日常のひとコマ 七ツ森実

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同じメガネなしでも雰囲気が……

「こんちは。」

「あっ、七ツ森くん。いらっしゃいませ!」

「ホット1つ。」

「かしこまりました。」

「お待たせいたしました。ホットコーヒーです。」

「どうも。」

「…………」

「……なに?」

「あっ、ジッと見たりしてごめんね?ただ……」

「ただ?」

「モデルさんのときのメガネなしと、この間のバンジージャンプのときの違う髪型でメガネなしだと……ぜんぜん雰囲気が違うね?」

「………… ま、学校行くときのスタイルじゃメガネは絶対外さないし。」

「視力、すごく弱いの?」

「裸眼じゃ、ひとりで道は歩けない。」

「そ、そっか。」

「あんた、激レアな俺を見られてラッキーだったな。」

(たしかに激レアかも。わたし、すごい七ツ森くんを見ちゃった?)

 

姉との長電話

「お待たせいたしました。ホットコーヒーです。」

「どうも。」

「…………」

「……なに?」

「あの、余計なお世話かもしれないけど……」

「じゃあいらない。」

「う……」

「……で、なに。」

「お姉さんに連絡してあげたのかなって。」

「なんだ、そのことか。ちゃんとしましたよ。長電話に付き合わされたけど。」

「そっか。ふふ、よかった!」

「たく……どうして女子はこう、男をコドモ扱いするかねぇ……」

(子ども扱いはしてないけど、お姉さんの気持ちも分かるからかな?)

 

忘れられない女の子の姿

(今日も七ツ森くん来てるけど……)

(この間のことが頭をよぎる……)

「すみませーん。」

「あっ、はい!ただいま!」

「ガトーショコラを追加で――

「……………」

「……聞いてる?」

「えっ、うん!聞いてるよ?」

「なんだか目つきがおかしい。まさか、俺の顔になんかついてる!?」

「ううん。そうじゃなくて。この間、学校で放課後にした女の子の格好の七ツ森くんが忘れられなくて……」

「そういうこと……写真、また見る?」

「ううん、大丈夫!わたしも写真シェアしてもらったし……」

「ヘンなの。じゃあなんでそんなにオドオドしてんの。」

「だって……あのときの七ツ森くんと、今の七ツ森くん、本当に別人だから……つい。」

「おもしろーい。」

(ワイルドな “Nana” があんなに可愛くなっちゃうなんて誰も信じられないと思う……)

 

オシャレな人への情報発信

(ちょっと喫茶アルカードに寄って行きたい気分……)

「よしっ、行ってみよう!」

「……あれ?」

「……ん?」

「七ツ森くん。」

「よ。どしたの?」

「不思議とここに来てみたくなって。七ツ森くんはお仕事?」

「そ。あんたのような人のために。」

「?」

「お洒落さんには常に情報発信しなきゃだろ。この間のあんたみたいにさ。流行りモノをキッチリおさえたいヒトに向けての、新作アイテムの撮り。」

「そっか、わぁ、楽しみだなぁ。」

「俺も楽しみ。次もあんたがバッチリ決めてデートに来てくれるのかと思うと。」

(デート……そっか!やっぱり七ツ森くんはそういうところもちゃんと見ていてくれてるんだ)

 

新作アクセサリーの撮影

(そろそろファッションアイテムの新作が出る頃だよね……)

(ふぅ……まだちょっと早すぎたみたい……今日はお茶して帰ろうっと)

「あっ……」

「◯◯。よ。」

「七ツ森くん、休憩中?」

「そ。今日は新作アクセの撮り。」

「そっか。やっぱりまだ早かったんだ……」

「あー……新作目当て?」

「うん。でも、ぜんぜん見つからなくて。」

「言ったろ?これから新作の撮りだって。」

「ふふ。あせりすぎたかな?」

「や、いいコトだと思うぜ。常にアンテナ張ってんのって。あんたもだいぶ持ってそうだし。このあとお互いの自慢話でもする?」

「賛成!」

(七ツ森くんとファッションの話ができるなんて、ちょっと贅沢すぎるかも!)

 

新作アイテムは売り切れ?

(そうだ。今週のはばチャに載ってた新作アイテム、見に行ってみようかな?)

「はぁ……」

店員「いらっしゃいませ。おひとり様ですか?」

「あ、はい……」

「◯◯。」

「あっ、七ツ森くん。」

「当ててやろうか?」

「えっ?」

「あんたがココに来たワケ。ずばり。はばチャに掲載されてた新作アイテムのチェック。……に、行ってみたものの、すでに売り切れていた。ビンゴ?」

「……ビンゴ。よくわかったね?」

「そんなしょんぼりした顔でひとり喫茶店に入ってくる女子見たら大体想像つくし。」

「ふふ、そっか。さすが七ツ森くん。」

「アレ。はばチャに載ってたヤツ。発売当日にソールドアウトしたらしいぜ?」

「だよね……」

「そんなあなたに朗報。5日後に通販がスタートする。もうワンチャンだ。」

「ホント?」

「ああ。お試しあれ。」

(七ツ森くんの情報なら確実だよね!)

