

「そういえば……」

「あんなん絶対に許せへん!」

「ふふ。助けてくれてありがとう、白羽くん。」

「うんっ、オレに任しとき。……ちゅうか、オレが遅れたんがあかんかったんや……かんにん!」

(ふふっ。頼りにしてるよ、白羽くん!)

 

悩みぬいたプレゼント

「キレイやなァ……」

「うん……」

「この景色まるごと、君にプレゼントしたい気分や。」

「ふふ!前に白羽くんにもらったプレゼントも素敵だったね。」

「あ…… うん、気に入ってくれたんならオレもうれしいわァ。君のこと、よぉく考えたんやで?好みもそうやけど、普段の様子とか、話してる内容とか分析して。プレゼントが決まるまで、ほんまに毎日、君のことばっかり考えて……あんまり考え事ばっかりしてるもんやから、にーちゃんとねーちゃんにめちゃ心配された。」

「あはは、そうだったんだ?」

「うん。だって、君に喜んでもらいたかったんやもん。」

(白羽くん……うれしいな)

 

恋愛の悩み

心の声が聞こえてる?

「わぁ……ホタルの光がたくさん!きれい……!」

「ほんまやね……!
 ………… 」

「……白羽くん?どうかした?」

「君はこの場所にまつわるウワサ、知っとる?ここに誰かと一緒におると、相手の心の声が聞こえることがあるんやて。………… まさかやけど……今、君にはオレの心の声が聞こえとるん?」

「ふふ、どうでしょう?」

「 !? あかん……あかんよ!無になれ、オレ……」

(白羽くん……いったい今、何を考えてるんだろう?)

 

友人

オレは、友だち?

「ホタルがたくさん!すごいなぁ……」

「ハハ!君みたいやね?」

「え、どうして?」

「君は友だちがいっぱいおるんやろ?話聞いとるとわかるで。」

「友だち……うん、たくさんいるほうかな。」

「オレは……友だち?それとも――

「え?」

「あかん。何ゆうてんやろ、オレ。友だちでええやんな!最初はみんな、オトモダチからや。学校は別やけど、これからも仲ようしてな?」

(白羽くん?)

 

お楽しみ

幸せな出会い

「ホタルの光って、なんやあったかいなァ。」

「うん、そんな感じがする。」

「そのせいなんかなー……」

「ん?」

「今、めちゃ心が幸せいっぱいや。」

「ふふ。」

「へへ。君と知り合いになれて、ほんまに良かったなぁ。」

「ホント?」

「ホントや。けど、はじめはほんまに信じられへんかったわ。名門はば学の女子が、ガススタにバイトやもん。」

「そ、そう?」

「そや。今はそんな偏見も無くなってんけど。もしも、オレたちの “運命の出会い” がガススタになるんかなあ思たら、ちょぉおもろい事やない?」

「あはは!」

「へへ!」

(運命の出会い、か……)