 

新作のチェック中

(新しいファッションアイテムをもっともっと集めたいなあ……)

(あ……もしかしたら七ツ森くん、あの喫茶店にいるかも?)

「あっ……!」

「あ。今日も新作アイテムのチェックっすか?」

「当たり!七ツ森くんもここにいるかなと思って。」

「俺?」

「そう。だって、新しいものが欲しいなって思う頃にここに来れば、いつもいるもん。」

「ハハ。そりゃ、新しいものが欲しいと思う頃に撮影が増えるもので。」

「ふふ!」

「俺もさ、自分の仕事以外のトコで新作知ることが多いから、こうして調べてるトコ。」

「そっか。先取りしてるところがあるかもしれないし?」

「そ。」

(七ツ森くん、どんなサイトチェックしてるのかな……)

「お、待って。ココのサイト、なんかありそう。」

「どう、見つかった?」

「そうカンタンには。俺たちも先取りの仕事してるワケだし。」

「ふふ!」

「な、あんた、時間あんの?コーヒーでも飲みながら一緒にニューアイテム探ししない?」

「OK!」

(七ツ森くんと一緒にネットでニューアイテム巡りだ!)

 

おかしな注文?

「いらっしゃいませ!……はい、かしこまりました。では、カウンターのお席へご案内します。」

「こんちは。」

「いらっしゃいませ!」

「奥の席、空いてる?」

「はい!どうぞこちらへ。」

「ホットと、ホットケーキ2枚で。」

「かしこまりました。」

「お待たせいたしました、ホットコーヒーとホットケーキ2枚です。」

「…… プッ!」

「えっ、どこかおかしかった?」

「や…… 両方ホット始まりだったのがいきなりツボった。」

「あ、ホントだね?ふふ!」

「ハハ!まじ? あんたまでウケる?」

(七ツ森くんて、学校にいるときより仕事しているときのほうがよく笑うかも?)

 

ウエイトレスと常連さん

「お待たせいたしました。ミックスサンドと野菜ジュースです。」

(ふぅ……今日は少し忙しいな)

「スミマセーン。」

「お待たせいたしました。」

「待ってないし。」

「ふふ、そうなんだけど。いちおうね?」

「すっかり板についたな。喫茶店のウエイトレス。」

「ありがとう。七ツ森くんもいつもご来店ありがとうございます。」

「まぁ……大半は仕事でなんだけど。」

「でも、大切な常連さんだよ。毎度ありがとうございます♡」

「……ホットのおかわり、ください。」

(ふふっ!)

 

スマホで調べているものは

「ありがとうございました!」

「よ。」

「あ、七ツ森くん。いらっしゃいませ!」

「…………」

(七ツ森くん、真剣にスマホ見てる)

(何かを調べてるのかな……)

「……なにか強烈な視線を感じるぞ。……ん?」

「あっ。ごめんなさい、ジッと見たりして。」

「仕方ない。カッコイイから。」

「うん。とくにモデルさんのときは本当にキラキラしてるもんね。」

「真に受けんなって……」

「本当のことだよ?七ツ森くん、カッコイイもん。」

「…………ダメだ。もうコーヒー三杯目だから、おかわりムリ。」

(べつにおねだりしてないんだけどなぁ)

 

スケジュール間違い

(今日は比較的空いてるな。七ツ森くんも来てないし……)

「いらっしゃいま……せ? あれ?」

「ゴメン!ちょっと…… すみません、マスター。更衣室貸してください。」

「いつもすみません。助かりました、ありがとうございます。ヤバッ、呼び出し!?」

(なんだか忙しそう……)

「あ……」

「ホット、1つで。」

「???」

 

「撮りのスケジュール、一週間ズレて見てたわ……」

「ああ!もしかして来週の今日だった、とか?でも、ある意味安心したね。」

「結果的にはな。遅刻とか絶対したくないし。」

「ふふ。今日はプライベートでごゆっくりどうぞ。」

「そうする。」

「カッコはモデルのNanaくんだけどね?」

「あー……もういいや、めんどくさい。」

(七ツ森くん、お仕事に対してすごく真面目なんだね)

 

七ツ森専用の特等席

(そろそろ七ツ森くんのお仕事が終わる時間かな……)

「どうも。」

「あっ、おかえりなさい。」

「あ……うん。ただいま。」

「特等席、空けてお待ちしていました。」

 

「空いたお皿、お下げします。」

「サンキュ。……あのさ。」

「なあに?」

「さっきのみたいの、他のお客にもやってんの?」

「さっきの……」

「ほら、野暮用から戻ったときにおかえりなさいとか、そういうヤツ。」

「とくにしてないけど。もしかして、イヤだった?」

「エッ!? ゼンゼンイヤじゃないし。イヤなワケないし。……うん。なら、いいんだ……」

「?」

「はー! 今日もイイ一日だった。」

(ふふ、七ツ森くん機嫌がいいみたい。今日もお仕事、お疲れさまでした)

 

変わったのはどこ?

「◯◯。」

「あ、七ツ森くん。なに?」

「今日、喫茶アルカードに来る予定、ある?」

「?」

店員「いらっしゃいませ。」

「あ、待ち合わせなんですけど……」

「◯◯、こっち。悪かったな。急に待ち合わせなんかさせて。」

「ううん。なにかお話しでも?」

「や……ちょっと学校じゃ言いづらかったから。あんた、最近変わったよな。」

「えっ、そうかな。……どのへん?」

「それは……」

(七ツ森くん、何を言いたいのかな……)

「わかった、言いますって!もう……  理想の、タイプ?」

「えっ?」

「…………あー、悪い!立ち話してないでさ、ほら、ここ、座りなって。」

(七ツ森くんの、理想のタイプ?)

 

お互いの仕事へ

店員「いらっしゃいませ。」

(ふう……はばチャの取材はひと休み。のど乾いちゃった)

「よ、オツカレ。」

「あっ、七ツ森くん。今日はお仕事?」

「ああ。お互い働き者ですな。」

「ふふっ!」

「えーと、はばチャの新人記者だっけ?」

「そう。はばたき市のことや暮らしをたくさん見て楽しいことを記事にするの。」

「へぇ……で、今日の成果は?」

「メモにざっくりと書いておいたから ここでまとめようかと思って。」

「じゃ、ジャマしちゃ悪いな。俺も撮りの時間だし、そろそろ行くわ。」

「お仕事、がんばってね!」

「そっちもな。じゃ。」

(よーし、わたしも取材メモをまとめるぞー!)

 

今ならNana貸し切り

(公園通りってやっぱり女性が多いかも。街並みもキレイだもんね……)

「さて、次はどこに行ってみようかな?」

「ふぅ……今日はこれくらいにしておこう。」

(お茶しながらメモをまとめようかな)

「あれ、◯◯。」

「七ツ森くん!これからお仕事?」

「や、今日はもうあがり。腹ごしらえしてたトコ。」

「そっか。じゃあ、もう帰っちゃうの?」

「帰ってほしくないの?」

「えっ?」

「はばチャの新人記者さん。今ならNanaが貸し切りですよ。」

「ふふ!取材させてくれるの?」

「そうだな。俺がさっき食べたものの食リポで良ければ。」

Nanaくんのファンなら大喜びだね!」

「ちょ……真に受けんなよ。冗談だし。」

(目でうったえてみよう……)

食リポするほど食べてないす……」

「ふふ、冗談だよ?」

「う……一本とられた。」

(ふふっ!七ツ森くんとのこんなやりとりが記事にできたら面白そうなのになぁ)

 

今日の取材は大収穫

(うーん、今日もいろいろ見て回ったなぁ。でも、記事にまとめるのが大変なんだよね……)

(ひと休みしながら取材メモを整理しようかな)

「◯◯。」

「あっ、七ツ森くん!」

「シーッ……」

「あ、ゴメン……」

「まぁ……ここなら気にしなくても平気だと思うけど。念のため。」

「でも、ごめんね?」

「……今日も取材?」

「そう。今日は臨海地区を散策してきたんだ。」

「あぁ、あの辺はお洒落スポットも多いし ネタ、だいぶ収穫できたんじゃない?」

「うん。でも取材メモがごちゃごちゃしてきたからきれいにまとめようかと思って。」

「そんなに大収穫?すげーじゃん。記事読むの、楽しみ。」

「うん、がんばる!」

「ああ。俺、新人記者さんのファンなんで、マジで期待しまくってるから。」

(うぅ……プレッシャー。でも、七ツ森くんが読んでくれるならがんばっていい記事書かなきゃ!)

 

期間限定スイーツ

 (あ、そういえば今月のはばチャに期間限定スイーツの特集あったよね)

「ふふっ!ひとりで食べに行っちゃおうかな。」

「空いている席は……あれ?」

「あ……」

「七ツ森くん。今日もお仕事?」

「ああ。今休憩中。あんたは?」

「この間はばチャに載っていた期間限定スイーツがお目当て♡」

「なる…… 現物はもうないけど、俺の食リポ、聞く?」

「えっ?もしかして、七ツ森くんはもう……」

「はい、ごちそうさまでした。」

「さすがです……」

「よければ、相席どうぞ。」

「うん!じゃあ…… すみませーん!『季節のオールフルーツ・タルト』ください!」

「結構結構。あんたの食リポ、楽しみ。」

(えっ、食リポするの?それにしても、さすが七ツ森くん。行動が早い……!)